魔力感知で急所を調べる方法
「あ……違いというか、他よりも濃くて魔力が集まる場所がいくつかあるね。それが三人分。微妙に位置が違うから、これの事かな?」
人の形に感じる魔力の中で、循環しているのとは別に各所に濃く固まっている魔力があるのを感じた。
それは人でいう、頭や心臓……それにこれは、肘とかかな?
細かな場所は三人それぞれで少しだけ違いがあって、濃さなども違う。
「人によって魔力の大小があるから、その違いもあるけどね。その感覚があれば、どこに急所があるか、どこを狙えばいいかわかるでしょ?」
「あぁ、成る程。確かに……」
濃さの違いなどは、魔力量の違いなんだろう……よくよく考えると感覚として捉えている魔力自体も、少しだけ違うし、捉えやすいか捉えにくいかという違いだけども。
それはともかく、確かにロジーナの言う通り体のどこに濃く魔力が集まっているのかがわかれば、そこが急所なんだとわかった。
濃く集まっているのは、ほとんどが頭や心臓などの内臓がある場所で、特に心臓と頭というか脳がある部分が濃くなっているから。
「でも他にも集まっている場所は……んー、もしかして。――ソフィー、左肘が少し痛んだりしない?」
「む、確かに少し痛むな。怪我をしたとか、使い過ぎたからではなく、単純に先程のオーガとの戦いで打ち付けてしまったからだが」
「成る程、そういう事かぁ」
「人は意識的か無意識かに関わらず、痛みのある場所や怪我をした場所を庇おうとするわ。そこに、魔力が集まるのよ」
ソフィーの左肘と思われる場所に、少しだけ魔力が集まっているように感じたから聞いてみたら、当たってしまった。
急所などを隠そうとする、というよりは守ろうとする防衛機能に近いか……だから、心臓とか脳などの場所には濃い魔力が集まっているんだろう。
つまり……。
「この感覚を、オーガと戦っている際に掴むのはさすがに無茶がある気がするけど……そういう事なんだね」
「えぇ。ユノが言いたかったのは、それがわかれば例えオーガのように剣を二度三度突き刺した程度では、中々倒せない魔物であっても、一撃で仕留められる急所がわかるでしょ? って事よ」
戦闘中とは違って、ほとんどの意識を魔力へ向けて集中しているおかげで、なんとかつかめた感覚だから、攻撃を避けるために体を動かしながらなんて、かなりの無茶だとは思う。
けど確かに、これがあればオーガをもっと簡単に倒せる事ができたのは間違いないだろう。
錆びた剣を突き刺すのは、大きく斬りつけるのとは違って急所を狙うのに適しているし、これなら心臓などの場所もなんとなくわかる。
オーガだって魔物であっても生き物だ、人間とは心臓の位置は違って近い場所を何度突き刺しても起き上がって来たけど、さすがに本当に心臓もしくは近い器官がある場所を貫けば、それで倒せるはずだしね。
だからユノは、俺が外側の魔力を掴み始めた戦闘後半から、オーガをどんどん倒す事を考えていたんだろう。
実際は、難しくてそこまで集中というか意識を深く外へ溶け込ませられなかったけど。
あの状況で、しかも初めてでそこまでっていうのは中々厳しいというか、難しすぎるよユノ……。
「さすがにあの戦闘中に気付くのはなぁ……何度も殴られていたし、外側の魔力に意識を向けてからは避けるのに必死だったし……」
魔力を放出しているから、もしオーガの攻撃が直撃したら吹っ飛ばされていてもおかしくなかったからね。
そんな中、よく説明されていない事に不慣れな状態でというのは、やっぱり難易度が高い。
「自分ができるからって、ユノはリクにも同じ事を求め過ぎなのよ。人間は、というより全ての生き物はそこまで優秀じゃないわ。手取り足取り教えなきゃいけないわけではないけど、何も教えていないのに新しい事に気付くのは稀よ」
「え、ユノはできるんだ……という事はもしかしてロジーナも?」
「当たり前でしょ? 基本的に、私にできる事はユノにもできるし、ユノにできる事は私にもできるわ。ただ、性質の違いで差は出るし、絶対でもないんだけど……特に今は人としては個性が別れているから。性格とは別の意味でね」
「成る程……」
表裏一体と言っていたから、そう言うものなのかもしれない、よくわからないけど。
見た目的には年齢とかも違うけど、一卵性双生児の双子みたいなものかな?
「むぅ、やろうと思えば誰でもできる事なの。それこそ、多くの人はやっているの」
ロジーナの物言いに、頬を膨らませて拗ねた様子のユノ。
「多くの人間がやっているって……本当に?」
さすがに、あの感覚を人の多くがしているなら、もっと共有できる何かがあると思うんだけど……。
「無意識か、意識的にかは人によるの。けど、大体の人はできるの。ほら、気配を感じるとかそんなのなの」
「気配を……まぁ言わんとしている事はわからなくもないけど……」
目で見なくても、なんとなく誰かがいるのを感じるとかそういう事だろう。
大抵は錯覚だったりするけど……魔力を感知して、気配を察するようになる事もできるのか。
確かに、空気中にある自然の魔力とは別の魔力があれば、そこに誰かがいるんだと気づけるだろうけど。
「リクの場合は、体を覆う魔力が分厚過ぎて他の人が無意識にやっているようには、外の魔力を感じられないの。だから意識的に、感じ取る必要があるの」
「それって、俺が誰かの気配を感じられないって事?」
ユノの言葉に首を傾げた。
誰かの気配に敏いわけじゃないけど、なんとなくいるなぁって感覚は多少なりともある。
魔力とは別でね。
「よく達人が、見ていないのに迫る何かを避けたりするのをリクはわかると思う。けど、あれとはまた少し違うのだけどね」
「うーん……?」
ロジーナが言っている事はなんとなくわかる。
主に物語の世界でだけど、剣とかの達人が目で見なくても気配を察知して戦うとかそんなやつだ。
魔力を感知すれば、それに近い事もできるっと考えていいのかな? 探知魔法程広く遠くは感知できないけど、数メートル程度はなんとかなるし。
「気配を感じるのと、魔力を感じるのは似ているけど少し違うの。でもほとんど同じものと考えればいいの。で、リクは体を覆う魔力を薄くする事で、外の魔力を感知できるようになるの。他の人は、そんな事をしなくても元々できているの」
「つまり、無意識でなんとなく魔力を感じ取っている人もいるけど、より確実に察知するには意識して感知すればいいって事よ。感覚を尖らせて魔力を感知できればさっきのオーガと戦った時のように、容易に攻撃は避けられるし、逆に急所を狙いすませる事もできるわ。まぁ相応の技術は必要でしょうけど」
「そうする事で、近くにいる味方にも注意ができるの、多分。あとは力加減を覚えて巻き込まないようにすればいいだけなの」
「まぁその力加減が難しいから、こうして私やユノが頭を悩ませてリクに訓練をさせているわけでけどね。わかった?」
「わ、わかったようなわからないような……?」
ユノとロジーナが交互に話す内容に、あまり頭が付いて行かない。
頭はいい方じゃないからなぁ……。
リクは理論派ではなく感覚派なのかもしれません。
読んで下さった方、皆様に感謝を。
別作品も連載投稿しております。
作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。
面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。
また、ブックマークも是非お願い致します。






