表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1585/1950

工夫されていく戦い



「驚いたけど、当たらない、よ! っと!」


 水だから、当たっても濡れるだけ……なんて事は勢いから絶対考えられない。

 何せ、途中に残っていた木に当たっても止まる事なく、貫通して俺に迫って来ていたから。

 多分あれ、通常の人が当たったら骨が折れるとかじゃ済まないじゃないかな?

 ともかくそれらを、剣を振り、鞘を振って弾きつつ、体をずらして避ける。


 無数の、というわけではなく隙間があったから、避けるのはそこまで難しくない。

 そう思っていたんだけど……。


「まさかの追尾性能!?」


 避けたと思った水は、俺を通り過ぎてすぐ弧を描いて再び俺に向かう。

 どうやら、狙う先である俺に当たるか、斬るなり弾くなりして霧散させなければ、延々と俺に付いて来るようだ。

 実際、避けて余裕があるうちに横に飛んで距離を取ったけど、それでも俺に向かって来たから。


「この! くっ! いっつぅ!!」


 剣魔空斬で斬り落とし、鞘で弾くはこれまでと一緒。

 ただ勢いというか速度が早くて対処が遅れたため、なんとか直撃を避けるため一つは横から蹴って霧散させる。

 魔法とはいえ水だから、一度形を崩せば抗力は失う。

 ただ、かなり圧縮されていたのか硬い鉄を蹴ったような感触で、俺自身の力も相俟って蹴った足にかなりの痛みが走った。


 怪我をする程じゃないし、歩けなくなるとかじゃないけど……痛みは動きを鈍化させる。

 水の魔法自体は全て対処し終わったし、当たったらもっと痛かっただろうからそれはいいんだけど……。


「ふぉ!? くっ……!!」


 追尾する水の魔法の対処に手間取ったのもあってか、レムレースの方で別の魔法が準備完了していたらしい。

 痛みに顔をしかめる俺に、一息つく間もなく別の魔法が襲い掛かった。

 空から落ちて来る無数の炎の矢、それと同時に横から迫る空気の歪みが二段、風の刃だね。

 服や薄皮を焼かれつつ、急所などへの直撃だけは避けて炎の矢を対処しながら、ほぼ同時に二段で上下に俺を斬り裂こうと狙って来る風の刃は、鞘を振り下ろして叩き割る。


 空気の塊が割れ、ガラスが割れるような耳障りな音を立ててなくなる風の刃。

 その音に気をとられ倒れに向かって、今度は左右から氷の槍が二つずつ迫って来ていた。


「くっそ……ってうぉ!?」


 体勢が崩れているのを、なんとか無理矢理地面を蹴って氷の槍を避けようとした瞬間、足下の土が動いた。

 嫌動いたというより、急に柔らかくなったという感じか。

 おそらく土の魔法だろう……塊を飛ばすとかではなく、単純に土を柔らかくして踏ん張りを利かなくしたんだと思われる。

 不意に足を取られてしまい、バランスを崩す俺。


 でも、このまま転んでしまえば氷の槍は避けられそう……なんて思うのが甘いと、すぐに思い知らされる。

 俺が倒れこもうとした地面からは、土が盛り上がり一瞬で無数の土の槍ができあがった。

 落とし穴とかで、よく刺や針などが無数に設置されていて、そこに落ちたら突き刺さるとかあれに似ている感じだ。


「ぐっ……うぉぉぉ!!」


 叫び、土の槍に倒れ込もうとしている体を無理矢理捻る。

 さらに、剣の腹で地面を叩いて反動を利用し、強制的に土の槍から体を離す。

 勢い余って、ゴロゴロと地面を転がる俺……とはいえ、数メートルも転がらないうちに残っていた木の根や切り株にぶつかって止まってくれた。


「はぁ、ふぅ……つぅ……」


 無理矢理体を捻ったからか、横腹の辺りに痛みを感じる。

 とりあえず、今の動きの中でも手に持っている剣や鞘を落とさなかった、自分を褒めたい。

 転がっている時、体のあちこちに剣が当たって痛かったけど。

