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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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1916/1950

試験運用ミスリルの矢の威力



 地上で蠢く魔物達、黒い一つの影の塊のような、何かの粒の集合体のようにも見える地上の魔物達の中で、複数の赤い点が動いているのが見えた。

 それは、モニカさんがルジナウムで見たのと同じく、誘導されている魔物達が一つの場所を目指している証なんだろう。


「ルジナウムでモニカさんが見たのと同じみたいだね。という事は、目的地を目指すように誘導されているってわけか」

「関所での話から、アテトリア王国以外の他国から獣王国に侵入している事を考えると……おそらく、帝国の協力国がいるのかもしれません」

「まぁ、あれだけの数が大移動するとなったら、どんな国でも知らないでは済ませられないですよね」


 大量の魔物が国内を移動しているなんて、知らないわけがない。

 それがアテトリア王国や獣王国に知られずに移動させたのだとなると、帝国に協力している国があるのは間違いない。

 協力というのが、対等な関係でなのか、それとも脅されてなのかはわからないけど……今はそれを確かめたり考えている暇はないか。


「他国からであれば、アテトリア王国みたいに獣王国の内部で研究所みたいなのを作って、そこで復元ってわけじゃないだろうから、そこは良かったのかもしれません」

「獣王国内で多くの人間が何かしらの活動をしていればぁ、目立ちますからねぇ。それでできなかったのでしょうねぇ」

「獣王国を害する策略に協力する獣人は少ないとは確信を持って言えます。だから帝国は近隣の国を巻き込むしかできなかったのだと思われます」

「そうかもしれませんね」


 アテトリア王国とは友好的な関係だけど、獣王国だって隣接する国に敵対のような関係の国だってあるようだし、そういった国が帝国に協力したのかもしれないね。


「リク様、準備が整いました!」

「こちらも、冒険者組、いつでも動けます!」

「わかりました! まずはアマリーラさんとリネルトさんを王都へ届けます。作戦開始までもう少しあるので、それまで待機していて下さい!」

「「はっ!」」


 兵士さん達の隊長のヴァルドさん、冒険者さん達のまとめ役であるフラッドさんが共に、戦闘準備が整ったのを報せてくれる。

 まずはアマリーラさん達が先だから、もう少し待ってもらおう。


「かなりの高さからですが、大丈夫ですか?」

「問題ありません。以前も何度かやっていますから」

「そうですねぇ。アテトリア王国の王都近辺での魔物討伐で経験済みですからぁ、ご心配は無用ですよぉ」


 さすがに戦闘中と思われる場所にエルサで降りるわけにはいかないので、アマリーラさん達は空から飛び降りる事になっている。

 まぁそれは俺や他の人達もそうなんだけど、獣人の人達から警戒されたり、攻撃されたりしないよう、特に高めの位置からの降下になるのを心配したんだけど、二人共問題なさそうで、力強く頷いてくれた。

