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見学に集まる人々



 翌日の昼過ぎ、皆で昼食を食べている時に獅子亭へ、ヤンさんがクラウスさんとトニさんを伴って訪問。

 ハーロルトさんも一緒だ。

 そういえば、ハーロルトさんは農地の話をする時にいなかったけど、しっかり休めたんだろうか?


「リク様、フィリーナさん。ご要望の小屋の用意が終わりました。昨日窺った時に言われたように、細心の注意を払って、ガラスの移動も均等に」

「ありがとうございます。……昨日?」

「リクが外へ行ってる間に、訪ねて来たのよ。そこで、掘り出したままにしてあるガラスの移動も頼んだの」

「そうだったんだ……」


 俺の知らない間に、クラウスさん達が訪ねてきていたらしい。

 フィリーナがお願いをして、ガラスの方も小屋へと移動させたとの事。

 昨日は、ルギネさんの魔力がなくなってしまったり、俺が運び込んだり、スイカの話をしてたから、伝えるのを忘れてたのかもしれない。

 まぁ、俺がいてもフィリーナが考えて話す事だから、それでいいか。


 俺は、農地が使えるように結界を張るだけだからね。

 これで、結界を張って、それを維持する準備が整った。

 

「数日の間に、このような事になっているとは……」

「あははは、何故かこんな事になりました。ハーロルトさんは、休めましたか? 陛下からは、休暇としての意味合いもあるって言われてたと思いますけど」

「はい、おかげさまで、ゆっくり休めました。まぁ、ジッとしているのも性に合わなかったので、街に繰り出して人々の話に耳を傾けていたりはしましたが……こればっかりは、癖ですね」


 ハーロルトさんは、ここに来る道すがら、農地の状況をヤンさんやクラウスさんから教えられて、驚いてたようだ。

 まぁ、キューを作るのを頼みに来たのに、魔力溜まりだとか、魔物が集まってくるだとか、ガラスを魔法具のように使って、結界を維持する魔力に使うだとか……予想できないよね。

 笑いながら、ハーロルトさんに休めたか聞くと、結構街に出ていたらしい。

 職業病というのか……情報部隊は、人々の話を収集する事もあるようで、休みながらも癖で情報収集のような事もしていたらしい。


 苦笑いで答えるハーロルトさんを見ると、表情は明るく、王城にいて忙しくしていた時よりも、顔色は良さそうだ。

 やっぱり、細かい仕事を押し付けるヴェンツェルさんがいないから……かな?


