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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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1947/1950

ベルンタさんの調査結果

ブックマーク登録をしてくれた方々、評価を下さった方々、本当にありがとうございます。



「以前、リクとも話したあれじゃよ。冒険者の中に不届き者がいるかどうかの調査じゃ」

「あぁ、そういえば……」


 ヘルサルやセンテでも、調査してもらっていたけど最初はブハギムノングでの事があって、それでベルンタさんとも話していたんだった。

 ブハギムノングの鉱山内で魔物の研究所というか、エクスプロジオンオーガの復元などをしていたモリーツという男性。

 その人が鉱山内に作った施設は数人程度でできる物ではなく、それに冒険者が協力しているんじゃないか、という話だ。


「結論を言うと、数十人規模で入り込んでおったよ。帝国の紐付き冒険者がの」

「数十人ですか」

「まだ、この国全体で調査を確定させる程の精査はできておらんが、少なくともブハギムノングやルジナウムなどの周辺地域。中央冒険者ギルドのあるこの王都周辺、さらにはいくつかの貴族領にある支部での調査結果じゃ」


 全てではなくとも、結構な範囲を調べ終えていたらしい。

 その中には、ヘルサルやセンテなども含まれているとか。

 一時期、魔物に取り囲まれたり、俺が一体を凍らせてしまったりでセンテの支部とは連絡が途絶えたけど、その後はベルンタさんと協力して周辺も含めて調べ上げたとの事。

 あちらは、シュットラウルさんも全力で協力していたから、調査の進みも早かったみたいだ。


「帝国の紐付きという事は、黒で間違いないわね。やはり、裏ギルドから?」

「黒も黒、真っ黒じゃよ。裏ギルド、まっとうなわしらからすると業腹じゃが、なんでもありの人に対する依頼を出すギルドとも繋がっておった。もちろん、それらは全て帝国に存在しているようじゃの」

「裏ギルド……」


 呼び方は闇ギルドとも呼ばれる事はあるけど、早い話が表で人を助けるための依頼を割り振るのがマティルデさん達冒険者ギルドなら、裏で人には言えない犯罪すら厭わない依頼を出すのが裏ギルド。

 なんでもあり、というのには盗みだけでなく殺人なども含まれているらしい。

 その裏ギルドからの依頼で帝国から冒険者がアテトリア王国に来て、諜報やら何やらをやっていたって事みたいだ。


 鉱山内に施設を作る協力をしたのも、そういった冒険者なんだろう……冒険者であれば、怪しまれない可能性が高いからね。

 多分、バルテルが囲っていた人達や、クレメン子爵領で幅を利かせてエフライムとレナちゃんの兄妹をさらって脅していたのも、それだろう。


「帝国から直々に裏ギルドに依頼が出されている、で間違いないのう。というより、大方の予想通り帝国にある冒険者ギルドは、表向きはこちらと変わらない業務をしていても、裏では繋がっている。いや、傘下と言うべきか」