 エルサなら多少攻撃されても問題ないんだけど、獣人から攻撃を受けるという事自体が、アマリーラさん達にとって問題らしく、それを避けるためだ。

 俺やエルサが気にしない、と言っても今後の獣人との関係も含めて重要だと言われたし。


「っ! リク様、あれを!」


 作戦をアマリーラさん達と話していた時の事を思い出していると、かなり近くなった獣王国王都を指し示すアマリーラさん。

 そちらに目を向けると……。


「門が破壊されている!? あれじゃあ、王都内に魔物が……」

「幸い、被害が大きいのは門周辺のようです。城下町自体にはさほど被害がないようですが」


 獣王国王都を囲む外壁、そこにある大きな門が破壊されて崩れており、その奥が激しい戦闘の場所になっているようだった。

 空から見下ろす限り、門近くの建物の一部は破壊されている、もしくは邪魔だから獣人さんが破壊したのかもしれないけど、奥の方の建物には被害は出ていないようだった。

 門を破壊され、内部に侵入を許してはいてもそこで押し留めている状況ってところか。

 戦っている、というのは見下ろしていてもわかるけど、どんな戦いをしているのかまではさすがに見えないな……。


「そうみたいですねぇ。非戦闘員は既に避難させているようですし、押し留めてもいるようですぅ」

「それでも、急がないといけないみたいですね。アマリーラさん、リネルトさん、手筈通りに」

「はっ! 降下次第、魔物を蹴散らし、付近の兵士を捕まえて伝達に走らせます!」


 兵士さんは捕まえず穏便にして欲しいけど、急いでいる状況だから多少荒っぽいのは仕方ないかな?

 まぁ、勝手知ったる場所だろうし、どうやるのかはアマリーラさん達に任せよう。


「エルサ、このあたりで!」

「了解したのだわー」

「アマリーラさん、リネルトさん!」

「はっ! 行きます!」

「行ってきますねぇ~!」


 破壊された門を越え、王都内の戦場になっている場所の真上で、エルサに滞空してもらう。

 すぐにアマリーラさん達が動き出し、エルサから飛び降りた。

 かなりの高さ、地上にいる魔物や人が点に見える程だから、獣人さん達も俺達を発見できている人は少なそうだ……とりあえず、こちらは二人に任せよう。

 なんとなく一部の獣人さんと思われる人が、こちらに向いているようだからね……敵意、みたいなものかな、上空に飛来したエルサに驚いているのかもしれない。


「よし、それじゃあ俺達は引き返して……そうだね、とりあえず門から少し離れた場所、群がる魔物達の上空へ!」

「はいはいなのだわー!」


 落下するアマリーラさん達……こちらに手を振っているようだけど、それを確認してからエルサに頼んで引き返す。

 指示した場所への移動中、少し後ろを振り向くと、距離があってもわかるくらい大きな剣を持ったアマリーラさんが、それを振りぬくのが見えた。

 それと同時、剣で足を叩かれたように見えるリネルトさんが射出される。


 ……俺もやったけど、アマリーラさんの剣に乗って振る勢いと一緒に飛ぶあれだろうけど、落下中にさらに勢いを増すために使うなんて。

 大丈夫だから実行したんだろうけど、ちょっと心配だ。


「ヴァルドさん! フラッドさん!」

「はっ! 弓隊構え!」

「こちらも構え!」


 エルサに指示した場所へ近づく中、待機してもらっていたヴァルドさんとフラッドさんに声をかけると、待ってました! と言わんばかりに兵士さんと冒険者さん達が、それぞれ弓に矢をつがえて構える。

