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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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1904/1950

慣れないながらなんとか助言

ブックマーク登録をしてくれた方々、評価を下さった方々、本当にありがとうございます。


2024年最後の更新です!



「浮気なのだわ?」

「な……! 何を言っているんだエルサ!」


 浮気とか、人聞きが悪い。

 それに、獣人の尻尾や耳をモフモフするのは特別な意味があったりもするらしいので、ちょっと無意識のうちに手を伸ばしそうになったとはいっても、ちゃんと我慢するさ。


「あのぉ……リク様ぁ。私は……」

「おっと。ごほんごほん」


 まだ落ち込んでいるリネルトさんが残っていた。

 声をかけられて思い出し、アマリーラさんの尻尾へと伸ばしかけていた手を引っ込め、わざとらしく咳をして誤魔化す。

 えーっと、リネルトさんは……。


「そうですね……」


 模擬戦での、リネルトさんの動きを思い出しながら考える。

 俺自身未熟だし、偉そうな事を言える程ではないのは当然だけど、アマリーラさんに助言っぽい事を言っておいて、リネルトさんには言えないというのもね……合っているかはともかくとして。

 とはいえ、模擬戦の時はユノやロジーナ、それにアマリーラさんもいたからリネルトさんだけの動きを注視していわけでもないから難しいけど。


「……リネルトさんは二連撃……俺はそう呼んでいますけど、それを主に使っていましたよね?」

「はいぃ。速度と手数で相手を翻弄するのが、私の戦い方ですからぁ。あっていると思いまして……いけませんでしたか?」

「いえ、それ自体は悪くないと俺も思います」


 体格としては、大柄なリネルトさんより小柄なアマリーラさんの方が手数や速度を重視しそうにも見えるけど……そうじゃないんだよね。

 相手の意表を突くという意味でも、見た目でわからない戦い方というのは悪い事じゃないんだろう。

 もちろん、その人に本当の意味で合っているならだけども。


「ちょっと、というか大分二連撃に頼っていたと気がします。というより、俺に向かって来た時にはほぼ二連撃ばかりでしたね。そうなると、リネルトさんがいくら防ぎにくい部分などを狙ったとしても、わかりやすかったかなと思います」


 細かい技術、小手先とまではいわないけど、そう言った技術部分に関してはアマリーラさんよりリネルトさんの方が上手いと思う。

 力はなくとも、防ぎにくくて避けにくい場所を狙われ、対処した後には体勢が崩れるように計算されているような動きが多かった……と思う。

 でも、攻撃のほとんどが二連撃だとわかっていれば、ユノ達相手で慣れている俺にとっては対処がしやすいとも言える。


「ですので、他の攻撃手段と織り交ぜての二連撃をやれればいいんじゃないかなって思います。いざという時の切り札と言いますか……ここぞのタイミングで繰り出されたら、リネルトさんの速度を考えると完全に防がれる状況が想像できません。もしくは……そうですね、二連撃を相手の態勢を崩すために使って、別の一手で追い詰める。とかですかね」

「……私よりも、リネルトの方が具体的な気がします」

「成る程ぉ……リク様を相手にする場合、二連撃など常に最上の攻撃でないと通用しないと思っていましたが、それが勘違いだったのですねぇ」


 なんとなく、羨ましそうなアマリーラさんの視線と声はとりあえず知らないふりをしておいて……。


「勘違いというわけではないかもしれませんが、俺だってユノやロジーナ、それにアマリーラさんの攻撃を掻い潜りながらの攻撃は、防ぐのも避けるのも一苦労ですからね。さっきのは、二連撃が多用されていたので逆に読みやすくて対処しやすかった、というだけですし」

「ふむむ……頭では色々と考えてわかっていたつもりではありますが、少しこだわりすぎていたのかもしれませんねぇ。見様見真似ではありますけどぉ、使えると言えるくらいのものになって、過信していたのかもしれませんー。よく考えれば、リク様はユノ様やロジーナ様から散々あれを受けていますし、それ以上もありますから、私などがそれにこだわっていてもいけませんよねぇ」