「はぁ、やっぱりね」


 ヤンさん達も予想はしていたけど、確定したってところか。


「となればやはり、冒険者ギルドとしてはアテトリア王国と協力を密にしないといけないわ。それこそ、戦争参加を冒険者に促す程に」

「じゃからこそ、先にリク殿に対してクランの設立を促したんじゃろう?」

「まぁ、ベルンタ爺の動きで確定するまでは、あくまで予想。証拠と言えるものもあまりない状態だったから。私の進退を賭けた意味があったわ」

「もしかして、予想が外れていたらマティルデさんの立場も危なかったり?」

「危ないどころか、戦争参加をギルド側が冒険者に促すなど、左遷では済まなかったかもしれんのい」

「そうだったんですか……」

「だから、リクにクランの話と戦争への協力、というより向こうが戦争で出してくるはずの冒険者への対処を頼んだ時、もしもの際には私をお願いしたのよ」

「あれは、俺がクランを断ったら立ったと思いますけど、本気だったんですね」


 冗談交じりだったから、適当に流した気がするけど。

 まぁともあれ、統括としては冒険者が積極的に帝国に利用されて戦争参加される、さらに裏ギルドの関与なども考えたら、放っておけない事態だったんだろう。

 確定するまで待っていたら、クランの設立は間に合わなかっただろうし、先を見据えて動けたのはマティルデさんの慧眼と言えるのかな、多分。


「して、紐付きの冒険者共じゃが、対処は規定通りにするのかの?」

「そうね。裏ギルドからの依頼を受けているわけだから、確実に犯罪に手を染めているはずよ。まぁ内容を精査する必要はあるでしょうけど、全員冒険者資格は剥奪。直ちに冒険者ギルドカードの没収の後、罪状を加えて国に引き渡して」

「畏まったのじゃ。既に判明している者達に関しては、捕縛し罪状の精査は済んでおるがの」

「さすが、腕は鈍っていないようね。インビシベルンタの異名を持っているだけあるわ」

「久々に聞いたが、恥ずかしいのでそれは止めてくれんかのう?」


 本当に嫌そうにしているベルンタさん。

 インビシベルンタって……インビシブルって事なのかな?


「気を付けるのよ、リク。ベルンタ老は飄々としながら、その内側に入り込んで相手を丸裸にさせるの。そのうえで、裏切り者を見つける天才とまで言われ、目に見えず、気付いたら全ての悪事が暴かれていた、なんてのもざらにあるわ。だからこそついた異名がインビシベルンタ。特に組織内部、冒険者ギルドという巨大な組織にはびこる悪を、これまで散々暴いてきたの」

「気を付けるも何も、悪い事をしなければ暴く事もないのじゃがの」

「は、はぁ……」


 よくわからないけど、とにかくベルンタさんは冒険者ギルド職員だけでなく、冒険者も含めた組織内の内偵調査が得意、という事だろう。

 公安みたいな事をしている、と考えていいのかもしれない。


「おかげで、アテトリア王国ないで裏ギルドのような事をする馬鹿はいないし、不正もほとんどないのだけど。統括ギルドマスターになるより以前、ベルンタ爺の前に立たされた際には生きた心地がしなかったわ」

「目立っていたマティルデ嬢は、悪い噂が絶えなかったからの。酷いものでは、女の武器で幹部を篭絡して――なんてのもあったくらいじゃ。結果的には、わしも驚くくらい真っ白だったのじゃが」


 あぁまぁ、その辺りの噂はなんとなく想像が付く。

 マティルデさん、妖艶と言う言葉が相応しく年齢不詳。

 そういった女性が好みな男なら、一目見ただけで落ちてしまうだろうとも思う。

 モフモフなエルサやモニカさんがいてくれたおかげで、あんまりジロジロ見たりはしなかったけど、出る所は出て引っ込むところは引っ込んでいて色気がちょっとおかしいんじゃないかな? と思うくらいな美人さんだ。

 

 女狐、と呼ばれているのも聞いた事があるし、そういった噂があるのも理解できる。

 姉さんと話していたのを聞いたら、実際には結構初心なところもあるんだろうな、とは思うけど。

 人によっては、そのギャップにクラっと来る人もいるかもね。

 なんて考えている間に、マティルデさんが話を戻す。


「まぁ昔の話はともかくとして、ベルンタ爺、リクのクランに参加している冒険者達についてはどうなの? こちらで調べた限りでは、問題なかったのだけど」

「少数ながら、怪しい者はいたようじゃの。じゃが、リク殿の方で解決済みじゃ。個別に調べたわけではないが、帝国出身者だからと必ず紐付きと言うわけではないからの。あちらでは裏ギルドと繋がっていない冒険者の肩身は狭い。そのため、アテトリア王国だけでなく他の国へ移動する事もよくある事じゃ」

