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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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パレードの合間にひと時の休憩



「言われてみれば、そうかもね」


 授与式だったりなんだったりと、人前に出る事が多いのは、女王様としては当たり前で慣れてるのかもしれない。

 それでも、出発から考えてもう数時間……笑顔を維持したままゆっくりと進むのは、結構辛いんだろう。

 俺もそうだけど、姉さんも辛いのならと思って、後ろの様子をちらりと窺って見る。

 少し離れたオープンカーのような、屋根の無い馬車に乗ったモニカさん達がいるのだけど、その皆の表情は、疲れているのがはっきりと見て取れた。


「皆も疲れてるみたいだね……」

「そうみたいね。元気なのは……ユノちゃんだけかしら?」

「そうだね。ユノだけは元気に笑ってるね」


 モニカさんやソフィー、アルネやフィリーナはもう笑顔を作る元気すらなく、手を振ったりはしているけど、疲れてる様子は隠しきれていない。

 それに対して、ユノだけは笑顔のままはしゃぐように手を振ったりしている。

 多分、これだけ多くの人が集まってるのが、珍しくて楽しいんだろうと思う。

 エルサだけは、我関せずでモニカさんの膝の上で寝ているようだけど。


 手を振る傍ら、ソフィーが開いてる方の手でエルサを撫でているのも見えた。

 ……モフモフで疲れを癒してるのかな? 


「まぁ、あっちは仕方ないわ。こういう事に慣れてないのでしょうし」

「俺も慣れてないんだけど……?」

「りっくんは慣れて無くても頑張らないと。このパレードの主役なんだから。……もう少しで休憩だから、頑張って!」

「うん……わかった」


 主役になりたくてなってるわけじゃないんだけど……と思いつつ、姉さんに言われて顔に力を入れ、頑張って笑顔を維持する。

 パレードの進行としては、そろそろ休憩になるはずだから、それまでの辛抱だ。

 表情筋って言うんだっけ? 明日には筋肉痛になりそうだね……。

 

 笑顔が少しずつ引き攣るのを自覚しながら、なんとか笑顔を維持してしばらく進む。

 いくつかの大きな通りを進んだ後、結構な広さの開けた場所に到着する。

 そこで待機していた兵士さん達と、これまで随行して来た兵士さんや警備してくれてた兵士さん達が交代し、俺達はここで休憩だ。


「はぁ……疲れた……」

「まだパレードは終わってないわよ? でもまぁ、確かに疲れたわね……」


 馬から降り、世話を他の人に任せて広場の真ん中で休憩をする。

 外から見えないように陣が作られていて、その中には簡易的なテーブルと椅子が用意されていた。


「お疲れ様です、陛下、リク様」

「あぁ、ヒルダさん。お疲れ様です」

「ヒルダ、とりあえずお茶をちょうだい」

「畏まりました」


 陣の中には、先にヒルダさんが待機しており、俺達を迎えてくれる。

 中の椅子に座りながら、ヒルダさんに姉さんがお茶を頼んだあたりで、モニカさん達も馬車を降りてこちらにやって来た。


「はぁ……リクさん、陛下、お疲れ様です」

「モニカさん、皆、お疲れ様」

「お疲れ~。今ヒルダがお茶を用意してるから、皆も休んで」

「ありがとうございます。……しかし、ずっと笑っているのも疲れるものなんだな……」

「ええ。顔が引き攣っているのが、はっきりわかったわ」

「こういう事は慣れてないからな……仕方ないだろう」

「人がいっぱいで楽しいのー!」

「リク、補給なのだわ!」

「はいはい。あ、ヒルダさんありがとうございます」


 疲れた顔をしている皆は、それぞれに話しながら椅子に座り休憩し始める。

 何を補給するのかはわからないけど、そんな事を言いつつ俺の頭にドッキングしに来たエルサを受け止めつつ、お茶の用意をしてくれたヒルダさんにお礼を言う。


「はぁ……お茶が美味しい。ヒルダ、行程に遅れは?」

「警備も滞りなく、進行は順調なようです。予想された邪魔も入らず、このまま進行したなら、予定通りに終わるかと思います」

「そう。予定通りなら良かったわ」

「……予想された邪魔?」


 お茶をのみつつ、進行状況をヒルダさんに聞いた姉さん。

 ヒルダさんが言うには、進行は順調なようだけど、予想された邪魔ってなんだろう?

 何かが起こるとか、予想してたのかな?


「こういうお祭り騒ぎの時って、必ずはめをはずした人が現れるわ。もしかしたら、酔っ払ってパレードの進行を邪魔する人が現れるかもしれないと、予想していたのよ」

「酔っ払いかぁ……それは確かに面倒そうだね……」

「悪い予想では、酔った者達が複数で進行を妨げると予想されましたが……今のところそういった事はありません」

「……酔っぱらいは面倒ですよね」

「そうだな。酒場ではよく見て来たが……こちらの話が通用しない者もいるからなぁ」

「エルフはあまりお酒に酔ったりはしないものだけど、そういうものなの?」

「フィリーナ、エヴァルトを思い出すと良いかもしれないな」

「……それは面倒ね」


 酔っ払いは行動が予測できないからなぁ……まぁ、今のところそういった事が起きていないのなら良かった。

 しかし、アルネとフィリーナが話してるけど……エヴァルトさんって酔ったらどうなるんだろう?

 あのヴェンツェルさんに負けないくらい、筋骨隆々とした体で暴れたりするんだろうか……?


「報告によれば、まだ日が高い事もあってお酒を飲む者が少ないとの事です。本番はパレ―ドが終わった後かもしれません」

「祝勝ムードで、早々と浴びるようにお酒を飲む人達が増えると思ったけど……違ったのね?」

「はい。もしかすると、リク様のおかげかもしれません」

「俺?」


 俺がいる事と、お酒を飲む事に何か関係があるんだろうか……?


「リク様は、これまで酒場の出入りをした……という事がありません。なので、酒場での目撃情報が無く、観衆はリク様がお酒を飲まないのだと考えているのだと思われます。そして、そんなリク様を見るのだから、お酒で酔った状態ではなく、素面で見ようという人が多いのかもしれません。あくまで、お酒を飲んで騒ぐのは、リク様を見た後……パレードが終わった後でという事なのでしょう」

「……そうなんですか。まぁ、確かに俺は酒を飲みませんけど……」

「……まぁ、未成年だしね。この国では成人してるけど」


 ヒルダさんの説明に、よくわからないながらも頷いておく。

 横で姉さんがボソリと呟いたけど、確かに俺は日本ではまだ未成年だ。

 お酒を飲んだ事はほぼないし、味わいたいともあまり思わないからなぁ。


「これでリクさんが酒場に出入りして、お酒を飲んでいたら……予想された事が実際に起きてたんでしょうね」

「あぁ。場所によっては、冒険者が酒を浴びるように飲んで騒いでいるところもあるからな……それに巻き込まれて、一緒にリクが騒いでいたら、違った状況になっていたのかもしれないな。あまり想像できないが」


 モニカさんとソフィーが顔を突き合わせて話しているけど、そんな俺は自分でも想像できない。

 俺はお酒を飲まないから、酔って騒いだりする状況というのがあまり想像できない……まぁ、冒険者さん達が飲んで騒いで……というのは、すぐに想像できるけど。

 何はともあれ、予想されてた騒ぎが起こらないというのなら、安心してパレードができる……と考えておこうと思った。




リクを見習おうとして、昼間からお酒を飲む人が少ないようです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はブックマークを是非お願い致します。


作品を続ける上で重要なモチベーションアップになりますので、どうかよろしくお願い致します。

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