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マリーさんに叱られるモニカさん達



「ソフィーのおかげで、常連さん達が増えそうよ、ありがとね」

「いえ、宣伝をしたわけではないんですが……まぁ、獅子亭の利益になったのなら良かったです」


 マリーさんにお礼を言われて、少し恥ずかしそうにするソフィー。

 ネットとかない世界だから、こうやって評判の店というのは、口コミで広がって行くんだろうなぁ。


「だが、あいつら、リクの事も話してたぞ? ソフィーの事は以前から知っていたようだが……」

「あぁ、それは、冒険者ギルドで会ったんですよ。それと、魔物の討伐依頼も受けてたみたいで……マギアプソプションを倒すとき、協力しました。……モニカさんとソフィーやユノは、協力してくれませんでしたけど……」

「なんだ? パーティ合同の依頼だったのか?」


 マックスさんの方は、リリーフラワーのメンバーが俺の事を知っていたのが気になったようだ。

 ヘルサルに以前からいて、ずっと活動している冒険者は、元同じパーティのヤンさんが副ギルドマスタ―になっている事もあって、マックスさんとマリーさんはほとんど知ってる。

 獅子亭の評判も手伝って、冒険者もよく来るから、顔見知りな事も多いようだ。

 けど、リリーフラワーは最近ヘルサルに移動して来たから、マックスさん達はよく知らない。


 そんな人達が、最近ヘルサルを離れてた俺の事を知ってたのが気になったんだろう。

 まぁ、街で情報を集めたら、ゴブリン防衛戦の事で、俺が魔法で消滅させた事を話している人達は未だにいるようだし、名前くらいは知っててもおかしくないんだけどね。

 王都の人達みたいに、囲まれる事はないからずっとマシなんだけど……そろそろ他の事を話題にして欲しいと思う。

 冒険者ギルドを往復する時にもそうだったんだけど、未だに大通りを歩いたら、お礼を言われたり店の商品を融通してくれる声がかかるからなぁ……いや、気持ちは嬉しいんだけどね?


「合同でというわけじゃなく、たまたま目的が一緒だったんですよ。俺達は農地の調査と、そこに集まる魔物を見つけたら討伐をする。向こうは農地に集まる魔物を探して討伐するという依頼です」

「成る程な。それで協力したとマギアプソプションか……現役時代に一度だけ戦った事はあるな。魔物としてはそれほど強くないから、リク達には退屈な相手だっただろう?」

「いえ……それが……さっきも言ったように、モニカさんやソフィー、ユノ達が協力してくれなかったんですよ……」

「ちょっと、リクさん! それは父さん達には内緒……」

「モニカ……それはどういう事? 冒険者は……特に同じパーティのメンバーは常に協力をする事。これが長く冒険者を続け、生き残るための鉄則と教えてたわよね? まぁ、リクならそうそうやられる事はないでしょうけど……」

「えっと……それは……」

「「……」」


 マックスさん達に、リリーフラワーと依頼の関係で一緒になったという説明をする。

 マギアプソプションは、珍しい魔物だがマックスさん達も現役時代に戦った事があるらしい。

 ランクの低い魔物だから、全員で協力したらさっさと倒せたんだろうという意味で、俺達にとって退屈な相手と言ったんだろうけど……実際に戦ったのは俺とルギネさんだけだったからね。

 愚痴るように、モニカさんの方をジト目で見ながら、協力してくれなかった事を言うと、それを 聞いたマリーさんが、ジロリとモニカさんの方へ視線を向ける。


 その背後には、怒りのようなオーラが漂っており、愚痴る俺を止めようとしたモニカさんはタジタジ……ソフィーやユノは、食事をする手を止めて明後日の方向を見てる。

 元Bランク冒険者のマリーさんの圧力は相当だね。

 ……人生経験とか年齢、性格によるところが大きいのかもしれないけど。


「確か……気持ち悪いから……だったかな? 農地を調べるフィリーナを守るため、という名目で、俺だけマギアプソプションの方へ行かされたよね?」

「ちょ……リクさん……」


 一人で戦わされた仕返しとばかりに、その時の事を詳細に話す。

 元々、後で文句を言おうとしてたから、いい機会だね。

 俺が言っても、あまり響かないだろうから、ここは代わりにマリーさんに言ってもらおう。


「ふーん……成る程ね。気持ち悪いと……確かにマギアプソプションは気持ち悪いわ。戦う時、何故か魔法が不発になったから、私としてはそれなりに苦労させられた相手だわね。できる事なら、戦いたくないというのも、わからないでもないわ……」

「そ、そうよね母さん! 私達も、戦わないというわけじゃなかったの。でも、魔力溜まりがあって魔法も使えないし、土を調べて無防備になってるフィリーナを守らなきゃいけなかったりで……」

「でも! それでも一度受けた依頼、それに同じパーティで挑んでいるのだから、協力はしないといけないわ! そもそもパーティというのはね……」

「うっ……!」

「「……」」


 マギアプソプションを見た事のあるマリーさんは、その気持ち悪さを思い出しつつ、戦いたくないと同意するように言って頷いた。

 それを見てチャンスだと思ったのか、モニカさんが言い訳を並べ始めたが、途中まで黙って聞いていたマリーさんが言葉を遮って大きな声を出す。

 そこから、厳しくモニカさんに言って、お説教が始まった。

 マックスさんは、長々と怒りのお説教を始めたマリーさんを、苦笑いで見ているけど、やはり元冒険者で思う所があったのか、モニカさんに視線を向ける時は厳しめだ。


 ちなみに、マリーさん言っていた魔法が不発だったというのは、多分魔力溜まりがあったからだろうと思う。

 マギアプソプションは魔力溜まりに集まる魔物だ。

 今回程の魔力溜まりではなかったのかもしれないけど、フィリーナが言っていたように魔法に影響を及ぼして、その時は不発になってしまったんだろうね。


「だって、マギアプソプションの返り血って、臭いのよ……」

「だからと言って、リク君一人に任せる事はないでしょう!」


 相手が母親だからというのもあるんだろう、モニカさんは少し甘えるように言い訳を言うが、それもすぐにマリーさんによって怒られてしまう。

 親子だからモニカさんも、いつもは見せないような、少し子供っぽい事も言えるんだろうなぁ。

 あ、ちなみに――散々戦って浴びてしまったマギアプソプションの体液だけど、酷い臭いを放っていたので、ガラスを掘り返す前に魔法で水を作って洗い流した。

 剣も同様に洗って、ようやく匂いが取れたあたりで、エルサに乗って魔法を……という感じだね。

 ……臭いままだと、エルサが背中に乗る事を許してくれなかったからなぁ、酷い。


「まぁ、パーティは組んでいる以上、協力してしかるべきだな。でなければパーティの意味はないし、協力的ではないという理由で、不仲になり解散するパーティもよく見てきた」

「そうなんですねぇ」


 マリーさんに叱られるモニカさんを見ながら、嘆息するように呟くマックスさん。

 確かに、冒険者パーティは苦楽を共にするものだ。

 協力せずに仲間割れをするというのも、よくある話として納得できる。

 魔物と戦ったり、命を懸ける事も多いし、怪我をする事も日常茶飯事だ。

 皆真剣なのだから、そうなるのも当然だろうね。



パーティは協力するもの、それを忘れていたモニカさん達はお説教です。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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