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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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1884/1951

リク達以外の部屋



 それからさらにファーレさんやマティルデさんに建物について詳しく聞く。

 話し合いなどは会議室を使う事を想定しているけど、全員を集める場合などは玄関ホールを使うような想定になっているとか。

 確かにあの玄関ホールなら、多少手狭になっても百人は軽く入るし、声も通りそうだったからね。

 基本的には、玄関ホールは椅子やテーブルなどを置いて食堂とは別に、ラウンジ的な使い方を想定しているみたいではあるけど……その辺りは冒険者ギルドの建物と似たような感じだね。


 カウンターがあって職員さんがいたり、依頼書が張り出されたりはしないけど。

 ……いや、多くの人が参加するような大規模な物はともかく、一般的な依頼なら貼り出すくらいはしてみてもいいのかな? まぁそこはモニカさん達やクランの人達と相談しながらやっていくかな。

 その他、四階は俺達ニーズヘッグパーティ専用のようになっていたけど、他の階というか二階では複数の人が寝泊まりできるようにもなっていた。

 宿の宿泊費が払えないような人はいない……それなりにギルドからの依頼をこなしている人達が多く加入する予定だし、人となりなども選別してもらっているので、お金遣いが荒くお金に困っている人はいないだろう。


 けど、依頼や諸々の事情で寝泊まりしたり、仮眠を取ったりするなどの用途の部屋らしい。

 まぁまだそういった用途に使える部屋として作っただけで、まだ何も運び込まれていないため、これから整えるか別の用途があるならそちらで使うなどでもいいみたいだけど。

 とりあえずは元々の用途通りに使うとして、使用頻度が低ければ何かを考えるとかでいいだろうね。


「あ、そういえばミラルカさんはどうするかな……」

「ミラルカと言うと、少し前に冒険者登録に来たのを覚えているわ。リク君からの助言があって、冒険者になろうとしていたようだ」

「助言という程ではないんですけどね。ただミラルカさんは今王城にいますけど、冒険者になればさすがにいつまでもそのままっていうわけにはいかないと思いますし……」


 現在は保護という名目で王城にいる。

 ミラルカさん以外の、事務方としてやってもらう事になるナラテリアさんとカヤさんも同じくだ。 

 ヴァルニアさん達は王城で使用人として働く事になっているからそのままでもいいけど、ミラルカさん達は王都で暮らすための場所がない。

 ある程度は保証されるにしても、いきなり王城から出て暮らしてくれっていうのも酷だしなぁ。


 ちなみに、ナラテリアさん達は事務方という事で、クランで過ごすための部屋が三階に用意されている。

 常駐するかは本人達次第だけど、建物内にいる事が多くなるための措置だ。

 ナラテリアさん達だけ特別、というわけではなく元々事務方の職員を雇うつもりだったので、ナラテリアさんとカヤさんがいなくても部屋は作られていたんだけどね。


「冒険者登録の方は滞りなく?」 

「えぇ。さすがに高ランクというわけにもいかないけど、リク君や王城からの紹介ともあって信頼はできるからね。今は少しでも人出が欲しいし、試験合格と共に冒険者カードも発行しておいたわ」

「ありがとうございます。となればミラルカさんは既に冒険者だし……数日は王城に今のままでもいいと思うけど……まぁ、とりあえずはクランの部屋で過ごしてもらう事にしようかな」


 クランが始動すれば、寝泊まりできる設備なども充実するはずだしね。

 まだ冒険者になったばかりで、依頼もやった事がなく収入や蓄えのないミラルカさんを城下町に放り出すなんて無責任な事はできないから。

 俺と話した事で、冒険者になったわけだから一応はね。

 攫われたのを助けた今は、身寄りどころか頼れる人もいないし、心細い思いはさせたくない。


 ちなみにだけど、ミラルカさんは冒険者としてDランクスタートらしい。

 マティルデさんだけでなく、冒険者ギルドがちゃんと公平に判断した結果だろう。

 俺からの紹介とかで、過分な評価というか無理に高いランクになってもミラルカさんにとっていい事とは言えないからね。

 ランクが高ければ高い程危険な依頼をやる可能性が高く、それはつまりミラルカさんの実力が不足していたら命に係わるわけだし。


 まぁ新人としては高くもなく低くもないランクだけど、知識の方は王城でヒルダさんに仕込まれ、実技の方も基本的な部分は心得があった事、そして兵士さん達の訓練に混じっている事もあった。

