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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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一部女性の本心



「あなた達は、少しだけ待っていなさい。――リク様、モニカ様少々ご相談が」

「あ、はい。でも、俺が考えても特に何か出て来るとは思えないんですけど……」

「まぁとにかく、ヒルダさんの話を聞いてみるしかないみたいね」


 と、部屋の隅に俺達を促すヒルダさん。

 自分達の今後が関わっているためか、女性達はそれぞれ気が気じゃない様子ではあるけど、待っていろと言われたためおとなしく待ってくれている。

 どうなる事やらと思いつつ、とりあえずモニカさんの言う通り話を聞いてみようと、部屋の中を移動。

 そこで、女性達に聞こえないよう小声になったヒルダさんから少しだけ話を聞いた……相談というか八人いる女性達のうち、一部の身の上話に近かったけど。


「……成る程」

「八人全員が全員、使用人になる事に必ずしも積極的というわけではありません。雇われ、どうせ使用人として働くのであれば、恩人のリク様の下で……と考えてはいるようですが」

「つまり、他に相応しい働き口があれば、そちらに行くのも構わないというわけですね。いいんですかヒルダさん? リクさんとの話では、人手が足りないという事でしたけど」

「構いません。もちろん、人手が欲しいというのは現在王城にいる者全員が思っている事ではあるでしょう。ですが、それよりも本人が納得し、そちらで力が発揮されるのならそれでいいと。陛下からも許可をもらっています……というより、陛下がリク様に判断を委ねるようにと仰っていましたからね」

「ん?」

「いえ、なんでもありません」


 ヒルダさんの言葉の最後だけ、さらに小さな声だったからよく聞こえなかった。

 聞き返すようにヒルダさんを見ると、首を振っていたから特に何かあるのではないんだろう。

 姉さん……陛下と言っていたように聞こえたけど、姉さんが関わっているなら俺が気にするだけ無駄だね。

 全てではないし、理不尽過ぎればさすがに反対するけど、基本的に弟は姉には逆らえないしついしたがってしまうものだから、多分。


「じゃあ、そうね……リクさん、こういうのはどうかしら……?」

「ふむふむ。じゃあ他の人は……」

「そうね、こちらも準備段階だけど、他に人手が欲しい部分ではあるから」

「決まりだね。まぁ本人が納得してくれれば、だけど」

「リク様から提案された事を、拒否する事はあり得ないと思われますが……本人達の本質的な希望には、沿っているわけですし、尚更ですね」

「そうだといいんですけど……」


 断言するヒルダさんに苦笑しつつ、モニカさんと少しだけ相談して決めた事を、女性達に伝えるべく部屋の隅から元の場所に戻る。

 女性達は全員、ハラハラしたような雰囲気や表情でこちらを窺っているけど、大丈夫。

 ヒルダさんから聞いた話の通りなら、きっと皆満足してくれると思うから。

 そう考え、女性達に向けて口を開けた。


「まず、相談をしてもやっぱり八人全員をお世話係にというのは難しいので、できません」

「……そうですか」

「あぁ、落胆しないで下さい! その代わりの案を考えましたから」

「代案、ですか? それは一体……」


 はっきりと俺が宣言したことで、女性達が再び落胆してしまった……もう少し言葉を選ぶか、今の前置きはいらなかったかな?

 でも、伝えておかないといけない事だからと考え直し、改めて女性達を真っ直ぐに見て……そのうちの三人へと視線を向ける。


「確か、ミラルカさん。でしたか?」


 視線を向けた三人のうち一人の女性を呼ぶ。

 女性達の名前に関しては、今しがたヒルダさんに教えてもらっていた。

 ただ一気に八人なので、ちゃんと覚えられているか怪しいため確認しながらだ。


「は、はい! リク様に名前を呼んでもらえるなんて、光栄です!」

「そんなに大袈裟な事じゃないと思いますけど……ミラルカさんは、少しだけ腕に覚えがあるとか?」

「リク様に自信を持ってはいと頷ける程ではありませんが……」


 俺の言葉に俯くミラルカさん。

 ヒルダさんから聞いた話によると、ちゃんとした訓練などは受けていないようだけど、元々野盗に攫われる前は故郷の村で、近付いてきた魔物を追い払うなどをしていたらしい。

 結局は野盗を装った帝国の冒険者には適わず、他の女性と同じように攫われてしまったらしいけど……ちなみに、ここにいる人達全員がそうだけど、元々身寄りがなかったり、攫われる際に家族などはやられてしまっているみたいだ。

 まぁだからこそ、戻る場所がなくなっているから王城で雇う事になったわけだけど、今は悲しい事を思い出させてしまうから、蒸し返すように話したりはしないけど。


「ヒルダさんから聞きました。どちらかというと誰かのお世話をする使用人よりも、誰かを助ける冒険者、もしくは兵士になって戦いたいのだと」


 希望と言う程じゃないけど、教育をしている時にふと漏らしていた事を、ヒルダさんが聞いたらしい。

 実はそういう希望を持っている、というよりも以前はそうだった、という感じの話みたいだけどね。


「それは……はい。ですが、元々に多様な事をしていたとはいえ、結局野盗達には手も足も出ず……」


 おそらくその時の事が、トラウマになって自分が戦う側になる事を躊躇しているんだろう。

 だから結局、使用人になる事を選んでここにいる、と……。

 ヒルダさんからはさらに、俺のために働きたいみたいな事は本心からで、自分が役に立つのならと使用人を選んだとも聞いたし、それも理由の一つみたいだけど。


「まぁミラルカさん一人と、複数で襲ってくる野盗達では敵わないのも仕方ないと思います」


 ロータ君の父親だって、元冒険者だったのに複数人で襲われてロータ君を馬と一緒に逃がすくらいしかできなかったみたいだからね。

 一人対複数というのは、頭で考えるよりも難しい事のはずだ。

 ……俺自身はあまり感じた事がないけど、それは例外としておこう。


「それでですね、もしミラルカさんさえ良ければ、そういった戦えるようになるのはどうかなと」

「え……? それはどういう……?」

「俺達、冒険者の集まりであるクランを作る事になっているんです。今はその準備中ですけど。そこにミラルカさんも入らないかなって。もちろん、冒険者になる必要がありますけど」


 ランク判定のための試験とかはあるけど、冒険者になるだけなら実は簡単。

 まぁ知識も含めた実力がなければ、まともに依頼をこなせないしランクも上がらないんだけどね。


「私が、冒険者に……」

「もちろん、ミラルカさんが兵士になりたいと思うのなら、そちらでも構いません。今この国では多分ですけど、兵士のなり手も不足しているでしょうし、増える事は歓迎されるでしょうから」


 ミラルカさんに言いながら、チラリとヒルダさんを見ると頷いてくれたので、本当に兵士さんは随時募集中ってところだろう。

 戦争を控えている状況なんだから、少しでも数を増やしたいのは当然か。

 もちろん、兵士になり立ての人が前線で活躍なんて無理だろうから、今からミラルカさんが入隊しても後方支援とか、軍がいない間の街などの治安維持などの役割になるだろうけど。


 さすがに訓練をまともにできていない新人は、戦争では足手まといで味方を巻き込む可能性があるだろうし、姉さんがそんな無茶をするとは思えないし。

 ミラルカさんが絶対に足手まといになる、というわけではなく単純に一般論として、だけども――。




冒険者か兵士、どちらにせよ戦える職へのお誘いを、ミラルカさんはどう選ぶのか……。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


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