「まぁ、そうですね」


 何度もユノ達から二連撃……どころかそれ以上のを何度もやられているしね。

 それしかしてこないとわかっていたら、体勢が崩れていてもなんとかできなくはない。

 というくらいには、ここ最近の訓練でできるようになっていたし。


「あと、鋭さ……速度に関してはユノやロジーナより少し速かったように感じますが、逆にそのせいで威力が不安定だったように思います」

「威力、ですか」

「はい。間髪入れないほとんど同時に感じられる程の二連撃を意識するせいかなって思いますけど、一撃目がフェイントに近いくらい威力がなく、二撃目は力強くなっていたりとか。逆に、一撃目は強いのに二撃目は弱いとか、ですね。ユノ達のは、ほぼ均等に力が込められているので……場合により蹴りだとは思いますけどね」


 均等な威力での連撃というのは、想像するよりもやられて見るとかなり防ぎづらい。

 逆に威力が不安定な連撃であれば、どれかを捨てる……防ぐなり避けるなりを考えないでいい、なんて事もあったりするからね。

 そうする事で、ある程度痛みなどはあっても反撃に繋がるわけだ。

 さらに言うなら、リネルトさんはまだ慣れていないせいなのだろうけど、連撃後は隙だらけになる事が多かったように思う。


 まぁ、さっきの模擬戦ではユノやロジーナ、アマリーラさんも相手だったからその隙に反撃を繰り出すのは難しかったんだけど。

 ずっと一緒だったのもあってか、アマリーラさんはリネルトさんの動きや癖を熟知していて、それをフォローできるようだし、ユノやロジーナも俺に反撃の隙を与えないよう動いていたから。

 なんて事、リネルトさんに伝える。

 一応、アマリーラさんにも俺が考えられる限りでだけど、さっき伝えた事に加えて色々と伝えてみた。


「さすがリク様ですね。目からうろこが落ちるような気持ちです。強くなる、という事をただただ追い求めていましたが、まだまだ未熟という事」

「そうですねぇ」


 二人共、さっきまでの落ち込みはどこへやら、尻尾を揺らして耳もピンと立っている。

 とりあえず元気が出たようで何よりだ。

 ともあれ、二人はおそらく強さを追い求めるあまり壁……という程なのかはわからないけど、自分達の強さの限界につまづきかけていたのかもしれない。

 まぁそういった強さの限界? を感じる相手と言うのがほとんどいないから、わからなかったのかもしれないけど。


 だからこそ、俺の助言っぽい言葉でも新しい視点と考えを得た、というような感覚になっているのかもしれない。

 素人に毛が生えた程度の俺の助言らしい言葉より、経験豊富なエアラハールさんとか他の人に聞いた方がいい気はするけども。

 今二人に言った事が間違っていないといいけど。


 ……あとで、エアラハールさんに事情を話して聞いておこう。

 間違っていたら、修正しておかないと二人に悪いし。


「リクさん、あぁいう事も言えるのね」

「あくまで、俺が感じた事での意見だけど……あまり自信はないかな。最近は、ユノとロジーナとの訓練で前よりはマシになっているとは感じるけど」


 アマリーラさん達が元気を取り戻したので、何はともあれクランの建物を出て王城へ向かう。

 すっかり暗くなった外を歩きながら、感心した様子のモニカさん。

 ある程度、戦う際の動きなどが身に付いてきている、というのは感じてはいても、誰かに助言ができる自信はないので、少し恥ずかしい。


「私も、リクさんの意見を聞いた方がいいかしら?」

「いやいや、俺よりもエアラハールさに聞いた方がいいと思うよ? ある程度身に付いてきたとしても、それはあくまで剣に関してだけだからね。モニカさんは槍を使っているし、門外漢過ぎるよ」