 というわけで、マティルデさんとしては早いうちにCランクに昇格するだろうとの見込みも話してもらった。

 ミラルカさんのこれからに期待だね。


「建物自体はリク君の物として、自由に使っていい。あまり創設メンバー以外の冒険者を、簡単に寝泊まりさせるのは感心しないけど、事情があるなら仕方ないわね。手続きなどはするようにしておいた方がいいわ。あと、こちらの職員からも……」

「ふむふむ、そうですね。一度、ナラテリアさんとカヤさん、俺が話してクランの事務というか職員として雇うことになった二人とも引き合わせて……」

「なら、このあとにでも……」


 等々、建物の案内そっちのけでマティルデさんと話し込む俺。

 ファーレさんは話に付いて来れず、ポカンとしていたのは少し申し訳ない気もしたけど……案内自体はほぼ終わっていたからね。


「リクさん。こちらの話はまとまったわ。そっちはどうだった?」


 案内やマティルデさんとの話を終えて玄関ホールに戻ると、どこからか用意された椅子に座って談笑しているモニカさん、それに親方さんとその娘さんがいた。

 俺に気付いたモニカさんが立ち上がって迎えてくれる。

 親方さんの娘さんも、慌てて立ち上がってこちらに会釈しつつ、父親である親方さんを立ち上がらせた……気にする必要はないし、そのまま座っていても良かったんだけどなぁ。


「なんというか、俺の部屋が二つ用意されているのは少し驚いたけど、他は使いやすそうだし居心地も良さそうだったよ。まぁこれから物を入れたりして、変わって行く事もあるだろうけど」


 部屋のほとんどが、まだガランとしている状態だったからね。

 始動前であり、あくまで建物自体がほぼ完成したばかりという状況だから仕方ないけど。


「そうね。とりあえず、各部屋に入れる家具などは親方さん達、ファガットさんとファラットさんに任せる事にしたわ」


 親方さん、ファガットって名前だったんだ……娘のファラットさんもそうだけど、孫のファーレさんと似たような名前、とか考えるのは失礼かな。

 ファガットさんの弟であるフォルガットさんとも、似ているけども。


「任せてくれ! 建物の建築って大物も得意だが、暮らすためのあれこれといった小物も魂を込めて作らせてもらうぜ!」

「ははは、その言葉は本当に気に入ったんですね。よろしくお願いします」


 力こぶを作るファガットさんに苦笑しつつ、ファラットさんが会釈するのに合わせてこちらもお願いしつつ頭を下げる。

 俺の後ろにいたファーレさんは、俺が頭を下げた事にちょっと驚いたような短い声を漏らしていたけど……。

 どうやら、俺が簡単に頭を下げる事を驚いていたらしい……英雄だとかで持て囃されてはいるけど、それで偉そうにしたりとかしたつもりはないし、した事はないと思うんだけどなぁ。

