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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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プニプニ結界が完成



「この世界で生まれて育った、とかならその時から魔力に触れているはずで、だから感覚的にもある程度分かりやすいのだけどね。そうじゃないのだから、リクがすぐにわからなくても仕方ないわ。まぁ、それだけとんでもない魔力を持っていたら、すぐに感覚も備わりそうなものだけど……」

「ロジーナがフォローをしてくれる……最後はちょっと微妙だったけど、これまでほとんどの人に呆れられたりしてきたのに……」


 ほろり……と涙がこぼれるとかそういう事はないけど、これまでの扱いというか魔力ちゃんと制御できていなかったのに対して、呆れ混じりで言われる事が多かったので、ちょっとだけジーンときた。

 最後には少しだけチクリと言っていたから、優しい言葉というわけでもなかったけど……。

 でも成る程そうか、他の人達はこの世界で生まれ育っているから、ずっと魔力と馴染みがあって俺にはない感覚的な事がわかるのかもしれないね。


 勉強して備わったとかではなく、成長するうえで勝手に認識し、感覚を備えているからこそ、俺が多い魔力量を制御できない事に対して呆れるしかなかったとかかも。

 体を動かす、腕や足を動かす事が簡単にできる人からすれば、それができない人の悩みや不自由さ、どうしてできないのかってあまり理解されにくいと聞くし……それと同じかはわからないけど、似てはいると思う。


「だから言ったでしょ、ロジーナはツンデレなの」

「確かに……」


 俺が少しだけ感動していると、コッソリ小さな声で耳打ちしてくるユノに、深く頷く。

 ロジーナってツンツンしている喋り方や、自分以外はどうでもいいみたいなそぶりはするけど……意外といい所があるというか、ちゃんと周囲の事を考えているんだよなぁ。

 素直じゃないというかなんというか……破壊神としてはそれでいいのかはわからないけど。


「こらそこ、聞こえているわよ! 誰がツンデレよまったく! そんな馬鹿な事を言っているうちに、終わりそうよ」

「おっと、聞こえてた」

「地獄耳なの」


 ユノはかなり小さな声だったんだけど、どうやらロジーナに聞こえていたらしい。

 怒られて、ユノと顔を見合わせてニシシ……と笑いながら、改めてフィリーナから広がった魔力に意識を移す。

 フィリーナが頑張ってくれているのに、こっちはただ談笑していただけで終わったら申し訳ないからね。

 ……すでに遅いかもしれないけど、フィリーナが薄く目を開けてチラリとこちらを睨んだ気がするし。


 ごめん、集中している時に関係ない話をしてしまって……と心の中で誤っておいた。

 そうこうしている間に、訓練場の一角にいる俺達を包むように、可視化された魔力が広がる。

 大体、半径三、四メートルくらいだろうか、六畳一間がすっぽり入るかもってくらいの魔力のドームができあがった。


「……境界を遮る魔力の壁よ! プライベニ・オウベクス! っと……ふぅ、なんとか完成したわ」

「どれどれ……まぁちょっと柔らかくて、まだまだ完全とは言えないでしょうけど、上出来だわ」


 フィリーナが大きく叫んだ次の瞬間、広がって俺達を覆うようになっていた可視化された魔力が固定化。

 これまでゆらゆらとたゆたう状態だったのが、固体のようになって閉じた。

 ロジーナがその固定化した結界に触っているけど、指先が少し沈み込むように見えるので、確かに柔らかそうだ……俺も触ってみよう。


「それはどうも……さすがに、リク達の結界とまではいかないわよ、はぁ……」

「ははは……でも確かにあの時の結界だね、さすがフィリーナ」

「リクに褒められるのは嬉しいような、悔しいような……」


 センテに戻った時にあった、隔離結界の穴を埋めるための結界と同じ感触っぽいね。

 感心して言った俺の言葉には、フィリーナは苦笑いだったけど。

 ドラゴンの魔法、もとい原始の魔法ではなくエルフや人間の使える範囲での魔法で、ここまで結界を再現できたんだから、十分凄いと思うんだけどなぁ。


「それでまぁ、今見た通り結界というのは魔力を練って重ねて、固定化した物なのよ。わかった?」

「な、なんとなく……? 説明とかがないから、それがどういうことなのかわからないけど」


 プニプニと、フィリーナの作った結界を触りながらそういうロジーナに、少しだけ首を傾げる。

 魔力が広がって、それがそのまま結界になったというのはまぁ、可視化された魔力のおかげでなんとなくわかるけど……だからって、完全ではないのにある程度魂の修復を速めれば使えるようになるだろう、というのはわからない。

 ……というかロジーナ、フィリーナの作った結界の感触が気に入ったのだろうか? 確かめるだけでなくずっと触っているけど……静かにロジーナを愛でるだけのレッタさんが、少し羨ましそうにしている。

 レッタさんはレッタさんで、自分に興味を持って欲しいとか考えてそうだ。


「はぁ……面倒だから、ここから先はあなたが説明してあげて。私はここまで話過ぎて疲れたわ」

「私も、自分でやっていて必ずしもリクに伝わるように話せるかわからないのだけど……」

「間違っていたり、不足しているようだったら私が言うの!」

「それならまぁ、助かるわ」


 溜め息を吐いたロジーナが、説明をフィリーナにバトンタッチ。

 ユノもアピールしているけど、これはロジーナへの対抗心も混ざっていそうだ……ロジーナだけじゃなく、自分もちゃんと理解しているとかそんな感じで。

 ともかく、俺がわかるように話してくれるならそれでいいかなとは思う。


「レッタ、喉が渇いたから何か飲む物を……」

「はい、畏まりました! と言いたいところなのですが……このままだと外に出られません」

「そう言えばそうね」


 ロジーナは結界をずっとプニプニとしたままその場に座り、レッタさんに飲み物を要求するけど……確かに、ここまでロジーナがよく話してくれたから喉が渇くのはわかるし、俺も少し喉が乾いている。

 でも、レッタさんの言うように、フィリーナの作った結界は完全に俺達を包み込んでいるから飲み物を取りに行く事もできない。

 結界は目にはっきりと見えるわけではないけど、外の景色が歪んで見えるため境目というかそこに結界があるんだなというのはわかる。

 人を包む時、俺やエルサだと空気穴を開けたり形を自由に変えたりもするけど……フィリーナはとりあえずロジーナに言われた通りただドーム状の結界で俺達を覆っただけのようだ。


「維持の方はそこまで魔力を使わないし、しばらくこのままにもできるけど……解除した方がいいかしら? たださすがに、もう一度やれと言われてもクォンツァイタと私の魔力が限界よ」

「リクに話すから、このままの方がいいでしょうね……うん」


 解除して外に出られるようにと提案するフィリーナに、首を振って拒否するロジーナは、結界の感触を両手で確かめるようにしながら頷いた。

 やっぱり、プニプニの感触が気に入ったっぽいね。

 なんというか、癖になるような感触だからわからなくもないけど……俺がモフモフ好きみたいなものだろうか――。




なんとなく、人それぞれに癖になるようなずっと触っていたいような感触ってあったりなかったり……?


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

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