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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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1805/1949

爆発による被害の報告



 アマリーラさんの被害報告に、改めて周囲の状況を見渡す。

 報告を受けなくとも、建物の被害が甚大なのは目の前に広がる光景でわかる。

 けど、数字で聞くと実感が湧いてしまってなんとも言えない気持ちになるなぁ。

 爆発した瞬間は直接見ていないから、どれくらいの威力と勢いで爆炎を撒き散らしたのかはわからないけど……火事の規模はかなり広い。

 今は倒壊した建物や、燃え崩れた家がそのままになっているので雑多な印象になっているけど、全部片づけられたら、ここだけぽっかりと空白地帯ができたように見えるのだろうか。


「まぁ、建物はまた建て直せばいいのですからぁ、取り返しがつくと考えましょ~。この光景はあまり見たくないですしぃ、痛々しくて住んでいた人達の事を思うと胸が痛みますがぁ……」

「そうですね……」


 住んでいた人達には悪く感じるけど、建物であればまた建て直す事ができる。

 いつも以上に間延びした口調のリネルトさんに言われて納得し、しかめていた顔を解した。

 リネルトさんはさっきまで、救助活動や現場の緊張感でしゃきっとした口調だったのが、元に戻っている……よりもさらにおっとりした感じになっている。

 もしかしたら、反動とかあるのかもしれない。


「それで、建物の方はわかりましたが、人の方はどうだったんですか?」

「そちらは調査中の部分もあり、全体数はまだこれからになりますが……死者は十人から二十人に満たない程度だろうとの事です。怪我人は百を超えるようですが、こちらも救助活動、消火活動に参加した者も含まれています」

「十人から二十人……ですか」


 規模から考えるとかなり少ないと言えるんだろう。

 けど、目の前で燃えていた家の中で、もしくは爆発に巻き込まれて、なんの罪もない人達が亡くなってしまったという事実はかなり堪える。


「死者のほとんどが、初期の爆発や、火に巻かれてという事のようです。リク様や我々が到着してからの死者は、ほとんどいません」

「助けられる人はできるだけ助けられたって事ですね。ありがとうございます」


 再び顔をしかめさせた俺を気遣うように、眉を下げてフォローしてくれるアマリーラさん。

 亡くなった人がいるという状況では不謹慎かもしれないけど、俺達の活動で確実に助かる命が増えたというのは、不幸中の幸いとも言えるだろうか。


「……リク様の心中お察しいたします。お労しい……」

「はいはい、アマリーラさぁん、それじゃ話が進みませんからねぇ」


 口元に手を当て、俯くアマリーラさん。

 俺が死傷者の数を聞いて心を痛めている、と慮ってくれているんだろうけど……それは俺に対してじゃなく、亡くなった人達や取り残された人達に向けて欲しいと思う。

 ともあれ、そんなアマリーラさんに突っ込みつつ、リネルトさんが報告を続けてくれる。


「怪我人は現在治療中で、軽傷者が多いようですねぇ。直接爆発に巻き込まれなかった人などは、リク様の救助のおかげで酷い怪我を負う事は、少なかったみたいですぅ」

「重傷者が少ないのはいい報せですね。まぁ、火傷の跡が残る人とかはいるかもしれませんけど……」


 俺が助け出した女の子とか……抱いて守っていた赤ん坊は大丈夫だっただろうけど、俺が発見した時既に火傷を負っていたようだったからね。

 女の子に火傷の跡なんて、と思うのはこちらの世界よりも日本の価値観かもしれないけど。

 冒険者じゃなくても、何かしらの怪我の跡がある女性を実は結構見る。


 ブハギムノングでは特に多かったけど……地球と比べたら治療技術が未熟なのもあって、ちょっとした怪我でも跡が残りやすいのかもね。

 ともかく、女の子の今後に傷跡が暗い影を落とすような事がないのを願うばかりだ。


「それからぁ、目撃証言からなのですけどぉ……やっぱり、人がいきなり爆発したという事のようですぅ。確定と言えるかは証言をまとめないとわかりませんが……」

「予想はしていましたけど、やっぱりそうなんですね」


 周辺の聞き取りから、そういった証言が出てきているんだろう。

 確定とまで言えなくても、状況的にはそうとしか考えられないからね。

 クラウリアさんの行っていた、ヘルサルでの破壊活動では爆発するだけで、爆炎は撒き散らさなかった。

 威力もこちらの方がかなり強く、王都内でそんな事ができる、する必要があるのは、帝国がけしかけている以外に考えられない。


「他に何か、目撃証言はありませんか? その、どんな人が爆発したのか……とか」

「急な事だったので、はっきりした事はまだわからないようですけどぉ……宿なしのように見える人が、ふらふらと歩いていたのを見た人もいるみたいですぅ。その人が爆発を引き起こした、とまではまだはっきりしませんけどぉ、言葉にならない声を発していたとの証言もあるみたいですぅ」

「宿なしのように見える、言葉にならない声……さっきまで、同じような人物を見ていましたけど、似ているだけとは言えませんね。多分、同じ仕組みを施された人物なんでしょう」

「状況からは、そうとしか考えられませんねぇ」


 爆発した人物だ、と断定はまだできなくとも証言からの話では、先程地下牢に隔離した人物とほぼ同じと言える。

 俺達が発見した人の方は、ただ立っているだけで体を動かす事などはせず、歩いてはいなかったけど……人によって多少の差異があるのだろうか?


「エルサの言ったとおりだ。あの人はやっぱり、爆発するよう仕向けられた人で間違いないみたいだね」

「さすが私なのだわー」

「うん、エルサのおかげで未然に一つの大きな被害が出るところを、防げたよ」


 あの時、地下牢に隔離した人の方だけど、エルサからの忠告なく触れて爆発してしまっていたら。

 もしくは、地下牢の入り口である家でエルサが結界を張らずに爆発してしまったら……。

 ここと同じような被害が、あちらでも起こってしまっていたという事になる。

 俺は多分、目の前で爆発されてもなんとか無事だったかもしれないけど、アマリーラさんやリネルトさん、兵士さん達も巻き込んで、酷い有様になっていただろう。


 さらに言うなら、同時多発的に爆発が起こる事で、救助活動などが遅れてもっと甚大な被害になっていた可能性が高い。

 俺の体は一つだし、複数の箇所で全ての人を助ける事はできないんだから……。

 冒険者ギルドの建物が破壊されたり、他の場所で爆発が起こった時は散発的に起こったらしいけど、今回は連続してだ……向こうも、本格的に破壊工作を仕掛けてきていると考えた方がいいかもしれない。

 考え込んでいる俺に、リネルトさんは少し声を潜めて報告を続ける。


「それと、兵士から気になる事を聞きましたぁ。なんでも、ここで大きな爆発が起こる前なんですけどぉ、東側で小規模の爆発が起こっていたみたいですぅ」

「東側で? でも、小規模ってどれくらいなんですか?」

「小さな建物が一つ壊れたくらいみたいですぅ。外からではなく、その建物内で爆発が起こって、壊れたみたいですねぇ。ただ爆発しただけで、火事などにはなっていないみたいですぅ」

「建物内……」




こことは別の場所でも、爆発が起こっていたようです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

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