 それだけ世間のイメージや噂などがそうだったのかもしれない、あと、貴族なども含めて身分の高い人が軽々しく頭を下げないという事もあるかもね。


 とりあえず、テーブルや椅子などの家具とかもファガットさんに任せておけばいいらしく、モニカさんはその話もしてくれていたんだろう。

 これから色々と細々とした事を決めないといけない、と考えていたから助かった。

 本当、モニカさんにはいつも助けられているなぁ。


「あと、リクさんの部屋が二つっていうのはマティルデさんからの提案だったけど、私もその方がいいと思ったからなのよ」

「そうなの?」

「えぇ。だって、リクさんが使う部屋ってなると、自然と皆が集まるでしょう?」

「まぁ、それは確かに」


 王城の部屋とか、溜まり場というか今では何かがあると皆が集まってくるようになっている。

 というより、食事とかも俺が王城にいる時は、俺の部屋で皆集まって食べるからね。

 しかも、王城どころか国の最高権力者である姉さんまで、忙しくない限りはほぼ毎日来るわけだし。

 ……さすがに、クランの部屋にまでは来ないとは思うけど。


「皆が集まるためってわけじゃないけど、そのためにね」

「気遣ってくれたんだね、ありがとう」


 要は、俺がリラックスできる部屋も必要だろうと考えて、モニカさんも二部屋という案に乗ったらしい。

 片方は皆が集まる、俺がよくいる場所としての部屋だけど、もう片方は寝室とか一人になるための部屋としてってわけだ。

 マティルデさんもモニカさんの考えを知っていて、一人になる部屋は必要と言っていた可能性もあるかな。

 俺としては、そこまで気にしたつもりはなかったんだけど……気遣いはありがたく受け取っておこう。


「いえいえ、リクさんをサポートするならこれくらいできないとね」


 なんて笑って言うモニカさん。

 色々と助けてもらっている俺が考えるのもなんだけど、そこまでできなくても別に気にしないんだけどなぁ。

 まぁありがたいのは間違いないので、変な事を言わずに素直に頷くだけにしておく。


「それでリクさん。リクさんの部屋についてなんでけど」

「俺の部屋? 何かあったけ?」

「大体は、基本となる家具を作って入れるようお願いしているけど、それの配置とか色々ね」

「あぁ、成る程。ファガットさんと話せばいいのかな?」

「えぇ、お願い。私やソフィーなどに関しては、既に伝えてあるから」


 そう言ってモニカさんが視線を送ったのは、ファガットさんではなくファラットさんだった。

 よく見てみると、メモみたいなものを持っているようで、ファガットさんではなくファラットさんが書記のように話した内容などを記録しているみたいだね。

 というわけで、部屋に必要な物も含めてファガットさんと相談し、ファラットさんにメモしてもらう。

 細かい事はわからないので、ファガットさんにお任せが多いけど……机の寸法はどうするかとか、椅子やベッドの大きさや数等々まで、細かく決めるのはちょっと面倒だからね。


 まぁベッドは複数じゃなく、少し狭い方の部屋に一つだけにしたけど。

 エルサがいるし、王城では時々ユノが紛れ込む事があるので、大きめでお願いした。

 大きなベッドを占領して寝るのって、結構な贅沢だよなぁ。


「あ、そうだ。ユノ達はどうしようか……ロジーナやレッタさんもいるし。まぁ今のまま王城でもいいんだけど」


 ファガットさん達との相談を終えた頃、そういえばと思い出し、モニカさんに聞いてみる。


「そうね……」


 今のところ、ロジーナと一緒にいさえすればレッタさんが何かする様子はないし、ロジーナの方もユノには反発しながらも、特に変な事はしないようだ。

 口では色々言うけど、協力的だからね。

 とはいえ、クランの建物内には基礎となる創設パーティ、俺やモニカさん、ソフィーからなるニーズヘッグの部屋はあるけど、ユノ達やフィネさんのための部屋というのがない。

 フィネさんはまぁ、あくまで協力者で同行者だし、ユノ達は冒険者ですらないから当然と言えば当然なんだけど。


「空き部屋ならあるから、そこを使ってもらうのはどうかしら? それぞれに個室をというのは、他の冒険者の手前、あまり良くないかもしれないけど……」

「ユノとロジーナ、レッタさんは色々言うかもしれないけど、同じ部屋でいいかもしれないね。フィネさんは……本人が遠慮しそうかな」

「そうね。ここに来る前にも一応聞いておいたけど、今のまま王城か、それとも城下町で宿をって言っていたわ」

「うーん、連絡する時ちょっと手間になるし、王城はまだしも宿はわざわざとらない方がいいかなぁ」


 などなど、モニカさんと相談して皆の部屋について決めて行く。

 途中でマティルデさんの意見も聞いてみたけど、一応冒険者ではない同行者が、個別の部屋を持っているのは所属する冒険者が不満に思う事もあり、それが後々の不和に繋がる可能性もあると言われた。