 戦闘での動き、間合いなどは多少学んで技術らしきものを身に付けてきていても、それは剣を扱う場合に限りだからね。

 モニカさんのような槍となると、間合いなども当然違うし、それこそ振り方ひとつとっても違う。

 俺から助言できるような事は、多分一つもないんじゃないかな。

 それこそ、もし俺が槍を持ったとしたら、以前のように力任せに振るくらいしかできないだろうし。


「あら残念」


 なんて言いつつも、どこか楽しそうなモニカさん。

 最初から、俺が槍に関しても助言できるとは思っていなかったっぽなぁ。

 多分、ただ話のネタとしてそう言っただけなんだろう。


「槍は場面によって短く持ったりする事もあるしね。剣は基本的にそんな事はないし……棒術に通ずる部分もあるだろうけど、そちらもあんまり詳しくないしなぁ」

「棒術……? ねぇ、それってどんなの?」

「え? えっと……詳しくないって言った通りだけど、言葉の通り槍のように長い棒? いや、短いのを使う事もあるのかもしれないけど、とにかく刃は付いていない棒を使った戦い方、かな?」


 単純に棒術と考えて思い浮かぶのは、刃は付いていないけど槍のような長い棒を振り回す戦い方。

 というくらいにしかわからない……実際に棒術を学んでいる人からすると、憤慨されてしまいそうな雑なイメージだけど。


「槍との共通点は、間合いを重視する……のかな? リーチを生かして戦う感じだと思う。色んな戦い方を経験もあって知っているエアラハールさんの方が、詳しいかもね。もしくは、クラン員の冒険者の誰かなら、詳しい人もいるかもしれないけど」


 そういえば、単純な長い棒ではないけど刃のない武器を使って、殴打で戦う人もクラン員になった冒険者さんの中にいたっけ。

 棒術かどうかはわからないけど、少なくとも俺よりは詳しいだろうと思う。


「リーチを……確かに、私の槍との共通点はありそうね。ちょっと参考になりそうだわ」

「ただ頭に浮かんだから言っただけだけど、槍と棒では違う点も多いだろうから、あまり深刻に受け取らないで欲しいんだけど……」


 それこそ重心とかも違うだろうし。

 剣でも重心がどこにあるかなどは重要だと思うけど、槍や棒ではもっと違うと思う。

 単純に共通点があるからと言って、参考にできるかは俺にはわからないし……それがモニカさんにとっていい事なのかもわからないからね。

 なんて話しながら、日の暮れた城下町を歩いて王城へと向かった――。



「ふぅ。とりあえずクランの初日は何事もなく……でいいのかな? なんとかなった感じだなぁ」


 王城に戻り、皆で夕食を頂いて満足した雰囲気の中、クラン初日のあれこれを思い浮かべつつ息を吐く。

 行き過ぎた訓練とか、今後の事とかもあるけど、初日としては悪くなかったと思う。

 クラン員になった冒険者さん達も、クランの職員というべきか、事務員として雇った人達、食堂で料理を提供してくれるカーリンさん率いる料理人さん、他にも細々とした人たちがいるけど、皆の雰囲気は悪くなかった。