 まぁ、突き刺さったり切れたりしないだけ良かったと思う。


「KIKI……」

「このままじゃ、やられっぱなしになるね。どうすればいいかはわからないけど、とにかくこちらからも反撃しないと……」


 俺と戦う中で、魔法の使い方にも変化が起こっているレムレース。

 こちらをあざ嗤うような……もしくは、さっさとやられろとでも言っているような音を発しているレムレースを睨みながら、体勢を整える。

 さすがのレムレースでも、延々と強力な魔法を連続して放つの難しいのか、とりあえずさらに追撃の魔法はないようだ。

 こうしている間にも、次弾の準備をしているんだろうけどね。


 俺の動きとかを学んだのかはわからないけど、確実に仕留めようと魔法を放ってくるのを見ていれば、このまま受けに回ってちゃ危険だ。

 大ダメージを与えられなくても、再生には少しだけ時間がかかるし、俺自身の猶予にもなる。

 魔力が吸収されて、再生と復活を繰り返すほとんど無限の機構を備えていると考えると、闇雲に攻撃しても無駄だし、どう対処するべきか見えて来ないけど。

 それでも、やられっぱなしだといずれ捉えられる気がするため、こちらからも反撃しなければ。


「ふっ! はぁ!」

「KIKIKIKI!!」


 レムレースが次の魔法を準備している間に、剣魔空斬を飛ばして大きく迂回するように移動。

 狙い違わず、剣魔空斬はレムレースを斬り裂いたけど、向こうも俺を狙っていたんだろう、地面から炎を纏った土の矢が無数に射出。

 だけどその時には既に移動しているため、俺には何も被害はない。

 良かった……これまでみたいに、正面から斬り込もうとしていたら避けられなかったね。


 何度も俺が剣魔空斬で魔法を斬り裂き、レムレース本体を斬っていたからの魔法だろう。

 さらに、今度は氷の塊が無数に俺へと追尾するように、レムレースの正面ではなく左右から射出されていた。

 斬り裂かれる直前に発動したんだろう。

 正面から突っ切ろうとする事の多かった俺に対し、レムレースの変化した戦い方だ……こちらも、さっきまでと同じように真っ直ぐ行っていたら、レムレースに攻撃を加える時に後ろから着弾していたと思われる。


「本当に……厄介だなぁ! っと!」


 氷の礫を避け、斬り払い、叩き落しつつ、さらに移動。

 レムレースが俺を簡単に補足しないよう、再生している間も動き続ける。

 攻撃の手数も範囲も、レムレースの方が勝っているのだからどっしり構えて戦う、という戦法はもう使えない。


「はぁ! つっ! このっ!」


 レムレースが再生し、それと同時に放たれる魔法の対処をし、剣魔空斬を飛ばして攻撃を加える。

 俺の反撃で斬り裂かれたレムレースが、再び再生し……という繰り返し。

 もうどれくらい戦っているだろう……レムレースは相変わらずの再生速度、ヒュドラーみたいに消耗するごとに再生が遅くなるなんて事はないみたいだ。

 ただし、魔法を使い続けているうえで攻撃を与えているので、体は少しだけ小さく、腕や足の本数も減っては来ている。


 とはいえそれで安心はできない……またあの大きく不快な音を発せられれば、俺の魔力は吸収されて、レムレースは万全な状態を取り戻そうとするだろう。

 耳を塞いでいても貫通する不快な音は、まともな攻撃すら許してくれないし。

 なんとか攻撃できたとしても、両手が使えない状態ではまともにダメージを与えたり、有効な連続攻撃というのも難しい。

 止める事ができるか、というのもまだ試していないのでわからないから不安だ――。




段々と陸の方が追い詰められつつあるのかもしれません。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

また、ブックマークも是非お願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