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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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1522/1949

アイシクルアイネウム捜索隊出動



「場所によっては、見渡す限り氷の地面が広がっていますので、そんな事はないと思いがちですが迷ってしまう可能性もあります。まずは目印になるセンテの周辺を飛んで捜索して下さい」


 空を飛んでいるから遠くまで見渡せるとはいえ、氷の大地はかなりの広範囲に広がっている。

 太陽の位置などにも気を付けていれば、そうそう迷う事はないだろうし大丈夫だとは思うけど、慣れるまではとりあえずセンテが見える範囲にする事を鉄則とした。

 あと、ワイバーンに二人で乗るのは、一人だと色々な判断が鈍る可能性があると考えてだ。

 兵士さん達の中で階級的な上下があるとしても、一人でワイバーンに乗るより二人で乗っていた方が精神衛生上よさそうだからな。


 慣れない空、しかも地上はひたすら氷ばかり。

 ワイバーンはこちらの言葉がわかっても、乗っている人はワイバーンの鳴き声の意味がはっきりとわからない、そんな時一人じゃなく話して相談できる相手がいるのは心強い。


「もしアイシクルアイネウムを発見したら、魔法で報せて下さい。すぐに俺が対処するために向かいます」


 バラバラに捜索するため、当然声が届くわけもなく……とはいえいちいち俺を探して伝えに移動するのは手間だ。

 だから、その手間を省くために魔法で報せる。

 その魔法は、単純に炎を弾丸のようにして放つ……確か、フレイムバレットという簡単な部類で、魔力も消費が少ない魔法だ。

 炎の魔法は解氷作業に必要なため、多くの兵士さんが使えるようになってもらっているから、これを簡易的な連絡手段とした。


 緊急の場合は、できればだけど空に向けるだけでなく辺りに撒き散らすように使ってもらうとか、他にも色々と使い方でちょっとだけ違う連絡方法となる。

 地面に向かって放ったりとか、前後左右に放ったりとか、それぞれ一応の意味を持たせた。

 と言っても、複雑だとわかりづらいから四種類くらいだけどね。

 俺からの合図としては、発見の報せを見てそちらに向かう返答代わりに、リーバーが炎を吐く事になっている。


 これは俺が魔法が使えないからで、そのためにリーバーに乗せてもらう必要があった。

 まぁリーバーが俺やモニカさん達以外で、よく知らない兵士さんを乗せたがらなかったからでもあるんだけど。

 絶対に嫌、という程ではないみたいなんだけど、リーバーとしては俺やモニカさん、ソフィー達など近しい人達を乗せるのが嬉しいみたいだ。


「とりあえずは以上ですね。多分、空は地上よりも多少は温かいと思いますけど、それでも寒い事は変わりありません。適宜休憩をする事、寒さ以外でも無理はしないよう注意してください」


 ワイバーンと兵士さん達への説明と確認を終えて、最後に無理をしないよう注意を付け加えて話を終える。

 空は一番冷気を発している凍った地面から離れているし、日の高い今なら直射日光で結構温かそうだけど、長時間は辛いだろうから。


「「「「はっ!」」」」


 全員が、とはいっても十人ではあるけど一糸乱れぬ動作で足を揃え、胸に手を当てる敬礼と声で応えてくれた……さすが、訓練された兵士さん達だ。

 ワイバーン達の方もリーバーを先頭に並び、一斉に翼を広げた……返事のつもりなんだろう。


 ちなみに今俺達がいる場所は、隔離結界を出てすぐで解氷作業のおかげで土の地面が露出しており、大分暖かくなっている。

 とはいえそれでもやっぱりまだ近くに氷の大地が広がっているため、寒くはあるんだけど……それでも、白い息が出るくらいには寒い。

 もう少し解氷作業が進めば、段々と普段のセンテ周辺に近い気温に戻るんだろうけど。


「各員、ワイバーンに騎乗!」

「「「はっ!」」」


 付いてきてもらった兵士さんの中で、一番階級の高いっぽい人が鋭い声で指示を出し、それぞれが別れてワイバーンに乗り込む。

 おっと、俺も遅れないようリーバーに乗っておかないとな。


「よろしく頼むよ、リーバー」

「ガァゥ」


 リーバーの背中に乗り、手を伸ばして首元をさすってやると、喜ぶような鳴き声を出しながら頷いてくれた。

 後でエルサに文句を言われそうだけど、あちらはあちらで解氷作業の手伝いをしているからね。

 それに、モニカさん達や作業をしている人達のそばにアイシクルアイネウムが発生した場合、ユノやロジーナがレッタさんにかかりきりだから、代わりに皆を守ってもらう役割もあったりする。


 アイシクルアイネウムは備えていれば、どうにもならないような相手じゃない……とは思うけど、やっぱりエルサがいてくれた方がいいだろうからね。

 現在魔法が使えない俺と違って、最低限結界を使って守る事も簡単だろうし。

 

「……頼りになる、とか言ってキューをあげつつおだてれば、エルサからの文句も減るかな?」

「ガァ?」

「ん、なんでもないよ」


 エルサではなく、リーバーを頼った事に対して何か言われた場合のご機嫌取りのための案を思いついたと、独り言を漏らすとリーバーが首を巡らせて俺を見た。

 首が長いから、ほぼ真後ろ見れるのか……ちょっと便利かもしれない。


「リク様、各員の準備が整いました!」

「あ、はい」


 そんな事をしている間に、全員がワイバーンに乗ったらしく空を飛ぶ準備が完了したと伝えられた。

 あくまで今回は、俺が指揮をする少数部隊みたいな扱いになっていて、飛び立つのも俺の合図が欲しいの事だ。

 ワイバーン達だけでなく、兵士さん達からも何やら期待する視線を感じる。

 兵士さん達にとっては、俺自身がどう考えているかに関わらず、英雄と呼ばれて活躍している人物に命令されるのは、名誉な事っぽい。


「それじゃ……飛翔! 各自、アイシクルアイネウムの捜索を開始っ!」

「「「「「はっ!!」」」」」

「ガァゥ!!」


 息を吸い込み、少し恰好を付けて片手を振り上げ、大きな声で指示を飛ばす。

 全員からの返事と共に、ワイバーン達が羽ばたいて空へと飛んで行く。

 リーバーも、他のワイバーンに負けじと空へ浮かび上がり、飛行を始めた……さすがはワイバーン達のリーダーだけあって、上昇速度や飛行速度はリーバーが一番早いね。


「おっとと……」

「ガァゥ?」

「ん、大丈夫」


 一気に上昇した影響で、ちょっとだけバランスを崩したので慌ててリーバーにしがみつく。

 ちょっと不格好だけど、心配するようなニュアンスで鳴くリーバーに大丈夫だと伝えておいた。

 しかしこれ、ただリーバーの背中に乗っているだけだから、ちょっとバランスが悪いというか不安定というか……いや、似たような意味だけど。

 エルサと違ってモフモフの毛を掴んだり、広い背中で柔らかい毛に受け止められて、とかじゃないから油断すると実は結構危なっかしく感じるね。


 大きくなったエルサは、人数や荷物が少なければ寝っ転がれるくらいだし、安定もしているから。

 でもワイバーンは、ひんやりとして滑らかな表皮というか鱗が全身を覆っているので、滑りやすいし掴む所もほとんどない。

 馬に乗った高さでも怖いのに、空を飛んでいる時の不安定さはさらに恐怖心を煽るだろうなと思った――。




落馬も危険ですが、落ワイバーンはもっと危険です。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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