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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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プニプニ結界は魔力固定化の結果



「とりあえずレッタは、通れるくらいの範囲で穴を開けちゃって。魔力を操作すれば行けるはずよ」

「畏まりました……では……」


 ロジーナの指示に従い、そっと結界に触れたレッタさん。

 触れた部分が一瞬だけほんのり赤く染まったと思った次の瞬間には、人が一人何とか通れるくらいの隙間が空いていた。

 ……魔力誘導で、その部分だけ他へと魔力移したんだろうか? よく見れば、なんとなく空いた隙間の端の方は結界が少しだけ厚くなっている気がする。


「……そんなに簡単に穴が開けられると、自信をなくしそうね。これでもかなり頑張ったし前回よりもマシな物ができたと思っていたんだけど」

「魔力を固定化した塊の結界と、レッタの能力は相性が悪いから落ち込まなくていいわよ。まぁ、リク達の結界だとこうはいかないでしょうけど」

「それはそれで、再現には程遠いと言われているようで落ち込むわ……」


 あっさりと結界に隙間を開けて、訓練場を出て行くレッタさんを見送るフィリーナは、肩を落としている。

 頑張って作った結界が簡単そうに通り抜けられたら、そうなるのも仕方ないか。

 レッタさんの魔力誘導と結界……確かに、魔力を動かせばその場所の結界を維持するのは難しくなるだろうから、相性は最悪と言えるのかもしれない。


「あれだけの魔力を使ったのに……というのもあるけどね。はぁ……」


 そう言ってため息を吐きながら、袋に入っているクォンツァイタをいくつか取り出すフィリーナ。

 それらは、先程まで限界まで魔力が充填されていた物だけど、半分くらいは無色透明……つまり魔力を一切蓄積していない状態になっていた。

 残りは、物によって色合いというか残っている魔力が違うのか、複数の色を保っていたけど。

 ともあれ、満充填されている事を示す黄色のクォンツァイタは一つもないようだ。


「まぁまぁ、クォンツァイタに関しては俺が後で魔力を充填しておくし、必要なら他のもやっておくよ」

「そうね……研究にも使うし、物資としての備蓄も必要だから……少なく見てもざっとこの数十倍は必要だけど、リクに協力してもらえるならすぐに終わりそうね」

「ほ、程々にお願いね? さすがに、全部を一気にというわけにはいかないし」


 数十倍って……しかも、少なく見積もってそれだから、もしかしたら千以上は必要になるのかもしれない。

 研究とかで、消費もされているようだし。

 安易な約束をしてしまった気はするけど、魔力に余裕がある分には無駄にしないように使うと考えれば、悪くないのかな。


 大量のクォンツァイタへの魔力充填かぁ……あまり経験数は多くないけど、魔力が少なくなると倦怠感とか疲労感が強くなるんだよね。

 やり過ぎないよう、気を付けないと。


「そんな話より、さっさと結界についてリクに説明しなさい」

「わかったわ。まぁ私の認識とロジーナの考えが合っているのかはわからないけど……」

「問題ないわ。原始の魔法……いえ、駄ドラゴンの魔法ね。それを使わずに結界を近い状態で再現できているんだから」

「誰が駄ドラゴンなのだわ!」

「はいはい、話が進まないから少し静かにしててくれなー。エルサは頼りになる相棒だよ」

「よしよしなのー」


 自信なさそうなフィリーナはともかく、ロジーナの言葉に対し律儀に反応するエルサを、ユノと一緒になだめる。

 うむ、エルサのモフモフを撫でているとさっきまでの、高次元魔力だなどの話で披露していた頭が癒されていくね。

 難しい話をしている時は、エルサを撫でて癒し効果を得ていた方がいいのかもしれない。

 ロジーナも、延々と結界を触ってプニプニしているし。


「とりあえず説明するわね。えっと、私が作った結界は魔力をひたすらに練って濃くしたもの、と言えるの」

「可視化されていたから、それがどれだけ多くの魔力を費やしていたのかは、なんとなくわかるね」

「えぇ。ざっくり言うと、その魔力を特定の範囲や場所に向かわせて固定化する事で、結界になっているのよ」

「固定化……」


 魔法を使ううえで、魔力が変換されて魔法という現象になる……というのはなんとくわかっている。

 けど固定化というのは聞いた事がないなぁ。

 炎を撒き散らすとか、氷を矢のような形で作り出すとか、風の刃を放つとか、そういう事が多いくらいだ。

 それだって多分、変換された魔力が自然現象と重なって魔法として具現化されたもの……だと俺は考えているけど。


 酸素を燃やして炎を、空気中の水分を凍らせて氷を、空気その物を固めて風の刃を等々だ。

 まぁイメージする事で現象を引き起こす原始の魔法は、その限りではないのかもしれないけど。

 ……あくまで俺個人の考えで、間違っているかもしれないけどね。


「一口に固定化と言っても、それが難しいんだけどね。本来、魔力自体は可視化されるほど濃くても触れるものじゃないし」

「言われてみると確かに」


 現象を引き起こすと言っても、魔法で何かに魔力が変換されてならともかく、魔力をそのまま固定化……つまり固体のようにするのは簡単にできるようでできないんだろう。

 もしかすると、だからこそフィリーナの作った結界は俺やエルサのとは違って、プニプニしているとかかもしれない。

 なんとなく、ロジーナがまだ完全じゃないと言った意味がわかった気がする……これはこれで、感触としては楽しめるのかもしれないけど。


「さっき魔力を練っていた時に、私がずっと呪文を唱えていたでしょ? あれは、全て魔力を固定化させるためのものなの」

「魔力を動かしたり、可視化するくらい練っているためにも必要なのかと思っていたけど……」

「それくらいなら、クォンツァイタの魔力を借りたとはいえ基本は私自身の魔力だから、呪文は必要ないわ。魔力を練るのに集中は必要だけどね」

「成る程……」


 フィリーナが小さく呟いていた呪文……どんな言葉だったのかまではっきり聞こえなかったし、ロジーナと話したりもしていたから、内容とかはわからなかった。

 けど大体数分くらい続いていたから、それを考えると、固定化のためだけに延々と呪文を唱える必要性があるなら、どれだけ難しいかもなんとなくわかる気がするね。


「魔力を固定化、つまり物質化するには大量の魔力が必要なの。それを、魔力消費を抑えてすぐ発現できるのがリクやエルサの使っている結界なの」

「って事は、俺やエルサが使う時みたいに咄嗟にはできないのか」

「まぁね。たっぷり余裕がある状況でしか使えないわね。特に戦闘中とか絶対無理よ、集中できないのもあるけど。そうね……陣地を築いてその場を守るためにとかなら使えるかしら? 必要かどうかはわからないけど。消費する魔力が多すぎて、他で使った方がいいくらいよ」

「それはまぁ、状況次第ってところじゃないかな?」


 拠点防衛用と考えれば、使い道がないわけじゃない。

 実際、今作った結界もセンテで隔離結界の穴を塞いでいたものも、どちらも感触はともかく簡単には通る事はできなかった。

 どれだけの耐久性があるかにもよるけど……もっと大きく作れるのなら、中に侵入されないためや、敵の魔法や弓矢などの遠距離の攻撃を防いだりもできるわけだからね――。




状況に応じて、フィリーナの結界も有益に使える事もあるかもしれません。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

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