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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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1941/1951

連れてきた人達に確認



「んん! えっと、これは?」


 咳ばらいをしつつ、意識をマニグレットさんから渡された羊皮紙に向ける。


「そちらは、関所への通達になります。獣王様の印が既に記されている物で、正式な通達文書となりますので、そのままお渡し下さい」

「わかりました、必ずお渡しいたします」


 王妃様から獣王様の印が記された正式な書類を受け取って、少しだけ改まって受ける。

 こういうやりとりは、ちょっと緊張するね……既に、姉さんへの書状を受け取ってはいるけど、あっちは内容の多くがあれだしね。


「マニグレット、しかと記したか?」

「はい、もちろんでございます。いかにリク様が素晴らしい方か、我らの獣王国を救って下さった事なども含めて、したためております」

「うぇ!?」


 獣人さんって、手紙とかにそんな内容を描かずにはいられないの!?

 と驚く俺を他所に、ハルさんは満足気……視線を巡らせると、レオルさん達王族だけでなく、後ろに並ぶ獣人さん達、それにアマリーラさんやリネルトさんも当然とばかりに頷いていた。

 ほんと、獣人さんって……。


「と、とにかくこれは間違いなく渡すようにするとして……そろそろ、準備が整ったようですね」


 この場で羊皮紙を破りたい衝動に駆られたけど、それをなんとか抑えて内容を見ないように、しっかりと羊皮紙をしまう。

 そんなこんなをしている間に、少なくなった荷物をエルサの背中に載せ終わったらしく、俺やモニカさん以外はエルサの背中に乗っていた。

 そろそろ出発だね。


「アマリエーレちゃん、我らの代わりに、リク様のお傍で必ず役に立つのだぞ?」

「わかっております、父上。我ら獣人は、リク様の下に!」

「リク様の下に!」

「……わ、わぁ……壮観だなぁ……」

「なんというか、リクさんが無自覚に獣人の国を手中に収めたような気がするのだけど、気のせいかしら?」

「言わないで、モニカさん。気のせいって事にしたいから……」


 出発とあって、名残惜しそうにハルさんがアマリーラさんに声をかけた……と思ったら、何故か合言葉のように「リク様の下に!」なんて叫んで、一斉に俺へと膝まづいた。

 それは見送りにきた獣人さん達全員で、いつの間に一糸乱れぬ動きと合言葉を通したのか、なんて疑問で現実逃避している俺に、現実を突きつけようとするモニカさん。

 確かにハルさんも同じく膝まづいていて、いいのだろうか? というのはあるけど、さすがに俺が獣王様より偉いとか獣王国での権力を持つようにだとか、そんな事にはなっていないはずだ、きっと――。



「「「「「我ら獣人、救国の英雄リク様のおんために!!!!!」」」」」


 ハルさん達との話を終え、俺やモニカさんもエルサに乗り込んで出発。

 羽ばたいて浮上し始めたエルサ……というより、その背中に乗っている俺に向かって、ハルさんを筆頭に集まった獣人さん達が一斉に叫んで再び膝まづく光景が、地上で行われていた。


「懐かれた、じゃ説明できないわよね、あれ」

「と、とにかくエルサ。アテトリア王国へ出発だ!」

「はぁ、リクは現実逃避が得意なのだわー……」


 モニカさんの呆れ混じりの声はスルーして、エルサを急かして獣王国の王城、そして王都を離れ行った。

 エルサも溜め息を吐いていたようだけど、仕方ないじゃないか。

 マギシュヴァンピーレを放っておけば、間違いなくレッタさんが言っていたように、獣王国王都は壊滅。

 獣王国そのものの危機にもなっていたのがなんとかできたわけだけど、力が優先される獣王国とはいえ、こんな事になるなんて思っていなかったんだから。


「はぁ……獣王国に関してはこれからゆっくり、誤解を解いていくとして……」

「誤解、ではないと思うのだけど。まぁ、リクさんらしいわね」

「んん! それはともかく。――フラッドさん、ヴァルドさん、ちょっといいですか?」


 王都を離れてアテトリア王国……の前に、通り道でもある国境の関所を目指す中、溜め息に色々混ぜて吐き出して切り替え、フラッドさんとヴァルドさんを呼ぶ。

 二人には、戻る前に聞いておきたい事があったからね。

 特にやる事もない移動中には、ちょうどいい。


「なんでしょうか、マスター?」

「はい、リク様」


 俺の声に応えて、それぞれ冒険者さん達や兵士さん達といたフラッドさんとヴァルドさんがこちらに来る。

 二人とも、エルサに乗って空を飛ぶ事にも少しは慣れたようで、安定感があるのもあって特に気にした様子もなく居場所をこちらに移した。

 まぁヴァルドさんは特に、魔物と戦っている時結構な速さで飛ぶエルサの背中から、地上の魔物に向かって矢を放ったり、兵士さん達の指揮をしていたから、慣れるのも当然か。


「二人共……いえ、ほとんどの人がエルサに乗るのに慣れたみたいですね」


 そう言いつつ、他の皆の様子もチラリと見る。

 まだ空を飛んでいる事に恐怖感を感じているような人もいるけど、おおむねアテトリア王国を出発した時とは違って、平気そうな様子が見られた。

 一部、楽しんでいる人もいるように見える人もいるくらいだ。

 まぁ、アマリーラさんとリネルトさんは、平気そうに装っていながらも尻尾を股に挟んだり、耳を萎れさせているようだけど……人間よりも獣人さんの方が、本能的に恐怖感を感じやすいのかもしれないね。