 多くが、王城からだったり冒険者ギルドから斡旋されて雇った人達だけど、特に料理が美味しかったのがいい雰囲気になってくれていたんだと思う。

 やっぱり、美味しい物を食べると元気になるし、前向きにもなれるからね。


「ただまぁ、やっぱり予算関係とか色々考える事が多くて、大変だ……」


 お金は、俺のこれまで貯めた報酬などを割り当てたりしているから、何とでもなると言えばなるんだけど……赤字でも俺が個人でなんとかし続けるのは限界がある。

 というより、それじゃ健全な運営とは言えないからね。

 やらされているという感覚は薄いけど、多くの冒険者さん達をまとめる立場になったからには、やれるだけの事はしたいし、クラン自体続けられるなら続けていきたい。

 戦争のためであっても、戦争が終わればはい解散! というわけにはいかないだろうし、それじゃ無責任だしね。


「ふふふ、りっくん。こちら側へようこそ……」

「管理する立場、多くの人の事を考える立場というのは、やってみると中々面白くはあっても辛い事も多い。仲間が増えた気分だ」

「姉さん、マティルデさんも……」


 ニヤリと悪い顔で、何かを企んでいるような表情の姉さんとマティルデさん。

 クランの事などの話があったため、今日の夕食はマティルデさんも一緒だったんだけど、姉さんと二人で俺が運営や管理側に回ったことを歓迎……歓迎でいいのかなこれ? ともかくそういう雰囲気で、喜んで入るみたいだ。

 悪巧みしているように見えるけど、多分喜んでいるんだと思う。

 理由はちょっとどうかと思うけど。


「大勢の上に立つと、その肩にのしかかって想像していた以上の重みを感じるわ。りっくんと分け合えるとまでは言わないけど、理解者が増えるのは単純にうれしいわ。ふふふ……すぐにりっくんも、予算だとか人の配置だとか、悩む事が多くなるわよぉ」

「人の配置を間違えれば、命に関わる事も多い案件を扱うのが冒険者ギルドだ。予算……というよりこちらは依頼の報酬などだけど、考える事が多すぎるのよねぇ」

「……なんか、俺で務まるのか不安になって来るからやめて欲しいんですけど」


 元々、人の上に立てるとか責任感とかあれこれと、そういう才能があるとは自分で考えていない。

 今回の事がなければ、ずっと気ままにただの冒険者として活動していたかったくらいだし。

 ……本当にただの冒険者でいられるかとか、クランの事抜きでもやっている事が他の冒険者さん達からは外れ過ぎている気がする、などはともかくだ。


「まぁ、そこは大丈夫よ。りっくんの責任感なら、多少悩んだり失敗する事はあるかもしれないけど、なんとかなると思うわ」

「リク君の人となりは、ある程度わかっているつもり。依頼達成率百パーセントという信頼感も加えると、大きな問題もないと思うわよ?」

「依頼達成率は確かに高いとは思いますけど……」


 これまで依頼に失敗した事はないからね。


「ただそれは、依頼を受ける数が少ないのもあると思っています。本当なら、もっとじっくり色んな依頼を受けながら、少しずつ信頼してもらっていくのがいいんでしょうし」


 冒険者になって、まだ一年も経っていないからね。

 エアラハールさんと比べるのは行き過ぎだけど、俺と会う前のソフィーと比べても依頼を受けた回数は少ないはず。

 本当は、数年かけて依頼数をこなすうえで達成率が高い事で信頼を築いていくのを、俺はすっ飛ばしているからなぁ。


「まぁそこは、リク君には難しい依頼をやってもらっていたというのもあるけど、冒険者になってからここまでの期間が短かったから仕方ないわ。でもね、いくら受けた依頼の数が少なくともAランク……いえ、Bランク以上になるまでに達成率が百パーセントというのは、リク君以外いないわ」

「しかも、私が効く限りだとりっくんの受けた依頼って、ほとんどの冒険者がランクに関係なく達成できるかも怪しいものもあったわけだしね。そのうえで、冒険者の実績とは言えないかもしれないけど、私からのお願いというか、国への貢献も成し得ているわけだし。つまり、英雄と呼ばれているのも含めてりっくんに対する評価、信頼度はこの国と冒険者ギルドからはものすごく高いって事よ」

「そ、そうなんだ……」


 これまでやってきた事で、本当に信頼してもらっているというのは嬉しいね――。




依頼達成数は少なくても、その依頼の難易度がとんでもなく高いものが多かったリクです。


申し訳ございません、来週の更新はお休みさせていただき、来年の更新は1月11日から再開させていただきます。

では、2024年もありがとうございました!皆様良いお年を!


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

また、ブックマークも是非お願い致します。

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