 冒険者さん達は弓を扱える人だけで一部だけど、兵士さんはヴァルドさんも含めて全員だ。


「狙いは適当で! やって下さい!」

「ってー!!」


 弓矢をどこに放っても、絶対に魔物に当たるような状況だ。

 特に狙うべき場所もないと思ったので、弓隊に出す指示としては良くないけどとりあえず適当に撃ってもらう。

 ヴァルドさんを始めとした兵士さん、それから冒険者さんの一部が放った矢は、地上へと降り注いでいった。


「……この程度じゃ、魔物の進行は止まりませんよね。まぁわかってはいましたけど」

「実験のようなものですからね。数も少ないですし、怯んだ魔物もほとんどいないようです」

「矢を受けたのに、こちらを気にする魔物がいないように見えますな。致命傷を与えられたかも怪しいところです」

「それだけ、強力な魔物が多いんでしょうね」


 大きめの魔物もいるようだし、パッと見ではキュクロップスのような大型の魔物はいないようだけど、空から見ても人間より大きな魔物と思われるのはいる。

 それに、空から降らせる事で勢いが増しているとはいえ、数十くらいの矢でその数十倍もいる魔物を止める事はできないのもわかっているからね。

 弓隊を連れてきたのは、試験的な意味も含めてだし、これは最初から想定していた通りだ。


「じゃあ次は、ミスリルの矢を!」

「はっ! 特殊矢、つがえ!!」

「特殊矢、つがえ!」


 俺の指示で弓を持った全員が、先程とは違う矢を持ち弓につがえる。

 それは、先のやじりの形こそ通常と変わらないけど、明らかに金属ではなく土のような質感を持っている物だ。


「せっかく私が作ったのだから、やってやるのだわー!」


 エルサが作ったミスリルの矢、俺がセンテで投擲用に作ったのとは違い、ちゃんと矢柄やがら、つまりシャフト部分が取り付けられている。

 矢羽とかはない簡易的な物のようだけど。

 エルサ曰く、ミスリルの矢自体に特殊な性質があるため、バランスを取る役割の矢羽は必要ないとかなんとか……俺が作ったのも似たような性質があったらしい、特にそんな意識はしていなかったんだけどなぁ。

 あと、射った後に干渉するためには余計な物はできるだけない方がいいらしい。


 ただ弓につがえて放つ方が性質を生かせる関係上、矢柄は付けてあるみたいだけども。

 ちなみに、エルサの背中に乗せて運んだ荷物の多くは、このミスリルの矢だったりする。

 凝縮して圧縮して――とにかく、図らずも貫く性質が加えられたうえとんでもなく硬くなるまで、一つの鏃に対して多くの土を使っているため、重いんだよね、握りこぶし程度の大きさなのに。

 そこが、ミスリルの矢を使ううえで一番の問題点か……まぁエルサはその程度の重さの物を背中に乗せても問題ないみたいだし、今回は結構な量を持ってきているからいいんだけど。


「まずは、さっきと同じように適当に!」

「はっ! 放てぇ!!」


 ヴァルドさんの号令で、ほとんどズレる事なく一斉にミスリルの矢を放つ兵士さん達。

 それから数舜遅れてこちらはバラバラに、矢を放つ冒険者さん達。

 さすがに、訓練されている兵士さんの方がこういった一斉に同じ行動をする事には慣れているようだ。

 さてさて、ミスリルの矢の行方は……。


「……結構、エグイですね」

「通常の矢との威力の違いが、これだけ離れていても顕著にわかります」

「さすがにこれはたまらなかったのでしょうな、こちらに意識を向ける魔物が増えています」


 特定の場所を集中して狙ったわけではないミスリルの矢だけど、エルサから広がって地上に降り注いだ数十の矢は、数百メートルくらいの高度にいる俺達にもドドドドドッ! という音が聞こえる程の威力で突き刺さった。

 直撃した魔物を確実に貫通し、それどころか抉りながら地面に突き刺さっているようだ。

 ミスリルの矢に付いている特殊な性能、というのが観察しているとよくわかる。

 通常の矢であれば、多少風や空気の抵抗によって軌道が変わったりするけど、ミスリルの矢はそれがなくただひたすらに真っすぐ突き進んでいた。


 さらに、受けた魔物を貫通する威力……というか貫かれて動きが止まった魔物を別の魔物が押し流しているのでよく見えないけど、多分あれ結構深くまで地面を抉るなりしているよね。

