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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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落下中の人を蹴るのは危険なのでやめましょう



 ――高さ約十メートルから飛び降りる。

 日本にいた時なら考えられない事だけど、今は少し身が縮む思いをするくらいでなんともない。

 アマリーラさん達も、もう少し低かったとは思うけどミタウルスに向かって飛び降りていたしね。

 まぁあちらは、落ちる勢いのままミタウルスに斬りかかる事で、着地の衝撃を和らげたようでもあるけど。


 ゴブリン相手にそれは……人間よりも小柄な魔物だから、ちょっと難しそうだ。

 数は大体五十前後でワラワラといるんだけどね……。


「何度か経験はあるけど、やっぱり空から落ちる時の姿勢の制御って結構難しいよね……」

「でも楽しいの!」


 喜んでいる様子のユノはともかく、一応足から飛び降りたけどほとんど自由落下の状態で、頭が下にならないようにするのは難しい。

 そんな事を言っている間にも、グングンと地上が迫って来て……。


「このまま、ゴブリンの集団の端に着地後、すぐに戦闘開始……って、えぇぇぇぇ!?」

「ちょっとあっちから囲まれつつ戦って来てちょうだい。そっちの方が色々とわかりやすいから、ねっ!!」


 目指す落下地点、ゴブリンの集団の北端……モニカさん達が戦うオークのいる方とは逆の場所。

 そこを目指して着地に備えようとした瞬間、空中でロジーナに蹴られた。

 空を飛べるわけでもなく、ただ落下している俺はその蹴られた勢いで目標地点を見失い、そのままゴブリンの集団中心部付近へ……。


「ロジーナ! なんて事を……って、文句を言っている場合じゃないっ!!」


 なんとか蹴られた方、ロジーナへ顔を向けたけど、あちらは素知らぬ顔で足から真っ直ぐ……なぜか腕を組んだ格好で落ちていくのが見えただけだった。

 何か言いたいけど、文句や抗議をしている余裕はなく、そのまま背中からゴブリンの集団へ突っ込む俺。

 何体か、ゴブリンを巻き込んだんだろう……背中に柔らかい何かに当たる衝撃と、直後に来る地面の硬い感触。


「っ! くはっ!」


 さすがに、防御姿勢すら取れず背中からだったので、一瞬息が詰まってしまう。

 しかしそんな俺に息を整えるような余裕はないようで、日を遮るように地面に転がった俺へと差す影……。


「GIGI! GIGI!」

「GIIIGIGI!!」

「っとぉ! 危ないなぁ!」


 周囲を囲むゴブリン達が、地面に背中から激突した俺に対して、それぞれ手に持った武器を振り下ろすところだった。

 ほんの少しだけ痛む背中に力を入れて、慌てて起き上がるついでにゴブリンの頭上へ飛び上がって回避後、一体のゴブリンを踏みつけつつ着地。

 はぁ……多分叩かれるくらいで多少痛いかも位だろうけど、心臓に悪いなもう……。


「んっ! とぁ、ほあ! ちょっとロジーナ、降りてる途中で蹴り飛ばすなんて危ないじゃないか!」


 俺に向かって群がってくるゴブリン達、それぞれの武器などを振りかざしたりしているけど、そのゴブリン達の頭上をジャンプで飛び越えて……時々踏んで足場にさせてもらいつつ、ロジーナの降りた場所へ向かう。

 さっき言えなかった文句を言うためだけど、ロジーナもユノも無事に着地できたらしく、特に地面が抉れていたり、体のどこかをぶつけたり、服が汚れたりしているなんて事はなかった。

 俺なんて、背中を強打して地面にめり込みかけたし、多分服が結構汚れてるだろうなぁ……。


 ヒルダさんや王城の人達が洗濯をしてくれる……俺にはさせてくれないんだけど、汚れが大きいと大変なんだぞ、と日本にいる時一人で生活していた時期を思い出して内心ちょっとだけ憤慨。

 いや、俺相手だからやった事だし、本気で危ない目に遭わせようってわけじゃないだろうから、怒っているって程でもないんだけどね。


「何戻って来てるのよリク! ゴブリンに囲まれるようにわざと着地点をずらしてあげたのに、意味ないじゃない!」

「意味ないって、説明してくれないと何がしたいのかわからないじゃないか! 驚いたんだからな! って、ちょっと待ってて!」

「GIGYA!?」

「あれで驚いたって言うくらいで済むのって、リクだけだと思うの……結局倒す予定だけど、ちょっとだけゴブリンにも同情するの」


 言い返すロジーナに詰め寄りながらも、後ろからゴブリンが数体襲い掛かって来るのを、左手の鞘で殴り飛ばす。

 ユノが何か呟いているようだけど、そこは気にしない。

 適当に殴り飛ばしたゴブリン達はまぁ……ちょっと邪魔だったからだし、剣で斬るのも鞘で殴り飛ばすのもあまり変わらないよね。

 そう考える俺は、こういう状況に慣れたなぁと感じるけど。


 油断していると見られて、エアラハールさんに怒られるかもしれないけど、既にエルサで移動していてこちらはほとんど見えていないだろうから、多分大丈夫だ。

 鞘を使ったにわかの二刀流の件があるけど、これ以上説教をされる材料は増やしたくないからね。


「はぁ……! とにかく、ゴブリンの集団に飛び込んで! それから、私やユノが近くにいる事は気にせず……いえ、リクは少しくらい気にした方がいいし、訓練のうちに入るかもしれないけど……」

「そりゃ、元々ゴブリンには突っ込もうと考えていたけど、だからってわざわざ蹴り飛ばさなくてもいいじゃないか……まったく……」

「技術だとかなんだとか、私に協力を頼んだのはリクでしょ? いいから、細かい事は気にしない!」


 空から降りている途中に、蹴られて着地地点をずらされただけでなく、ゴブリンの集団の中央近くに落とされたのは細かい事かなぁ?


「リクが頼んだのはロジーナだけじゃないの。私にもなの!」

「話がややこしくなるから今は黙っていなさい、ユノ。――助言くらいはできるって言ったでしょ? あれの一環だと思いなさい」

「助言って……何も言っていないじゃないか、はぁ……まぁいいや。とりあえずゴブリンを倒さなきゃいけないし……」


 助言っていうのは、特に説明もなく人を蹴り飛ばす事じゃないと思うんだけど。

 でも今はロジーナを問い質している場合じゃない……俺達が落ちて来た事や、足場にした事などで驚いて集団全体としては動きが止まっていたのが、改めて動き始めたようだから。

 これまで全体の動きが鈍く、俺達に殺到しなかったのはもしかするとレッタさんの魔力誘導の影響で、少し鈍かったのもあったりするのかな。


 ともかくゴブリン達は俺やロジーナ、ユノに向かって来ているし、包囲しようとする動きもあるような気がする。

 これがエアラハールさんの言っていた、ゴブリンの集団行動ってところかな? 多分、上位個体みたいなのが動かしているのかもね。


「とにかくリクは、ただゴブリンに囲まれながら戦うだけでいいわ。あと一応、魔力を意識しておきなさい!」

「魔力を……それはどういう……って、あぁもう! 帰ったら詳しく聞くからなー!」

「まぁ、リク次第では私から言わなくてもある程度はわかるかもしれないけど、とにかく頑張りなさい」

「頑張るのー!」


 気楽に応援するユノの声を背中に受けつつ、飛んできた火の矢……というか魔法を剣で打ち払いつつ、ゴブリンの集団へと向かう――。




とにもかくにも、緊張感はなくなってもゴブリンとの戦いが開始されるようです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


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