エルサと近況確認
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俺が聞いた評価が下がるというのは、冒険者ギルドからの評価だけでなく、俺からの評価があるとかなんとか……別に俺、冒険者さん達を評価なんてしていないんだけどなぁ。
それと、他の冒険者さん達に色々言われるとかもあるという事も聞いた。
なんにせよ、お喋りに夢中になったりせず、ちゃんと暗くなる前に森から出る事を意識してくれて、無事に戻って来るのなら、いいのかな。
「うん、よし。ちゃんと乾いたね。珍しく、今日は乾かすまでに寝なかったねエルサ?」
森の探索を終え、獅子亭で夕食をいただいた後センテに戻り、エルサとお風呂に入ってからモフモフ……というよりエルサの毛を乾かす。
魔法が使えないので、当然ドライヤー魔法も使えなくなっているんだけど、最近はエルサが自分でそよ風を魔法で吹かせてくれて、それで乾かしている。
風を当てながら毛を乾かす気持ち良さが、癖になっているようだ。
ただ、ドライヤーを直接見た事がないせいなのか、温風を出すというイメージが難しいらしくほんのり暖かいくらいで風力も弱めだけど。
それでも、今日は何故か途中でコテンと横になって寝入ったりはしなかったのを、少しだけ不思議に思った。
当然ながら、今はエルサが魔法を使っているので寝入ってしまうと風がなくなるんだけど、その場合はしばらく俺が毛を梳かしながら乾くのを待つ事になるんだけど。
……寝入っているエルサには悪いけど、モフモフを堪能できる時間として結構気に入っていたりする。
「ベ、別に最近リクとこうしてなかったから、なんて思っていないのだわ」
「いやそうは言っていないけど……でも成る程ね。ははは、エルサもこういう時間は大事に思ってくれているんだ?」
プイっと顔を背けながら言うエルサに苦笑。
相変わらずのツンデレさんみたいな言い方だけど、否定しつつも本心らしき事を言葉として言ってくれるだけ、以前よりは素直になってくれているのかもしれない。
俺が奪われていた意識を取り戻した直後よりは、素直じゃなくなってしまっているけど……それでも、あの時モニカさんに言われた事が関係しているのか、以前よりはマシではある。
モニカさんがエルサに行った事に関しては、後でモニカさんに聞いたのと、意識を奪われている時にもなんとなくは聞こえていた。
「う、うるさいのだわ! そんな事は一切、これっぽっちもないのだわ! リクは私の魔力貯蔵人なのだわ」
「貯蔵人って……照れたからって、人をタンク扱いは酷いなぁ」
貯蔵人と書いて、タンクと読む……みたいな?
確かに今もエルサに魔力が流れているのは間違いないけど、それでタンク呼ばわりはちょっと酷いなぁ。
まぁ魔力を使うあてもないし、そもそも魔法が使えない今はほとんど貯蔵するだけとも言えるから、気にする程じゃないんだけど。
照れているからだろうし、これ以上つついたらもっと酷くなるかもしれないから、ここまでにしておこう。
「それで、そっちは今日どうだったんだ?」
とりあえず話を強引に変えるため、解氷作業の手伝いをしているエルサの方がどうだったのかを聞く。
「アイシクルアイネウムみたいなのは、今日は出て来なかったのだわ。氷を解かすのは順調と聞いたのだわ」
「そうかぁ。アイシクルアイネウム自体も発生数がかなり少なくなっているみたいだから、かなり安全になったと言えるのかな」
凍った大地の魔力を蓄えて発生するアイシクルアイネウムは、解氷作業が進めば発生数が少なくなるのは当然。
さらに、一度発生してしまえばその場所での魔力はもう使われて霧散するので、周辺も含めて発生する事はなくなる。
森の探索に協力してくれているワイバーンや、ヘルサルとセンテの輸送担当ワイバーンもいるため、哨戒する数も減っているんだけど、アイシクルアイネウムの発生が減っているからちょうど良かったみたいだね。
「だわ。森の方の決着がつく頃には、もっと進んでいるのだわ」
「だろうね。センテの西側はヘルサル待ちだけど、他は大分外側まで融かせているみたいだから……」
もうそろそろ、完全にセンテが氷に囲まれている状態からは脱出できそうだね。
エルサが言うように、森の魔物掃討が終わる頃には東側の一部が凍っていない大地と繋がるだろう。
それに準じて、街道整備の方もまだ氷が融けてセンテの近くだけだけど、ほぼ同時に進めているみたいだし……氷が融けてしまえば、寒くて動きなどが制限される場所も減るからね。
そろそろ、終わりが見えてきそうではある。
「あと数日ってところかな。それじゃ、明日も頑張るために早く寝ようか」
「だわ~」
完全に元に戻るにはまだまだ、月単位や年単位で時間が必要だとは思うけど、氷で閉ざされた状況はもう数日もあれば改善されるだろう。
ともかく、明日以降も協力するために疲れを残さないよう、エルサのモフモフを堪能しつつ就寝する事にした。
うん、やっぱりエルサのモフモフは別格で、安らぎを与えてくれるなぁ――。
――それから、さらに二日程かけて森の魔物を掃討する冒険者さん達と、それに協力する俺達。
目に見えて魔物と遭遇する回数や、遭遇した魔物の数も減った。
それを見計らう、というか森で魔物と戦う時の注意点なんかをこの数日で、ヴェンツェルさんを通し、または冒険者さんに同行した兵士さんを通じて、王軍に伝えてもらう。
最後に、また二日程かけてヘルサルにいる王軍と冒険者が総出で、森の魔物狩り。
見落としがないよう、ヴェンツェルさんを含む隊長格の一部は空からワイバーンに乗り、森を進む人達への指示を出す。
そうして、俺がレムレースと戦った日を合わせて計七日の一週間で、森から魔物の姿が消えた。
一応エルサに頼んで探査魔法、カイツさんとフィリーナに木々から情報を探ってもらって、完全にいなくなった事を確認。
これで王軍の全てと冒険者も解氷作業へと集中できるようになった。
予想通り、その間にセンテ東は凍っていない大地と繋がり、ひたすら氷を見ていた人達が歓喜の雄叫びを上げていたらしい。
俺は見ていないけど、エルサが「うるさかったのだわ」と言っていたが、そのエルサも嬉しそうだったから、達成感みたいなのもあったんだと思う。
それからはヴェンツェルさんが急がせたのもあって、センテ、ヘルサルにいる王軍や侯爵軍、冒険者さん達が各場所に割り振られて協力し、解氷作業が驚くような速度で進む。
解氷作業に集中して三日で、ヘルサルとセンテが繋がり、ワイバーンを使わなくても人や物の行き来ができるようになった。
まだまだ凍っている部分はあるけど、とりあえず流通ができるようになったのは大きい。
センテの東側も、各村や色々起こる前に俺が結界を張った農地などとも繋がったみたいだし。
とはいえ、センテを囲む程の魔物達がいたわけで、さすがに全ての村に被害がないという事はないようだった。
今は、シュットラウルさんが各村と連絡を取り合い、被害状況などの確認をしているらしいけど……これまでも大変だったのに、これからも大変そうだ。
魔物の脅威、人の行き来を阻害する氷がなくなっても、まだまだ大変なようです。
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