 穴だらけになって、あとで獣人さん達からクレームが出ないといいけど。

 ……試験的な部分はともかくとして、王都を襲う魔物を倒すためでもあるんだから、大丈夫だと思いたい。


「とりあえず、次に移行しましょう。――エルサ、頼むよ!」

「了解したのだわー」


 エルサに声をかけると、エルサの体の斜め下あたりに複雑な文様の描かれた光の円が現れた。


「ルジナウムとか、センテでもチラッと見たけど、前より複雑になってない? なんかこれだけで何かが召喚されそうな魔法陣になっているんだけど」

「これまでを踏まえて、改良したのだわ。威力、目標点再設定、速度などなど、精度を増しているのだわー。あと私の方もこれはお試しでもあるのだわ」

「やり過ぎると地形が変わりそうな気がするけど、程々にね」


 ミスリルの矢の運用試験、それが今回弓隊を一緒に連れてきた理由の一つだけど、エルサの方も関連して考えている事がある。

 通常の弓矢すら威力を増す魔法陣のような光の円、ここを通過させた矢は威力を増しながら、適当に狙った矢でも目標へと向かうようになるという代物だ。

 今はエルサが改良したもののようだけど、これをエルサ以外にも使えるようにならないか、というのを確かめるためにも色々とやっているんだろう。


 俺が知らないうちに、というかミスリルの矢を作っていた時にアルネを交えてフィリーナと話していたみたいだし。

 なんにせよ、アテトリア王国側に強い武器となる何かができるのは、いい事だ。


「こっちはいつでもいいのだわ」

「了解。――ヴァルドさん、フラッドさん!」

「はっ! 目標に向かい、放てぇ!!」

「あれだけ大きければ、特に狙う必要なんてないですねぇ! っ!!」


 エルサの出した光の輪に向かい、一斉にミスリルの矢が放たれる。

 放たれたミスリルの矢は、半径数十メートルくらいある輪っかに吸い込まれるように殺到し、通過した瞬間……。

 ズガガガガッ!! という激しい音と共に地上の魔物へと殺到した。

 数十の矢を放つより、ミスリルの矢を放つより、さらに威力を増し矢の数倍の魔物を貫通し、抉って屠っていく。


「なんか、途中で軌道を変えているように見えるんだけど?」

「フィリーナからの提供で、追尾性能を持たせてみたのだわー。ただ地面に突き刺さるまで真っすぐ突き進むより効果的なのだわぁ」

「そりゃまぁそうだろうけど……」


 地面を抉るミスリルの矢のせいで、穴だらけになって地形が変わったりする心配はないかもしれないけど、空から見ているとかなりエグイ。

 真上から降ってきたはずの一本の矢が、一体の魔物を脳天から貫通したと思えば、背中から突き抜けて近くの魔物を数体貫通していくという……。


「これは私が特別にやっているのだわ。汎用性に欠ける、なのだわ」

「誰でもできたら、これだけでほとんどの戦場で有利過ぎる状況になりそうだ」


 何せ、途中で矢の軌道を変えられるんだから、地形の影響を受けにくい。

 それこそ、物陰などに隠れている相手にだって当てられるわけで……そういえば、フィリーナの魔法を追尾させるのってこんな感じだったっけ。

 エルサだから使えるのは、いい事なのか悪い事なのか……。


「「……」」


 ほら、あまりの威力にヴァルドさんとフラッドさんが言葉をなくしているよ。

 兵士さん達もそうだし、冒険者さん達もほとんどが同じくだ。

 特に驚いていないのはユノとロジーナ以外には、モニカさんとレッタさんくらいしかいない……あ、レッタさん復活していたんですね。


「私はまぁ、リクさんの戦い方を見ているからあまり驚きはないわ。センテでも似たようなのを見たのもあるけど」

「ロジーナ様の尊さに目を奪われていて見ていなかったわ」


 というのは、落ち着いてから改めてこの時の事を話した際に、二人から返って来た言葉だ。

 うんまぁ、レッタさんはともかくモニカさんは、もっと激しい状況を目の当たりにしているからね、そりゃそうだよね。

 俺のせいが大半みたいなのは気にしないでおこう。


「とりあえずミスリルの矢のお試しは済んだという事で、本番ですね」

「は……はっ!」


 驚いて言葉をなくしていたヴァルドさんが正気に戻る。

 全員が気を取り直したようで、それぞれの獲物を握りしめる手に力を込めるのが見えた。

 それじゃあ、突撃前の最終確認だ。

 細々とした確認はもうしないけど、なんとなく気になってそうしてしまうのは、単独で突っ込むのではなく人を動かすのも相まって、俺なりに気負いがあるのかもしれないな――。




即席ではあれど、リクの(大雑把な)指揮で魔物に対抗するようです。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

また、ブックマークも是非お願い致します。

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