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からかわれるルギネさんの目撃証言



「しかしリク、別のパーティと一緒になったというのはわかったが、その冒険者達に何かしたのか?」

「え? 何かって言われても……特には? 向こうのパーティでも、リーダーのルギネさん以外はマギアプソプションと戦うのを嫌がったので、ルギネさんと二人で協力して戦ったくらいですかね」

「向こうのパーティも、モニカ達と同じような状況だったのか。まぁ、若い女性冒険者には、きつい相手かもしれんが……いや、そのパーティでな? リクの名前が出る度に、そのうちの一人が大袈裟に反応していたんだ。他のメンバーがからかうようにリクの名前を出して、うち一人が顔を赤くしたり、食べようとした料理を取り落としたりとかな。パーティ名と雰囲気から、女性だけの親密な関係だと思ってたんだが……リクの名前を妙に気にしていたのがな……」


 リリーフラワーの人達に、俺が特に何かをしたという事もないと思う。

 一緒に戦って、マギアプソプションを倒した、というだけだ。

 ルギネさんを治療した時に、妙な色気を振りまいてるアンリさんがニヤニヤしてたり、グリンデさんが威嚇するように歯を剥いてたくらいかな?

 マックスさんの話しで、からかわれてたのはルギネさんかなと思う。


 アンリさんが主導して色々言ってそうだというのは、すぐに想像できる。

 グリンデさんはルギネさん至上主義っぽいから、わからないけど……ミームさんは何かと焦げた肉にからめて、ルギネさんをいじってそうだ。

 というか、マックスさんもあの人たちが普通の関係じゃないと、見るだけでわかったみたいだ。

 まぁ、パーティ名の意味や雰囲気で何となく……という感じだろうし、人生経験豊富で色んな人を見ているマックスさんだから、見抜くのも簡単だったのかもしれないけどね。


「んー、特に問題になるような事はしていないと思うんですけど……。怪我をしたから、治療する時に魔力溜まりから離れようとして、抱き上げて走ったくらいですかね?」

「……それだな」

「それね」

「うん、それだね、リク君」

「それなのよねぇ……」

「え?」


 ルギネさんが、俺の名前に過剰に反応する理由で、思い当たる節はないと考えながら、治療する時に抱き上げた事を思い出した。

 それを話すと、叱ってるマリーさんと、叱られてるモニカさん、話を聞きながらも自分達に火の粉が飛んで来ないよう、視線を逸らして気配を殺してるソフィーとユノ以外が一斉に頷いた。

 皆、少し呆れるようにしながら、マックスさん、カテリーネさん、ルディさん、フィリーナの順番で言って来る。

 でも、あれくらいの事で、ルギネさんが変な反応をするようになるのかな?

 そもそも、男嫌いっぽくて女好き……それが男に抱き上げられたくらいで……ねぇ?


「あ、リクさん。あの時の事は、また後で追及するからね!」

「モニカ、ちゃんと聞きなさい! あっちの話を聞いているという事は、集中していないようね……!」

「ひぃっ!」

「「……」」


 俺がルギネさんを抱き上げて走った事に対し、モニカさんが何か文句を言いたそうにするが、それはすぐにマリーさんに咎められた。

 むしろ、こちらに反応した事で、マリーさんはさらに怒りのボルテージを上げたようだ。

 まぁ、説教してるのに、他の事へ意識が向いてたら、そうなるのも無理はないよね。


「はぁ……まぁ、リクはこういうことには疎いようだしね。わからなくても無理はないわ……似たような事は、これまでにもあったし」

「……苦労してそうだな?」

「私は、あんまり苦労という事は……。見てる分には、楽しんでますよ。ですけど、モニカがよく苦労しているみたいですね」

「……まぁ、そうみたいだな。父親として、喜んでいいのか、悲しむべきなのか……はぁ……」

「同じ女としては、ちょっと同情するかもねぇ……ね、ルディ?」

「え、いや……そうなのかな? 男だからわかんないけど……もしかしたら、子供が産まれたら理解できるのかな?」

「いやね、それはまだまだ先の話よ?」

「……? ……?」

 

 何やら、昨日初めて会ったばかりのフィリーナとマックスさんは、俺に対する共通の認識で意気投合しているようだ。

 ルディさんとカテリーネさんは、何故か子供の話に及んでイチャイチャし始めた……夫婦だからいいんだけど……羨ましくなんて……ないんだからね!

 それはともかく、全員が全員、俺を見て溜め息を吐いた後、マリーさんに叱られてるモニカさんの方へ視線を向けて、同情するような表情になっていた。

 なんとなく、マリーさんに叱られてる事に対しての同情じゃないというのはわかるけど……どういう事なんだろう?

 マリーさんの説教を聞きながら、わからない事に首を傾げ続ける夕食となってしまった。


 ちなみに、ずっと話に参加しなかったエルサは、用意されたキューを一本一本大事にしながら、かみしめるようにして食べていた。

 そんなにしなくても、今すぐなくなる物じゃないし、なんとかなると思うんだけどなぁ……。




――――――――――――――――――――



「おはようございまーす!」

「……おはようなのだわ」

「おはようなのー!」


 朝、起き出して部屋から店部分に移動して、朝の挨拶。

 俺に倣って、頭にくっ付いてるエルサと、一緒にいるユノも挨拶をした。

 エルサは気だるげに挨拶してるけど、朝に弱いとか眠いわけじゃなく、キューの事が気になって仕方ないからのようだ。

 昨日は魔力溜まりの調査と魔物の討伐だけだったし、中々キューを作る話が進まないと不満に思っているらしい。

 作られるようになっても、一日や二日でできる物じゃないって、以前にも説明したんだけどなぁ……やっぱり、キューが食べられなくなるかもしれないという危機感があるのかもしれないね。


 ユノは、元気よく挨拶。

 いつも元気がいいから、獅子亭の常連さん達に可愛がられる理由の一つだろうね。


「はい、おはよう」

「おう、おはよう」

「おはよー」

「おはようございます」


 獅子亭の店部分には、マリーさんとカテリーネさんがテーブルを拭いたりの掃除をしていて、マックスさんとルディさんは厨房で料理の準備中だ。

 それぞれの場所から、それぞれに挨拶が帰って来る。

 こういう、起きたら活気があるっていうのも、悪くないね……この世界に来てしばらくは、これと同じような生活をしてたんだけど。

 今は王城に間借りしていて、朝の挨拶はヒルダさんとか姉さんくらいだしなぁ。

 あれも悪くはないし、侍女さんとか女王様と挨拶をするって、一般の人から見たら贅沢なのかもしれないけどね。


「モニカさん達はどうしたんだろう? いつも俺より早く起きてたのに……」

「あぁ、あの子達なら、裏で走り回ってるよ」

「走り回ってる?」


 料理の方は俺に手伝えないから、マリーさんとカテリーネさんの方へ行き、掃除を手伝う。

 ユノも一緒だ。

 そうしながら、いつもは俺より早く起きて店を手伝っていたモニカさん達がいない事が気になって呟いた。

 それにマリーさんが反応し、店の裏で走り回ってるとの情報。

 モニカさんが寝坊をする事はほとんどないので、まだ寝てるとは考えてなかったけど、どうして走ってるんだろう?




再びモニカさん達はマリーさんによる地獄の特訓を受ける事になったようです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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