「とにかく、まずは昼食を食べたらどうだ?」 

「そうですな。美味しそうな料理が並んでおります」


 話もそこそこに、マックスさんの言葉で、まずは昼食を頂く事になった。

 クラウスさん達も、昼食はまだだったらしく、皆で一緒にという事になった。


「やはり、マックスさんの料理は美味しいですね。冒険者時代には、幾度も楽しませてもらいました」

「はっはっは、あの頃から、ヤンは食事の時間になると、元気になっていたからな!」

「本当ね。どれだけ魔物との戦いで疲れていても、食事となると、てきぱき動いてたものね」


 ヤンさんとマックスさんとマリーさん、元々同じパーティで冒険者をしていた人達の懐かしい話も聞きつつ、和やかに昼食は進んだ。

 エルサは、スイカが新しく好物になったためか、昨日のようにキューを大事にしながら食べるのを止め、以前のように勢いよく食べるスタイルに戻った。

 ……スイカ、まだ多く食べられるわけじゃないんだけど……まぁ、キューの心配ばかりをしなくなったから、いいか。



「えぇ……?」


 昼食の後、軽く話をして皆で移動。

 マックスさん達は獅子亭があるので、見学はなし。

 俺とモニカさん、ソフィーとフィリーナ、ユノとエルサ、ヤンさんとクラウスさん、後はトニさんが一緒に移動だ。

 いつになく大所帯で移動するのは、結構目立ったけど、ヘルサルの人達は声をかけて来るくらいで騒ぎになる事はなかった。


 皆、俺達には慣れているらしい……と思っていたんだけど、その考えは、西門に辿り着いた瞬間霧散した。

 これから結界を張る、農場予定地へと行くための西門。

 その手前にある広場には、ゴブリン防衛戦で冒険者達が集まっていた時を思い出させるくらい、多くの人が集まって賑わっていた。


「ははは、リク様が何かをする……という事で、これだけの人が集まりました。さすがはリク様ですな」

「魔法に関係した商店主たちもいるようですが……それとは関係ない人も、多くいるようですね」


 戸惑っている俺に、笑いながら俺の功績のように言うクラウスさん。

 集まった人達を見て、分析するように呟くヤンさん。

 こんなに集まるなんて、思ってもみなかった……。

 結界はともかく、ガラスを魔法具として使うのは珍しいから、それなりに集まるかもとは考えていたけど……予想の数倍は集まってる。


 ヤンさんにならって、俺も集まって来た人達を見ると、見た事のある店の店主さん達や、獅子亭の常連さん。

 さらには、冒険者の人達もいた……あ、あの人は防衛戦で話したことがある人だ、こっちに手を振ってる。

 顔見知りの冒険者さんに手を振り返しつつ、他も眺めていると、昨日怪我を治した露天商のお婆さんが、孫と一緒にいるのを発見した……店はいいのだろうか?


「お、英雄様の到着だぞ?」


 集まっていた人達の中から、一人が俺達が来た事に気付き、声を上げた。

 それを聞いて、それぞれ雑談をしていたりして待っていた人達が、一斉にこちらを向いた。

 王都で、人が集まる時に似てるけど……ヘルサルの人達は詰め寄るような事はないようで、少し安心。

 ここで一斉に来られたら、結界だとかガラスを魔法具にといった事ができなくなるからね。


「皆さん、こちらに気付いたようですね。リク様、お声をかけますか?」

「え? えーと……注目されるために来たわけじゃないので……」

「はっはっは、リク様は慎み深いですなぁ。では、代わりに私が……」


 隣にいたクラウスさんが、集まった人達の意識がこちらへ向いた事で、俺に伺いを立てるように質問。

 でも俺は、ここで皆に演説をするために来たわけじゃないからなぁ。

 顔見知りも結構いるし、わざわざ皆に向けて何かを言うって事も、しなくていいだろうと思う。

 余裕があったら、後で個別に話したりしたらいいだけだしね。


 代わりにクラウスさんが、俺の前に出て全員の注目を集める。

 何か言うみたいだけど、こういう時おどおどしたりせず、堂々と前に立てるのは街の代官という役職に就いているおかげなのかもしれない。

 そうできるからこそ、代官になってるのかもしれないけどね。


「皆様、想像以上に集まったようですね。さて、本日はリク様の魔法実践と、魔法具の設置。それによる農場を守る措置を致します。全員というわけにはまいりませんが……希望者のうち数人は、魔法具を作る所をお見せ致します。エルフの方ですので、我々の知識として見て学んでください。特に、魔法具を取り扱う商店や、魔法屋などは、良い経験となるでしょう」

「「「おぉぉぉぉぉ……」」」


 クラウスさんが前に出た事で、静かになった皆に対し淀みなく声をかけている。

 すごいな……俺はこれだけの人に注目されて、前準備もなしに話す事なんて、できそうにない。

 せいぜいが、今日はよろしくとか、簡単に挨拶するくらいだろうね。


 周囲に響くクラウスさんの声を聞き、内容を理解するにつれ、一部の人達が歓声にもとれる声を上げた。

 多分、魔法具を作る所が見られるからなんだろうと思う。

 となると、声を上げたのは商店の関係者さん達だろう。




様々な人達が結界を張る作業を見に来たようですね。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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