「まぁ、我々はエルサ様と協力して空からの遊撃をしていましたから。まだ慣れていない者もいますが……魔物と戦っていた際にはそちらに集中させていたのも良かったのでしょう」


 空からの援護中は、移動中よりもさらに高所を飛んでいたけど集中させていたから、気にする人も多くなく、それでいて落ちる事もなかったから今では慣れた、というところかな。

 集中できたのは訓練のたまものってところかな?

 それに最初は恐怖感を感じても、エルサは馬よりよっぽど安定感があるし背中も広いからね。

 念のため、落ちても大丈夫なように基本的にはエルサが結界を張っているけど、落馬する可能性の方が高いくらいだろうし。


「こちらは……まぁ、あのような魔物……というべきかすらわかりませんが、あの存在を見たからでしょうか。あれから感じる恐怖感に比べれば、空を飛んでいる恐怖感は微々たるものです。それに、冒険者とは元来、好奇心が強い者が多いですから」

「成る程……そういえば、楽しそうに空からの景色を楽しんでいる人は、冒険者さんの方が多いようですね」


 以前センテ近くの森で助けた、『華麗なる一凛の花』のリーダーであるラウリアさんなんて、エルサから身を乗り出す勢いで、眼下の景色が移り変わっていくのを楽しんでいる。

 身を乗り出すとさすがに危ないので、アンリさんが服を掴んで留めているけど、そのアンリさんも同じく空の旅を楽しんでいる様子だ。

 まぁアンリさんは、魔力貸与をされているから……多分、もし落ちたとしても無事だろうってのもあるかもしれない。


 あと、マギシュヴァンピーレと比べたら、高所にいる事なんて気にならなくなるのかも。

 あれは本質に深く突き刺さるような恐怖と異常さを振り撒いていたから。


「冒険者は、我々兵士と違って様々な経験をされていますから。そのため、慣れるのが早いのかもしれませんな。順応力が高い、というのでしょうか。我々にはない事です」

「それを言ったら、ヴァルド殿たち王国兵も訓練が行き届いているのでしょう。いざとなったら、恐怖心を抑えてまとまった動きができます。冒険者は、身近な少数ならともかく、大勢となると乱れる事が多くてまとまるのが難しい」

「まぁ、兵士さんも冒険者さんも、それぞれって事でしょうね」


 訓練やこれまでの経験から、順応力だったりまとまりだったり、一長一短があるって事だろう。

 ともあれ、二人を呼んだのはこういった世間話のような事をするためじゃない。


「それで、フラッドさん、ヴァルドさん。獣王国王都での魔物との戦いですが……あ、マギシュヴァンピーレの事は抜きで――」


 二人と話したい本題は、今回付いてきてもらって魔物と戦った内容というか、今後の戦いについての参考になるかという事。

 フラッドさんを始めとした冒険者さん達には、これまで魔物と戦った経験に加えて、多種多様な種類の魔物が入り乱れる状況での戦い。

 ヴァルドさん率いる兵士さん達には、エルサで絶対に安全な場所からという限定的な状況ながらも、ミスリルの矢を使った弓矢での援護射撃の運用。

 これらが、この先の帝国との戦争を見据えた訓練……と言うには実戦的過ぎたけど、今回の事を踏まえて軍の運用などへの試金石にするというのが、姉さんの考えだ。


 俺は、冒険者を率いるクランマスターだから、フラッドさん達に経験をというのは考えていたけど、実際に魔物に対してどの程度兵士さん、特に弓兵が有効なのかを試そうという事。

 ミスリルの矢があれば等は俺も考えて、俺から提案した部分もあるけど、姉さんは今回の結果で戦争での戦い方などを検討するつもりのようだった。

 もちろん、これで全てを決めるってわけじゃないけど、考えるための参考にするってところみたいだね。


「そうですね……多くは、エルサ様の作られたミスリルの矢でしたか。あれの威力に驚くばかりです。そして、エルサ様が施した魔法もです」

「ミスリルの矢は、通常の矢とは違いますからね。もうあれは、魔法具に近い物と言ってもいいでしょうけど……」


 元々は土を固めた物なんだけど、魔力がこもっていて貫通の性質に優れたものになっちゃったんだよね、と偶然作ってしまった本人である俺は内心で考える。

 大量の土を圧縮して固めているせいもあって、重いのが難点だけど。


「重さがあるので、通常の矢と同じく弓につがえて放つのは難しいでしょうし、連射には向きません。ですが、エルサ様の魔法によって、投げるだけで良いのでその欠点はなくなります」

