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地中に埋まる物



「そういえば、俺も一つ気になった事があるんだ」

「リクが気になる事……どういった事なの?」

「マギアプソプションを全部倒したと思った後、ルギネさんが怪我をしたでしょ?」

「そうね」

「そのマギアプソプションは、ルギネさんが仕留めそこなった奴なんだ。尻尾に近い部分を斬られただけで、まだ死んでなかった……っていうだけなんだけど」

「ルギネの詰めの甘さだな。囲まれていた状態では難しいかもしれんが……確実に仕留めたかを確認しないといけない」

「あはは、そこは一緒にいた俺もそうだけどね。で、そのマギアプソプションが斬られた部分、ルギネさんを襲った後はほとんど傷口が塞がってたんだ。確か、瀕死になったりすると、魔力を吸収するんだよね?」

「魔力を吸収して、回復しようとすると言うのはそうだけど……再生しないまでも、あれだけの短時間で傷口が塞がるというのは……マギアプソプションの治癒力がどれだけかはわからないけど、早すぎる気がするわね」

「遠くから、私も見てたけど……そうなのかしら? あぁ、でもそのマギアプソプション、ルギネさんに襲い掛かる前は、頭を土に入れてたみたいだし、土から栄養を取って……とかは考えられない?」

「え……モニカ、それ本当?」

「え? ええ。フィリーナと一緒に土を見ながらだけど、離れてたからよく見えたわ」


 ふと気になった事、ルギネさんに怪我をさせた、死にぞこないのマギアプソプションの事だ。

 すぐに俺が斬って倒したけど、あのマギアプソプションは確かに傷口がほとんど塞がっていた。

 再生力がどれだけかは知らないけど、治癒魔法もなしに、数分程度で傷口が塞がる物なのかな? と気になってたんだ。

 フィリーナに聞いてみるけど、どうやらそんなに早く傷口が塞がる事はないようだ。


 どういうことかと考えると、モニカさんがふと話し始める。

 離れていた分、俺やルギネさんよりよく見えたんだろう。

 あのマギアプソプションは、頭を地中に埋めて回復に努めていたようだ。

 けど、植物じゃないんだし、土の栄養を得て治癒とか……できそうにない。


 そのモニカさんの言葉に、フィリーナが怪訝そうな表情で聞き返す。

 モニカさんは確かにその様子を見て、確認したようで、頷いて返した。


「地中にマギアプソプションが気にする何かがある……という事かしら? さっき調べた時は、特に何もなかったようだけど……魔力が多くて密度も濃いから、傷口が塞がる程の治癒力があるのはなんとなく、わからないでもないわ」

「ふむ……地中かぁ……」

「リク、あれではないのか?」

「ん?」


 魔力が多く、密度も濃いから、マギアプソプションの傷口が塞がる程の事が起こっても、おかしくはないみたいだ。

 ただその場合、顔を突っ込んで……という事は、空気中よりも地中の方が魔力が多いという事になる。

 ヘルサル近くで地中に何か埋まってるって事なのかな?

 首を傾げながら考えていたら、ソフィーが何か思い当たったようだ。


「以前、ここの調査に来た時の事だ。農場としての調査だけでなく、ガラスの産出が……というのもあっただろう?」

「あー、そうだね。そんな事もあったっけ」


 異常な程の高熱で、地面がガラス化しちゃった奴だね。

 あの時は、まだこの世界に来て日が浅かったから、ガラスを作ったりしたら何かしら影響が出ると思って、地中に埋めて隠したんだった……。

 忘れてたというか、埋めて証拠隠滅をしたから、忘れたかったというか……。


「何、ここではガラスも取れるの? でも、そうだとしたら農地としては使えそうにないけど……それに、少し調べだけだとガラスなんてなさそうだったわよ?」

「いや、そうじゃないんだ……えっと……」


 あの時の事を、フィリーナにも説明する。

 モニカさんやソフィーにも、透明度の高いガラスを広めたらいけないと思って、地中に埋めたという事もついでに白状した。

 ここに至って、隠してる必要はないしね。

 量は多かったけど、限りがあるからここでガラスが出ると思われたくなかったというのも、ついでに説明。


 透明度の高いガラスが取れる場所と判断されたら、農地として使う事はなかったろうから、あの時の俺、ファインプレーだ。

 おかげで、ヘルサルでキューを作る見込みができてるからね。

 さすがにこうなる事を予測して……なんて事は全くなく、完全に偶然だけど。


「へぇ~、そうなのね。そのガラスは、そんなに良い物だったの?」


 俺が作ってしまったガラスを見ていないフィリーナは、どれだけの物だったか興味があるようだ。


「混ざり物がないように見えたな。透明度が高すぎて、ガラス越しでも向こう側がはっきり見えるし、歪んで見える事もなかった」

「あれが継続して取れたら、ヘルサルがガラスの里になってたわね」

「そんなに……?」


 調査する前に見たガラスの事を、ソフィーとモニカさんが、フィリーナに説明する。

 というかモニカさん……ガラスの里って……。

 適当に思いついた言葉を繋げて言っただけだろうけど……ちょっとだけ日本が懐かしくなった。


 こちらの世界に来るまでは、ガラス越しに見ても歪んだりしない物なんて、ありふれてた。

 けど、こちらではそんなガラスを今まで見た事がない。

 ……俺の魔法が原因で作られたガラスは除いて、ね。

 こちらの世界のガラスは高級品らしく、普通の民家には使われていない。

 窓はあっても、ガラスではなく木扉がはめ込まれており、開かないと外が見えない。

 王城では、結構な頻度で窓にガラスが使われてたけど、最上級の建物だからだと思う。

 それも丸いガラスをいくつも合わせた物で、日の光は入って来るけど、外の景色を見る事はできない。


 丸いガラスというのは、瓶底みたいな物だね。

 何となく透き通ってはいるけど、ガラスの向こう側は歪んで見える。

 手の平よりも小さいくらいの、瓶底のようなガラスを、金属の枠を付けて繋げ、窓にはめ込んでるみたいだ。

 ……確か、ロンデル窓だとかなんとか、呼ばれてたっけか。


 そんな窓が精一杯で、おそらくまだ透明度の高いガラスや、大きく平たいガラスを作る技術が確立されてないんだろう。

 少なくとも、この国ではそうだ。

 そんな中で、急に地面を調べたら透明度の高いガラスがあったりしたら……うん、隠して正解だったかも?


「地中に埋まるガラスと、マギアプソプション……さらには魔力溜まり、ね……何か繋がってる気がするわね。マギアプソプションは魔力溜まりを探す習性があるのは、もう説明したけど……もしかしたら、地中の方が魔力が濃かったり、魔力量が多かったのかもしれないわ。何かがあると、頭にある角で感知してたのかもね」

「成る程な……それなら、地中の方が魔力があるため、頭を突っ込んだりしてたわけか」

「そして、魔力が濃いから吸収してすぐに、傷口が塞がった……と。リクさん?」

「え、何?」


 フィリーナの説明を聞き、マギアプソプションの事を考えてうんうん頷いていたら、モニカさんに声をかけられる。

 このタイミングで声をかけられるって、なんか嫌な予感がするんだけど……?




何かを頼まれそうですが、ここまで話してると何をして欲しいのか、大体わかりますよね。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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