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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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1872/1950

リクの作ったミスリルの矢



「まぁおかげで、ヘルサル方面の魔物の集団はかなり減ったようだからな。こちらとしても手間が省けた部分がある」


 ちなみに、ヴェンツェルさんをマルクスさんだけでは止める事ができず、もっと帰還が遅れると思っていたところ、空から周辺の哨戒中だった騎竜隊に発見される。

 その騎竜隊から、王都周辺で起こっている魔物の集団が点在している状況や討伐情報などなどを聞いて、ようやくヴェンツェルさんは帰還を優先するようになったのだとか。

 騎竜隊と会わなかったら、もっと遅れていたのかもしれないね。


「ともあれ、戻ってそうそう悪いが状況は動いている。二人共戻って来たばかりではあるが、報告が終わり次第……」


 センテに行っていた兵士さん達に休息を与えつつ、ヴェンツェルさん達はすぐには休めない様子。

 まぁ、将軍と大隊長だから仕方ないのかな。

 ヴェンツェルさんは長距離を移動してきた疲れを見せず、頼もしく姉さんに頷いていた。


 マルクスさんは……さすがに疲れが少し見えるかな? センテには先に援軍できていて王軍の指揮も含めて戦闘に参加したりと、続いているからね。

 折を見てゆっくり休んで欲しいと思う。


「してリク、私に話があるようだが……この二人の報告は後で聞くとして、そちらを優先させよう」

「えっと、いいんですか?」


 女王様モードで俺に声をかける姉さん。

 ちょっとだけやりにくさを感じながら、ヴェンツェルさん達の方を窺う。


「なに、ヴェンツェル達の報告の多くはセンテに関する事が多いからな。リク達からも聞いている内容から大きな動きはないようだ。それなら、ここ最近ずっと忙しく動き回ってくれているリクの話の方が、優先度としては高いだろう」

「まぁ、そういう事なら……」


 忙しく動いている中に、カーリンさんの調理道具作りに関してなどもあって、割と個人的な部分もあったんだけど……まぁそれもあって、爆発すると思われる不審な人物を発見したり、救助活動もすぐに取り掛かれたんだから、俺個人だけの事でもないのか。

 ともかく、俺の話を先にという事なちょうどいい。


「ヴェンツェルさんとマルクスさん……特にマルクスさんですけど、戻って来てくれたのはいいタイミングだったと思います」

「私ですか?」

「む……?」


 今から話そうとしている事に関して、マルクスさんも見ているからね。

 当時の状況を知っているマルクスさんがいてくれるのはありがたい……俺一人じゃ、上手く伝わるように話せるかちょっと不安だったからね。

 ヴェンツェルさんは……センテというかヘルサルに到着した時には既にヒュドラー討伐などが終わった後だったから、見ていないけど。

 まぁ、センテやヘルサルで色々と話は聞いているだろう。


「センテで、魔物戦った時の話になるんですけど……最初のきっかけは、侯爵軍の兵士さん達と演習かな? ともかく……」


 姉さんに土を固めた壁、耐久としては簡単には壊れない丈夫な物である事、そして、ヒュドラー戦で活躍したミスリルの矢と俺が勝手に呼んでいる、やたら固い土の塊に関しての話をする。

 土の壁の方は、次善の一手で攻撃してようやく傷がつく程度で、センテに魔物が押し寄せてきた際、絶対的な防護壁として魔物を引き付けての猛攻を受けても、ほとんど崩れる事はなかったから、丈夫さは証明済み。

 エルサのドジで、門が壊れたというアクシデントがあったけど、あの土の壁を防衛線として機能させた事によって、街中への侵入を阻止できたと言っても過言じゃないかもしれない。

 そしてミスリルの矢……実際は矢というような形状ではなく、ちょっと尖った石ころみたいな物だけど。


 ただ俺が作った時にやり過ぎて、魔力がかなりこもってしまったらしく、投げるだけで丈夫なはずの土の壁を大きく傷つけるなんて物騒な物になっちゃったんだよね。

 兵士さんが次善の一手を使って全力で剣を振るっても、小さな傷をつけるくらいしかできないはずの物相手に。

 ちなみに、クォンツァイタみたいに魔力をそのまま蓄積させるような事はないらしく、徐々に魔力が抜けてしまうため、時間が経てば経つほど硬さだけでなく威力も下がって行っていたらしい。

 氷を溶かした後に見つかった物は多分凍っていたりなんだりの関係で、まだ使えたようだけど……実際に、アイシクルアイネウム相手に投げて使ったりしたみたいだ。


 けど俺が王都に戻る前くらいには、魔力がほぼ完全に抜けて分解されて土に還っていた。

 ……ちゃんと自然に戻るなんて、エコだね。

 なんてどうでもいい事は置いておいて……。


「とまぁそういうわけで、石を投げる……って単純に言えば、原始的な攻撃方法になるんですけど。でも、効果はセンテで確かに出しました。それは、マルクスさんも見ていると思います」

「はい。リク様、エルサ様の協力あってこそではありますが、魔法や弓矢を遠くから放つよりも、魔物への実害を与えていたのは間違いありません」

「ふむ、成る程な。多少は報告で聞いていたが、そこまでか」

「私も聞いておりましたが、実際にそれを行った兵士の話によると、魔法や弓矢などと違って狙いを定める、熟練させる必要もなく、それでいて確実に威力の高い一撃を与えたと」


 実際に見ていたマルクスさんはいいとして、ヴェンツェルさんも加わってくれた。

 どうやら、戦う場面にはいなくてもあの戦闘の際に石というか、俺の作ったミスリルの矢を投擲していた人から、話を聞いていたみたいだね。

 まぁ、報告は必要だしマルクスさんより上の立場の人だから、聞いていて当然か。


「マルクスやヴェンツェルが言う程の成果を出せるのであれば、確かに魅力的だ。しかしミスリルの矢、か……なんだか、りっくんがやってたゲームのアイテムみたいね」

「んん!」

「っと。なんでもない、気にするな」


 ボソッと、姉さんが小さく呟いたのが耳に入ったので、ちょっとわざとらしくなったけど咳払い。

 ヴェンツェルさんはなんとなく察している部分もあるようだけど、さすがにマルクスさんの前でリラックスモードになるのは止めた方がいいと思う。

 俺と同じく、姉さんの呟きが聞こえていたのか、隣に立っている宰相さんが目を細めているし。


「ま、まぁ、ミスリルの矢っていうのは適当に俺が呼んでいるだけなので、名称はなんでもいいんですけど……」


 むしろ、ちょっと尖った魔法で固めた石を投げているだけで、弓すら使っていないので矢というのも憚られるかもしれないし。

 他にどんな呼び方がいいか、と聞かれると首を傾げてしまうけど、わかりやすい何かがあるなら別にそっちでもいいと思う。


「その辺りは、別で考えるとしてだ。今は仮称としてミスリルの矢と呼んでおこう。話を聞く限り、石と呼ぶのもどうかと思う物のようだからな。して、そのミスリルの矢だが……センテでの戦果は報告できるか?」


 姉さんとしては、不確実なものに許可を出すわけにはいかないための質問なんだろう。

 やってみたけど、大した効果はありませんでした……じゃあ、示しがつかないとかもあるかもしれないし。

 費用とかは、ほとんどかからないと思うけど。

 でも……。




許可を求めるならその有効性、それに伴った戦果がないと簡単に許可が出る物ではないのかもしれません。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

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