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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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1509/1949

前皇帝と傀儡政権



 皇子だとか前皇帝だとかを考えていて、ふと思い浮かんだ。

 そういえば前皇帝は、以前も今もどうしているんだろう? 本当に黙認していたりしたんだろうか?

 話に聞く限りでは、息子に甘いと聞いていたけど暴挙を許すような人じゃない、とも聞いているんだけど。


「前皇帝は、魔物の研究とかそういった事をどう考えているんですか?」


 俺が聞く事じゃないかもしれないけど、気になったのでレッタさんに質問をする。


「私は会った事がないから、どういうお考えだったのかは知らないわ。でも、前皇帝はとても聡明なお方だと聞いているわね。まぁ、その皇帝からあのゴミクズが生まれたのだから、世界の歪さを感じざるを得ないけど。子供に甘すぎるのが唯一の欠点と言われていたわ。でも、知らないという事はないんじゃないかしら」


 クズ皇帝とは違い、前皇帝には敬意を払っているような口調になるレッタさん。

 会った事はなくても評判は良かったみたいだね。

 あと、世界の歪さはともかく、優秀な人の子供は必ずしも優秀になる、というわけではないって事だろう。


 一代で財を成した大きな会社が、息子に代替わりしてから落ちぶれる……なんて事もあったり。

 まぁ、逆にもっと優秀だったという事もあるので、絶対じゃないけど。


「国の全てを知っているべき、ではあっても本当に知っているかは別ですが……話を聞く限りでは、知らないわけはないでしょうねぇ」

「為政者としての責務、だったかしら。けど実際は、細かいところまで全て把握なんて仕切れない」

「そう、だろうね……」


 どれだけ優秀な人であっても、人には限界がある。

 王として、皇帝として自分が治める国のあらゆる事を知っておかなきゃいけないし、その責務がある……らしい。

 けど実際に、全てを知り得て記憶しておくなんて不可能だ。

 とはいえ、何かがあった時に知らなかったでは済まされないわけで……姉さんとか、女王様としての重責に耐えて凄いと思う。


 そりゃ、俺の部屋に来て多くの人からの視線がなくなったとたん、緩んでリラックスモードになったり、ヒルダさんが注意しないわけだよね。

 張り詰めてばかりじゃ、いつかプッツリと切れてしまってもおかしくない。

 そういう意味じゃ、俺の存在は少しでも姉さんの助けになっていると思えて、嬉しい。


「とことん甘い、だからと言って前皇帝が全てを黙認しているとは思えないわ……私が生まれる前だけど、若い頃は苛烈な人物だったとも聞いているし……」


 レッタさんによると、前皇帝は若い頃……その頃はまだ帝国になる前だったらしく、数十年以上前みたいだけど、小さかった自国と周辺の国々を併呑へいどんしていったとか。

 そこだけ聞くと、クズ皇帝とも似ていると思えるね。

 ただ、ある程度国が大きくなったからか、もしくは年齢を重ねたからかはわからないけど、現在では温厚になって国内の安定に努め、アテトリア王国を筆頭に周辺国とはできるだけ友好関係を築こうとしていたらしい。

 まぁ、前皇帝がどんな人物だったかはさておいて、その人がどうして甘いとしても息子であるクズ皇帝のやっている事に対して、黙っているのか……。


「話だけを聞いていると、前皇帝が何もしないというのは考えられないんですけど?」

「まぁそうよね。詳しくは私も知らない部分が多いけど……さっき言ったでしょ? 私は会った事がないって」

「……はい」

「私は、ロジーナ様のおかげで内部の深くまで……それこそ、カスの側近とまで言われるくらいに近付けたの。なのに、前皇帝と会った事がないのはおかしいと思わない?」

「あ……」


 言われて気付いたけど、クズ皇帝のすぐそば、側近ともなればその親である前皇帝とも会っていておかしくない。

 ただの国民が会いたい、と願っても簡単には会えないだろうけど……溺愛しているらしい息子の近くにいる女性、会っていない方がおかしいくらいかもしれない。


「……何故、会った事がないんですか?」


 可能性としては色々あるけど、一番考えられるのはその前皇帝が既にいないとか。

 クズ皇帝が親族に対してどう考えているのかわからないけど、邪魔になるのならと排除している事だってあるかもしれない。

 まぁ単なる予想だし、本当にそうなら色々な問題が出て立ち行かなくなってそうだけど。


「簡単な事よ、前皇帝は今隔離されているの。今というより、私がロジーナ様に助けられる前からね。ほんの少しでも怪しまれるわけにはいかなかったから、詳細はわかっていないけれど、前皇帝は隔離されて閉じ込められ、傀儡に成り下がった。まぁ、傀儡にできているなら、何故隔離しているのかまでは知らないわからないけど」

「隔離……」

「前皇帝には、影が用意されていたわ。その影が、本人の代わりにあらゆる事をこなしていたの。とはいえその影も、廃棄物以下に操られているのだけど……」


 影というのは、影武者の事だろう。

 そっくりさんとかで、もしもの時に身代わりになったり、騙したりするための人とかの事だと思う。

 ともかく、前皇帝が表に出る必要がある場合は、その影の人が代わりを務めて、しかもクズ皇帝の言いなりになっていると。


「そうして、着々と準備を進めて正当に皇位を継承したってわけね。今頃、ふんぞり返っているんじゃないかしら? 腹わたが煮えくり返る思いだけど……」


 憎々しく呟くレッタさん。

 前皇帝を監禁しておいて、影を操る事で傀儡にしたのか……。

 皇位継承もそれで表向きは、前皇帝が認めていなくても正当に成されているようにと。


「でも、そこまでしてどうして帝国内にはそのバカ息子を諫めるような人は、いなかったんですかぁ?それに、前皇帝が国内では評判のいい皇帝であるなら、ドラ息子に味方する人は少ないでしょう~?」


 尋ねるリネルトさんだけど、バカ息子にドラ息子……リネルトさんも、クズ皇帝にはいい印象はなく口が悪くなっている。

 獣人すら犠牲にしているらしいし、ロジーナから聞いた話を知っていれば、そうなるのも無理はないのかもね。


「まぁ、私はその場面を見たわけじゃないから、どういう動きがあったのかは知らないけど……さっき私は、あのゴミクズのつまらなくて無駄な野心に、ぶら下がっているだけの醜いゴミみたいな奴らがいるって言ったわよね?」

「そ、そこまでは言っていなかったような……? いや、言ってたかな?」


 ぶら下がっているとまで入っていたと思うけど、だけの醜いゴミみたいな奴ら、とまでは多分言っていなかったと思う。


「なんでもいいわ。とにかくその醜悪な権力欲と自分達の保身しか考えていないような奴らが、今一番に考えているのは……自分の命を守る事よ」

「命……それは、脅されているって事ですか?」


 どれだけ権力があろうと、お金を得られようと、それを享受するには自分が無事である事が絶対条件だ。

 お金も権力も、生きていてこそ意味がある。

 それに執着する人達が、自分の命を守るために従っているという事はつまり、何かしらの方法で脅されているって事なんじゃないかと考えられる、のかも――。



無理矢理周囲を従わせ、掌握しているのかもしれません。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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