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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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1844/1949

北と南から迫る魔物



「ちょっと待つのだわー。ふむむ……だわ。フォレストウルフが数十体、森を南に移動しているのだわ。木がなければ、ここからもはっきり見えるくらい近いのだわ」


 おそらく探知魔法か何かだろう、魔物を発見したエルサの言葉を疑う事はない。

 俺だけでなく、エルサに乗っているほとんどの皆が、警戒する様子を見せた。


「フォレストウルフか……」


 センテとヘルサルの間にある森の中で、何度となく戦った大きな狼の姿をした魔物。

 木の幹を足場にするくらい身軽で、森の中を縦横無尽に動き回るから、場所によってはそれなりに厄介な相手でもある。

 基本的に森から出ない魔物で、もし逃げる場合は森の外に逃げれば追いかけて来ない可能性が高いと言われている。

 ただまぁ、森の中を移動する速度などは人間とは比べ物にならないくらい早いので、森の深い場所で遭遇したら逃げられない事の方が多いけど。


「センテ近くの森でもそうだったし、絶対森から出て来ないとは言えないよね……」

「そうね。私達が森の魔物を討伐しに行った時も、森の外にいたわ」

「うん」


 モニカさんやカイツさんとセンテ近くの森にいる魔物の討伐へと向かった初日、森の外に出て来ていた……とはいっても、木々から数メートル離れていないくらいの場所だったけど。

 ヘルサルに向かったフォレストウルフもいたみたいだし、例外的な事ではあったけど。

 でも例外と言えば今回も、群れを作る習性のある魔物とはいえ数十体と大量にいるわけだから、これも例外とも言える。

 それにそのフォレストウルフが、他の魔物の集団と同じだと考えれば必ずしも習性に従った行動をするとは、断言できないしね。


「エルサ、このままだと村にぶつかりそう?」

「なのだわ。一直線ってわけじゃないけどだわ、村の方に向かっているのは確かなのだわ。一刻の猶予もないとは言わないけどだわ、もうしばらくしたら到着するかもだわ」

「成る程。理由はわからないけど、群れで移動しているとなるとこのままだと村の人達が危ないのは間違いなさそうだね」


 村の方は一応周辺の魔物の警戒をしているようには見えるから、今は気付いていなくてもそろそろ気付きそうだけど……とにかく戦力が十分とは言えない。

 フォレストウルフは、森の中で戦うよりも開けた場所の方が戦いやすいだろうけど、数十体もいるし状況としては悪すぎる。

 ここに来る前に魔物と戦っていた人達が、討伐を終えてこちらに来てくれる、または戻ってくれればいいけど……それも望めないだろう。

 俺達はエルサで移動しているからすぐの距離でも、地上を移動するなら数時間はかかるはずだし。


 魔物を討伐した後に休憩や後始末をしていたら、もっと時間がかかるだろうなぁ。

 もしかしたら今日中に来れない可能性だってあるわけだ。


「今のうちに、俺達がやっておくしかないか。まぁ元々そのつもりというか、訓練にもなりそうだし……」


 そう思って、エアラハールさんを見てみると何やら考えている様子。

 というか、フォレストウルフがいるとわかってからずっと、腕を組んで思考しているようだから、同訓練に加えたものかと考えているんだろうと思う。


「そうね、村が危ないなら助けないと。でも、あっちの方はどうしよう?」

「うーん、向こうもなんとなく北を目指している気がするんだよね。動いているかどうかもわからないくらいだけど、さっきより少しだけ大きく見える気がするし……」


 モニカさんが示したのは、先程ぼんやりと見えるだけで魔物かすら判断できない何かがいる、村の南の方だ。

 気のせいかもしれないけど、なんとなく村に近付いて少しだけ大きく見えるような……動いているのだとしたら、生き物なのは間違いないだろう。


「エルサ、向こうはどうなんだ。えっと、南の方にいる……」


 背中にいるから、手ぶりで示してもエルサには見えないと途中で気付き、方角を口にする。


「さっきついでに調べたけどだわ、向こうはオークが数十体なのだわ。北上しているから、放っておけば向こうも村にぶつかるのだわ」

「やっぱり、か……」


 北と南から挟撃か……村はたまったもんじゃないな。

 まぁ、示し合わせたわけじゃないんだろうけど。


「どちらも数十体……周辺に助けられるのは私達だけ。なら、どちらも倒すしかないわね。えっと、エルサちゃん? 差し当ってどちらが村に近くて、危険なの」

「近いのは北なのだわ。南の方は動きが遅いから、このままでも今日中に村にぶつかるかどうかなのだわー」

「今日中にかどうかって事は、順調……って言うのは微妙だけど、北に進めば村に到達するのは深夜か……日中よりも対処が面倒そうだね」


 そもそも、村で対処できる可能性はかなり低いだろうけど……オークは低ランクの魔物で、一体でも戦えない人が数人いれば何とかならなくもない、という程度。

 ただそれが数十体もいるんだから、深夜の混乱なども含めればかなり難しい状況になる。


「それじゃ、どちらも対処するって事で……先に、北の森にいるフォレストウルフかな」

「そうね。その後、南のオークで間に合うはずね」

「あ……だわ」

「どうした、エルサ?」


 モニカさんや他の皆と顔を見合わせて頷き、方針が決まったと思ったら、おもむろに声を出すエルサ。

 何かあったんだろうか?


「オークのさらに南に、別の魔物がいるのだわ。んむむ……探知魔法ギリギリで捉えられるくらいだから、今まで気づけなかったけどだわ」

「オークのさらに南? 探知魔法ギリギリなら結構離れているし、オークを倒してからでも良さそうかな」

「そうでもないのだわ。あれは……デュラホースなのだわ」

「デュラホース……?」


 初めて聞く魔物の名だ。

 全ての魔物を知っているわけじゃないし、俺の知識は多くがマックスさんから短期間で教えてもらった物だから、知らない魔物の方が多くて当然だけど……。

 特に、あまり遭遇機会の多くなさそうな魔物とかは、よく知らない。


「デュラホース、馬の魔物よ」

「馬?」


 俺だけでなく、モニカさんやソフィー達も知らなかったようで、見かねたロジーナが話し始めた。


「デュラハン、と言えばリクには伝わるかしら?」

「えーっと、まぁうん。首なしの騎士とかだよね?」


 よくあるのは、自分の首を手に持っている騎士の姿をした魔物か。

 この世界にそれがいるのかはわからないけど……騎士単体だったり、乗っている馬も含めての個体だったりするんだっけ。

 人型で騎士でもあるうえ、性質としてアンデットみたいな事も多く、総じて手強い魔物として日本の物語では多くのものに登場しているし、俺も何度も見た事がある。


「それを馬にしたようなものよ。騎士ではないけど、単純に言えば首がない馬ね」

「首がない馬……」


 人型の騎士ではない以上、剣を使ったりもしないからなんとなく脅威度は低い気がする。

 ただ、首のない馬が動いている、というだけで十分過ぎるくらいホラーだけど。


「まぁ魔物としてはあまり強くないわ。首がない、つまり口もないから噛み付きもできないし、馬だから基本的に直進の体当たりするくらいが精々ね」

「成る程……」




デュラハンと呼ばれる首無し騎士の魔物よりは、脅威として低いのかもしれません。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

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