 けど俺に関しては、ユノ達と一緒にいるところを多くが知っているうえ、その実力も見た目通りではないため侮る人もいないだろうし、それぞれに個室でも問題ないかもというのもあるとか。

 ロジーナとレッタさんは、姉さんも含めた偉い人達からすると要監視対象というか、要注意人物にはなっているだろうけど、ユノに関してはこれまで俺と一緒に活躍してきたからね。


 フィネさんに至っては、フランク子爵……今頃はもう、伯爵になっているんだったかな?

 そのフランク伯爵のお墨付きみたいなものだし、強い反感は抱かれないだろうとの事だった。


「アマリーラさんやリネルトさんも、放り出すわけにはいかないし、放っておくこともできないね」

「むしろあの二人なら……主にアマリーラさんがだけど、リクさんの傍を離れたがらないと思うわ。部屋がなく、ここに寝泊まりできない場合でもリクさんがいるなら、建物の外で野営しそうだわ」

「確かに。まぁそうじゃなくても、適当に扱うのはちょっと気が引けるしね。その理由ができちゃたし」


 以前でも、Aランク相当の実力者だから心配はほぼないにしても、女性だから放っておくなんてできなかったけど。

 それでもさらに、今はアマリーラさんが獣王国の王女様って知っちゃったからね。

 本人はこれまで通り、王女のアマリエーレではなく傭兵のアマリーラとして扱って欲しいとは言っていたけど、さすがに外に放り出しておくなんて事はできない。


「まぁいくつかある空き部屋を使ってもらうように、相談してみよう」

「そうね」


 多分アマリーラさんはリネルトさんと同室でも問題ないだろうし、なんとでもなるかな。

 なんなら、冒険者さん用の仮眠室みたいに使う予定の部屋を一つ、アマリーラさん達用に使ってもらうのもいいかもしれない。

 冒険者としての活動云々でCランクではあるけど、実力はAランク相当だと冒険者ギルドも認める程だし、センテで一緒に戦った人達はそれを目の当たりにしているだろうから。

 あまり活動していなくても、その実力に関してなどはセンテでの戦い以前より有名だったらしいしね。


 というわけで、とりあえず建物の案内や細々とした話を済ませた。

 こっちに来てから結構な時間が経っているし、王城に戻ったらエルサがお腹が空いたとかって色々うるさいだろうし、早く戻ろうと思う。

 ちなみにエルサは、姉さんやヴェンツェルさん達と話した後、ミスリルの矢作成などの作業のため別行動している。

 時間がかかるのと、フィリーナ達に魔力補充のための相談があるらしかった。


 頭にエルサが乗っかっている重みや、モフモフがないのは寂しいけど仕方ないよね。

 ただ、魔力補充は約束していたからいいとして、その相談をフィリーナ達とする必要があるのかよくわからない。

 まぁ手段とかどうするのかわからないから、そのためなんだろう……アルネやカイツさんではなく、主にフィリーナにというところが、エルサはよく見ていると思った。


 ……一緒に相談はするんだろうけど、アルネとカイツさんを主体にすると研究しようと他を放り出しかねないからね。

 なんて考えて、変に思われないようモニカさん達に見られない程度に苦笑しつつ、建物の外に出た……んだけど、その瞬間、外の光景を見て体が固まった――。




建物の外には、リクが驚いて固まってしまう程の何かがあったみたいですが、緊急性はないもののようです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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