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皆に事情の説明



「明日の話なんだけど、ヘルサルに一度戻ろうかと思うんだ」

「ヘルサルに?」

「えっと……以前モニカ達のいた街よね。それはまた、どうして?」

「ヘルサルってどこですか?」

「レナーテお嬢様、ここは静かにリク様の話を聞きましょう」


 ヘルサルの名前を出すと、ソフィーとフィリーナは首を傾げ、街の事を知らないレナは疑問顔だ。

 メイさん、ありがとうございます。

 レナに説明していたら長くなるだろうから、注意してくれて助かった。

 エルサは、何故この状況でヘルサルに……と問いたげな視線だが、その眼に力はない……そんなにキューが大事か。


「えぇと、モニカさんとソフィーは知ってるけど、ヘルサルの近くに広い農地が用意できそうなんだ。それで、そこにキューを作る農場にできないか、確認をしに行こうかとね。さっき相談して決まったんだ」

「キューなのだわ!? キューを作るのだわ!?」

「落ち着けエルサ。今からじゃないぞ? 明日だからな。急に大きくなったりするなよ?」

「わかってるのだわ。そんな事、私はしたりしないのだわ!」

「いや、昨日まさにしようとしてたんだけどな……」


 キューを作ると言う所に過剰に反応するエルサ。

 やっぱり、エルサはこういう反応するよなぁ……と思いつつ、変に暴走したりしないように落ち着かせる。

 エルサ自身は暴走したり、大きくなろうとはしてないと言い張るが、昨日の事があるので信用はゼロだ。

 とにかく、エルサへのツッコミは置いておいて……。


「その場所が用意され始めたのが、俺の勲章授与式よりも前……エルフの集落へ行くよりも前の事だから、それなりに準備は整ってるんじゃないかと思うんだ。だから、そこでキューを作ってもらえないかとね」

「成る程な。あの場所は広大だったから、既に準備ができているなら、時間の短縮ができる」

「そういう事。だから、明日ヘルサルに向かおうと思ってるんだ。どうだ、エルサ。俺達を乗せて行ってくれるか?」

「もちろんなのだわ! 契約者のリクと一緒にいるのは当然だけどだわ、それとは関係無しに飛んで行くのだわ! 超特急だわ!」

「超特急?」


 農地が用意されている可能性を説明し、ヘルサルへ行く目的を皆に伝える。

 ソフィーは俺が魔法を使った場所を、見知っているから、納得して頷いている。

 フィリーナやアルネは、キューの数を確保できるのか少々疑問に感じているようだけど、黙って頷いてくれてる。

 皆を一度見渡した後、表情に元気が戻り始めたエルサに、ヘルサルまで乗せてもらえるかを問いかける。


 まぁ、空を飛ぶ事が好きなようだし、キューの事がなくとも断られるとは考えてないけど、一応ね。

 エルサは持っているキューを握りつぶすくらい力を込めて、前のめりになりながら、俺達を乗せて飛ぶ事を了承。

 レナが超特急という言葉に反応し、また疑問顔だけど……これにはメイさんの注意はなかった。

 鉄道とかないから、この世界にそんな言葉はないしなぁ……メイさんもわからなかったんだろう、首を傾げてる。


「よし、それじゃあ明日はヘルサルへ出発だね」

「それはいいんだが、ヴェンツェル様からの訓練とやらは、いいのか、リク?」

「それまでには帰って来る予定だよ。待たせるのも悪いしね。予定では……明日から四日間くらいかな」

「そうか、そこまで決まってるのなら、問題はないな」


 ヘルサルに行く事を決めようとしたところで、アルネからの質問。

 そういえば、ヴェンツェルさんと師匠さんの話をしてた時、アルネやフィリーナも聞いていたんだっけ。

 その予定日と重なる事を心配したんだろうね。

 それまでには帰って来る事を、アルネに伝えると、納得して頷いてくれた。


「それじゃ、誰がヘルサルに行くか決めないとね。私は、獅子亭があるからもちろん、ついて行くわ」

「私も行こう。センテにいた頃、農地を見た事は何度もあるからな。何か話せることがあるかもしれん」

「今回は、特に魔物討伐だったりはしないようだな。なら、俺は王都に留まろう。俺では、役に立てないだろうからな」

「そうね、アルネは農業の事は何もわからないものね。それじゃ、私は行く事にするわ。エルフの集落で培った知識を、役に立てるかもしれないからね」


 ヘルサルに行くのは、モニカさんとソフィー、あとはフィリーナか。

 何故アルネは役に立てず、同じエルフのフィリーナが役に立てる事になるのか、疑問に思って聞いてみる。

 エルフの男性は、主に狩猟と魔法の研究をし、女性は作物を育て木々を健やかに育てる研究をするから、との事だ。

 もちろん、個人差はあるし、女性エルフでも魔法や狩猟に興味を持ったり、男性エルフが作物を育てるのに一生懸命になったりする事もあるらしいから、決まりとかではないようだ。


 大まかに分けるとそうなるとの事で、アルネとフィリーナは例に漏れず、得意分野が違うらしい。

 兄妹で知識交換をする事もあるから、お互いの得意な事もある程度わかるみたいだけどね。

 そういえば、以前に魔法具を見てもらった時、アルネがメインで、フィリーナが補佐の役割だった。

 そうやって住み分けというか、役割分担をしているんだろう。


 さらに、エルフは植物への共感能力があるので、作物に対しても助言できる事があるかもしれないとの事。

 これは、魔物討伐の時に、木々と交信して大まかな魔物の位置を割り出したのと、同じような事らしい。

 エルフ特有の能力みたいだね。

 フィリーナはこれに魔力視のような能力も持ってるから、農業関係は強いらしい。


「私も、私も行きます!」


 ヘルサルに行くメンバーが決まって、エルフの話を聞いていると、突如レナが手を上げて叫んだ。

 さっきまで、ヘルサルがどういう街か、メイさんとエフライムに教えてもらってたようだけど、興味が沸いたのかな?


「いや、レナーテ……さすがにお前はいけないだろう」

「どうしてですかお兄様?」


 レナに注意するように、ヘルサルには行けないと説明するエフライム。

 貴族の子女という事もあるし、王都へ来たのは俺達について行動するためじゃないとかなんとか、四苦八苦しながら説明してた。

 まぁ、レナは冒険者でもないし、勝手に俺達について行動する事もできないか。

 というかエフライム、甘やかすだけじゃなくて、ちゃんとレナに言い聞かせる事もできたんだなぁ……。

 俺達がヘルサルに行っている間、レナも離れる事になるのが嫌だから……かもしれないけど。


 そうして、明日の出発が決まり、今日は早めに休む事を決めて、解散となった。

 レナは最後までついて行くと言い張ったけど、メイさんも止める側に回った事で、渋々頷いてくれた。

 かわいそうだから、何かお土産でも持って帰って来よう……ヘルサルのお土産って、何かあったかなぁ?


 ヘルサルまでの移動は、エルサに乗って数時間程度だし、よく知った街なので、道中の昼食をヒルダさんに頼む程度で、特に準備も必要ない。

 明日への期待感でいっぱいなエルサを、風呂に入れて寝かせるのに苦労したくらいで、何事もなく就寝した。

 そういえば、エルサが超特急とか言ってたけど、空を飛ぶのは大丈夫なのだろうか……なんて、一抹の不安を抱えていたりいなかったり……。




いつもは優雅な空の旅も、今回は不安がつきまといます。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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