表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1547/1951

マルクスさん達も把握していた



「ヴェンツェル様は、兵士を鍛えるためとしていますが……このままいたずらに遅らせるのもまずいですね」

「そうだな。物資輸送に関してはリク殿のおかげでワイバーンが活躍してくれているが、やはり色々滞ってしまっている。東側は順調に進むようになっているから、村々との行き来が回復するのは近いだろうが……まぁ、その前に街道の整備などもあって、こちらは頭が痛いのだがな」

「ははは……」


 本当に痛みがあるのかはわからないけど、頭を押さえているシュットラウルさんには苦笑でしか答えられない。

 現状、凍らせてセンテを孤立させているのは俺がやった事だからね。

 ちなみに、センテが孤立した事で交流というか人や物が行き交っていたはずの村は、ヘルサルから大きく迂回して援助しているらしい。

 大量の魔物が近くを通ったりと、怯える村の人達はかなり多かったらしいけど、被害らしい被害はなかったとか。

 せいぜいが、通り道になった畑の一部が魔物に踏みつぶされていたくらいか……それでも、心を込めて作物を作っていた人達にとっては大きな被害と言えるかもしれないけど、人的な被害がほぼないのは安心していい事だろう。


 人が無事なら、また作るという選択ができるんだから。

 ほぼというのは、一部の村で勇敢どころか無茶をした人が幾人かいたらしく、魔物に立ち向かおうとして飲み込まれたりもしたらしい。

 とはいえ、ワイバーンで運んだ魔物もいるとはいえ、センテを取り囲む程の大量の魔物やヒュドラーなど強力な魔物が、一切村などに目もくれずセンテに来たというのは、それだけ統率が取れていたという事でもある。


 そもそもが核から復元する際に、ある程度簡単な命令に従うようにはされていたみたいだけど、それを差し引いてもレッタさんの魔力誘導、という能力による先導は凄いと言わざるを得ない。

 レッタさんが参加していなかった、魔物による王城襲撃は、王都内でも結構な被害を出したからね。

 まぁそれはともかく、今は西側のヘルサル方面の解氷作業に関してだ


「訓練、という事でしたけどできるだけ早く森の魔物を一掃して、解氷作業に当たる人を増やした方がいいかなって思うんです」

「そうだな。ちょうど、私もマルクス殿もその事を話していた」

「そうなんですか?」

「はい。ヴェンツェル様の言うような、兵士たちの訓練というのもこれから先起こり得る事を考えれば、無駄ではないとは思うのですが……これ以上作業が遅れてしまうと、損失が無視できない程になってしまいます。国内随一の街であるヘルサルと、王国東の作物を集積する役目を持つセンテは、繋がっていて初めて機能しますから」


 シュットラウルさんとマルクスさんも、西側の解氷作業が遅れている事を気にして、話し合っていたのか。

 そりゃそうか、二人は当然ながらセンテの全体の事が報告されているから、現状は把握しているだろうし、俺なんかがちょっと見て考えただけの事くらい、わかっているよね。


「それでなんだが、ヴェンツェル殿にはそろそろ訓練を引き上げてもらおうと考えている。だが、そのための説得材料がな……」

「提案などを持ち掛ける事はできますが、ヴェンツェル様は王軍での最高権限を持っていますし、ヘルサルで事に当たっている兵士はヴェンツェル様指揮下の軍。働きかける事はできても、命令はできません」

「成る程……」


 命令系統が違うとかそれに近いか。

 それに、マルクスさんはヴェンツェルさんの部下だし、あちらの王軍はヴェンツェルさんの指揮下だから、まずヴェンツェルさんを説得しなければいけない。


「まぁ、作業が遅れる事での損失などを示せば、ヴェンツェル殿も納得はしてくれるだろうがな」


 シュットラウルさんの言う通り、ヴェンツェルさんだっていたずらに復興を遅らせたいわけでもないんだから、嫌がったりはしないと思う。


「ただあのヴェンツェル様ですから……訓練が満足できる程できないとなれば、今後の王軍が心配で」

「心配、ですか?」

「王都に戻ってから、となるとは思いますが……厳しい訓練を課せられるのではないかと。今回の事で、我々もそうですが、兵達の訓練不足も実感されたでしょうから」

「だから、納得して、もっと訓練をとならないような説得材料がないか、とマルクスと話していたのだよ」

「成る程、そういう事ですか」


 まぁ、ヴェンツェルさんって訓練好きそうだからなぁ。

 情報部隊のトップで、副官でもあるハーロルトさんに書類仕事をしろと、訓練場から連れていかれるくらいだし……。

 見た目から、確かに体を動かすのが好きなのは間違いないとはわかるんだけど……筋肉好きだし。

 そんな人が、部下達の訓練不足を感じたら、かなり厳しい訓練を課そうとするのは想像に難くない。


「でだ、どうせなら冒険者を使うのはどうかと、リク殿が来る直前に話していたんだ」

「冒険者ですか?」

「うむ。冒険者はヘルサルにいた者も含めて、大半がセンテに来ている。ヘルサルの方にも残ってはいるし、他から来てもいるようだがな」

「そうですね。ヘルサルの方では、やっぱり冒険者の数が少ないようで……ヴェンツェルさん達、王軍んの第二陣が到着するまでは、森から街に来る魔物をなんとか迎撃できていた、というくらいみたいです」


 今は結構余裕ができているらしいけど、やっぱりセンテに出張って来ている冒険者さん達が多くて、ヘルサルの冒険者は現状数が少ない。

 センテの事や、近くの森の魔物の事などがあるけど、もちろんそれ以外では通常通りの依頼が発生しているようだし……多分向こうにはあまり余裕がないだろう。

 ヒュドラーが来襲した際に、逃げ出した冒険者は知らないけど、センテで戦ってくれた冒険者さん達は現状外に出られず、当然ヘルサルにも戻れないでいるし。


 まぁ暇を持て余しているという程ではなく、ほとんどが復興の手助けを自主的にだったり依頼だったりで、しているんだけどね。

 トレジウスさんに対して、マックスさんがやり方次第で俺の作るクランに口利きをするかも、と言ったのが他の冒険者さん達にも広まっているかららしい。


「そこでだ、センテにいて燻っているというと言い方は悪いかもしれんが、それらの冒険者をヘルサルに向かわせられないかとな。そして、森の魔物の一掃を依頼として出す。そうすれば、王軍も氷を融かす作業に集中できるはずだ」

「冒険者は少数精鋭であり、局地的な戦闘にも慣れています。森での戦いに慣れている者も多いので適任でしょう。ただ、センテの冒険者をヘルサルに移送する必要があるのですが……」

「あぁ、そこで俺に話が行くってのにつながるんですね。ワイバーンでヘルサルに運べばと」

「そういう事だ。そこまで話したところで、リク殿が来たのだな」


 センテにいる冒険者をヘルサルに運んで向こうの数を増やし、一気に森の魔物を一掃しようという考えってわけだね。

 現状解氷作業は、侯爵軍と王軍が担当していて冒険者さん達が活躍する場がないし、復興の手助けをしているとはいっても、外とのつながりがほぼなくなっている以外、センテ内の混乱は収まって来ているようだし、そろそろ冒険者さん達を移動させてもいいって判断したのかもしれない――。




魔物と局地的な戦闘は冒険者の方が得意です。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

また、ブックマークも是非お願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