「俺の方でって事は……アンリさんとグリンデさんの事ですね。事情は本人達から聞いていますし、大丈夫だと思います」


 あの二人は、センテで話を聞いたけど帝国に対して特にいい感情は持っていないようだった。

 アンリさんなんて、レッタさんが機転を利かせなかったら生きていなかった可能性も高いくらいだし。

 二人共、話を聞いてセンテのギルドマスターであるベリエスさんも、危惧する要素なしと判断しているから。


「その二人だけじゃなく、ミームとかいうのも多少関わりがあったようじゃぞ

「ミームさんが、ですか!?」


 リリーフラワーのメンバー四人は、全員ベリエスさん達が調べたうえ、本人達とも話していたんだけど……。


「まぁ、帝国出身だとか、裏ギルドとの繋がりというわけではないから、安心していいぞい。ただ、現在のパーティに入る前に、ちょっとしたいざこざがあったようじゃの。本人は、そのせいで色々と性格というか考え方と言うべきか、そちらに支障が出ている気がするが、その辺りはパーティ間の問題と言う程度じゃろうて」

「そう、ですか……」


 ミームさん、妙に干し肉にこだわっていたり、なんとなく影があるような独特の空気感を持っているけど、よく考えたらあまり話した覚えがない。

 口数の少ない人だから、ルギネさんやアンリさん、グリンデさんの陰に隠れてそういった機会もなかったしね。

 ……パーティやこれまでの活動は別だったけど、クランに所属してもらっている以上、もう少し話す機会を設けた方がいいのかもしれない。

 ミームさんに限らず、人となりを知るためにも。


「すまないね、リク。こちらで調べたうえで厳選し、推薦した冒険者もいるってのに、さらにベルンタ爺にまで調べさせて」

「いえ、事が事ですから……先に相談して欲しかった、とは思いますけど。国家間やギルドの立場としても色々あるんでしょうし。慎重に、そして念入りに調べるというのもわかります」

「そう言ってくれると、少し気が楽になるわ。私の立場としても、念には念を入れないといけなかった。まったく、統括ギルドマスターになんてなるもんじゃないわ。こういう時、人を疑ってかからないといけないんだから」


 愚痴るように言うマティルデさん。

 今は冒険者ギルドで詳細を調べてくれているからいいけど、この先クランを続けるとなれば、俺もよく考えないといけないのかもしれない。

 戦後に、クランを続けるかどうかまではまだ決めていないけど……誰か俺以上の適任に任せて、とかできればいいなぁ。


「人の上に立ち、管理するというのはそういう側面もあるからのう。わしは、それが嫌で逃げ……いや、閑職に追いやられたんじゃったか」


 今、ベルンタさん逃げたって言いかけたよね。

 まぁ人を疑う事が常になると、色々嫌になるものなのかもしれない。

 それだけ、見たくない部分を見てしまう事もあるだろうし。

 そんなこんなで、冒険者さん達と帝国や裏ギルドとの繋がり、さらには冒険者ギルドの職員さん達の内偵調査などの話を、ベルンタさん達として、部屋を辞した。


 職員さん達にも繋がりを持っている人がいた、と聞いた時は驚いたけど、アテトリア王国だけでも職員さん達の数はかなり多いし、そういう事もあるかと納得する。

 ともあれ、部屋を出た後はワイバーン達の様子を見るために移動。

 とはいっても、臨時冒険者ギルドからすぐ近くだから、歩いて数分と言ったくらいだけど――。



「ガァゥ!」

「よーしよし!」


 ワイバーン達のいる場所、竜騎隊のための広場だけど、そこに到着する辺りでリーバーが俺を発見。

 低空飛行で急いで飛んできたと思ったら、頭を下げてこすりつけるようにしてきたので撫でておく。

 なんとなく、動物に懐かれている気分……動物じゃなくて、結構強めの魔物なんだけど。

 モフモフではないけど、リーバーはひんやりしていてスベスベなのもあって、撫で心地は悪くない。


 これがリザードマンだったら、ヌルヌルしていたんだろうけど。

 同じ爬虫類っぽさがある見た目でも、結構違うんだなぁ。


「リク様! どうかされましたか?」

「いえ、リーバー達の様子を見ようかと思って」


 やる事がないわけじゃないし、結界内での長時間訓練後なので疲れているから、空いた時間は休むのでも良かったんだけど、戻ってきてからリーバーに顔を見せてなかったからね。