「ふむ、成る程。あの魔法とセットであれば、運用はかなり有効と考えても良さそうですね」

「輸送の難しさは多少ありますが、間違いなく」


 重いからね、大量に、そして一気に運ぶのはちょっと難しいか……まぁ、エルサが作っているからいくらでもってわけにはいかないし、数が限定される以上それは問題とも言えないかもしれないね。

 ……獣王国王都で放ったミスリルの矢を、ほとんど回収できなかったのはちょっと痛かったかも。


「エルサ様のおかげで、安全な場所から落ち着いて放てましたが、他の戦場などではそれは多く望めないでしょう。ですが、攻めではなく防衛に限ってであれば絶大な力を発揮すると考えます」

「防衛なら、あるだけ置いてあるだけ使えますからね。攻めて来る相手に向かって投げればいいだけですし……わかりました、ありがとうございます。狙いを定めたり威力を増加させていたエルサの魔法の事も含めて、王城に戻ったらこちらでも色々考えてみます。ヴァルドさんも、報告する事もあるでしょうけど」

「はい、感謝いたします。今回の戦闘経緯などについては、正しく報告させていただきます」


 事細かく報告する事で、王国の方でも色々と考えてくれるだろうし、協力するのはもちろんだ。

 それに、ミスリルの矢の運用に関しては、フィリーナと相談する必要があるし、色々研究、検討もしている。

 間に合うかはフィリーナと、研究熱心なアルネやカイツさん、エルフの皆さん次第だけど……少しでも今回の事が早めてくれる要因になってくれたら嬉しい。

 攻めか守りか、という部分にはワイバーンを使えばまた変わりそうだしね。


「フラッドさんの方は……」

「こちらは、特別な戦いをしたわけではありませんが……センテでもそうでしたが、やはり複数種類の魔物と同時に戦う事の難しさを強く感じました」


 冒険者は魔物との戦闘経験が豊富、特に高ランクの冒険者は。

 だけどそれは冒険者ギルドから依頼を受けて、何々の魔物を討伐する、というようなものだから基本的には単一の魔物と戦う。

 相対する数はともかく、道中に目標とは違う別の魔物と戦う事はあっても、複数種類の魔物と一度に戦うという事はほぼない。


「魔物によって、弱点や注意すべき点などが違います。それらを念頭に入れて対処しなければいけませんので、中々簡単とは言えませんね」

「わかっていた事ですけど、フラッドさんのようなベテラン冒険者でもそうですか……」


 魔物によって固く刃を持つ武器が通じにくい、魔法によるあれこれが通じ辛い、素早く動く、凄まじい膂力から攻撃が繰り出される等々、それぞれ対処を考えて行動しなければどれだけの実力者でも、危険が大きくなる。

 どんな魔物相手でも力押しで何とでもなってしまうし、やってしまう俺や、簡単に対処法以上の事を実行できてしまうユノやロジーナは例外中の例外なんだ。

 ……自分で考えていて、俺自身が平均的な冒険者の枠組みから外れている実感が湧くけど、今更か。


「ただ、その中でも今回の経験で、複数種類の魔物への対処もある程度身に着けたと言いますか……どうすればいいのか、というのも分かった気がします」

「さすがですね」

「いえ、マスターにはまだまだかないませんが……永遠にかなう気もしませんが。それはともかく、我々冒険者にはこれまで魔物と戦った知識や経験の蓄積、また足りない部分を補う手段があります。それらをさらに強化するまでです」


 要は、戻ってから魔物の勉強や訓練をって事みたいだ。

 フラッドさん自身の知識から漏れた魔物と対峙しても、他の仲間が補い対処法を見出し、様々な状況や魔物に対応するために自分や仲間を鍛えて臨む、と。

 帝国との戦争では当然ながら、色んな種類の魔物と戦うだろうから。


「わかりました。アテトリア王国に戻ったら、冒険者ギルドとも話して色々とやってみます。知識の蓄積、という意味ではあちらの方が適任でしょうから」


 俺は、魔物の知識があるとは言えないし、知識を蓄積させているはずの冒険者ギルドに聞いた方が手っ取り早い。

 マティルデさんなら快く協力してくれるだろうしね。


「経験の方は……エアラハールさんと相談ですかね。似たような状況を再現するのも難しいですし……」

「はい。ただひたすらに自分を鍛え抜くのみです」


 頷いて、力こぶを作るフラッドさん。

 さらに筋肉を鍛えるつもりのようだけど、見る限り十分すぎる程なのになぁ……マックスさんやヴェンツェルさんに見劣りしないくらいだし。

 まぁ、訓練の方向性とかはエアラハールさんに任せるのが適任だろう、そのためにクランで冒険者さん達の指導役になってもらったんだから。


「……リク様、よろしいでしょうか?」

「どうしましたか、ヴァルドさん?」


 やる気十分でこれ見よがしに筋肉を隆起させるフラッドさんに苦笑していると、何か考えていたヴァルドさんに話しかけられた。


「王国に戻った後になりますが……リク様率いるクランの冒険者との合同訓練、というのはできませんでしょうか?」

「合同訓練ですか?」

「もちろん、期日は差し迫っているのでしょうが、少しでも我らが王国のためになればと」

「そうですね……」



さらなる戦力の底上げがされる予感……?


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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