 獣王国に行っていたのは数日くらいだし、何が変わると言う程の事もないだろうけど。

 リーバー達は、これまで通りおとなしく竜騎隊として兵士さん達と仲良くやっているようで、運用のための訓練などもしっかりやっているようだ。

 俺としては、輸送や偵察とかでの活躍を期待していたんだけど、訓練内容はどう考えても前線で戦うためのものだったけど、まぁリーバー達も意気高く戦う気満々みたいだからいいかな。


 それから、リーバーは竜騎隊の隊長さんに良く懐いたようで、最初は俺とモニカさん以外の人を背中に乗せるのはあまり好まなかったのが、今では喜んで乗せているとか。

 ただそれでもリーバーとしては、俺、モニカさん、隊長さん、という格付けというか優先順位があるらしく、俺を見て飛んできた時も隊長さんを放っておいていたらしい。

 名前を付けてくれたモニカさんに懐いているのはともかく、俺より隊長さんを優先して欲しいんだが……まぁリーバーが協力してくれる事になった経緯が経緯だから、仕方ないか。 


 ちなみに、エルサに対する優先順位はあまり高くないらしい、格付けとしては俺と同等みたいだが、同じく俺達を乗せて飛ぶ事から、ちょっとしたライバル意識みたいなのが芽生えているとか。

 エルサに言ったら、リーバーが怒られそうなのでこれは黙っておこう、ちょっと面白いし。


「成る程、結構実戦的な訓練をしているんですね」

「はい。空を飛ぶ、と言うのは馬に慣れている我々にとっては少々特殊ですが、慣れてみれば体力の消費も少ないです。ワイバーン達の体力に関しては、無尽蔵にあるのではないかと思う程で。ですので、王都周辺の魔物達を相手に、空からの戦闘訓練を積んでおります」


 ワイバーン達は、帝国の研究で復元された際の処置で、魔力ある限り怪我をしても再生するようになっている。

 代わりにリーバー以外魔法が使えなくなっているけど、その影響で体力の方も魔力と繋がって疲れ知らずに近くなっているんだろう。

 訓練に参加しない、またはない時は何故か喜ぶ皮を剥いでの素材採集なんかにも、積極的に協力しているみたいだ。


「多少の怪我は問題ないし、戦闘訓練もしている……隊長さん、ちょっと提案なんですけど――」


 騎竜隊の隊長さんに、軍と俺を含めた冒険者との演習の予定を伝えて、提案する。

 演習に、軍として組み込んで参加しないか、と。


「騎竜隊は、リク様の管轄とされていて軍内部でも立ち位置は特殊です。それを、軍に組み込むのですか?」


 演習の話は既に聞いていたらしく、軍全体でその準備をしている最中らしいけど、騎竜隊は最近できた部隊のため、それには参加しない予定だったとか。

 というか、俺の管轄って……国の軍隊の一部隊を持ったつもりはないんだけど。

 確かにワイバーンを貸し出している、取れる素材は俺を通して売買する、となってはいるけれども。


「指揮系統ははっきりしておいた方がいいと思うんです」


 戦争は体験した事がないし、軍隊に関して詳しいわけでもないけど、後々の混乱に繋がりそうな部分は排除しておいた方がいいはずだ。

 わざわざ、動くために俺に確認をする手間なんて、無駄でしかないだろうからね――。




リクは竜騎隊の指揮系統がきになったようです。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

また、ブックマークも是非お願い致します。

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