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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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モフモフ好きの同志



「俺と同じって……じゃあ大丈夫じゃないか? エレノールさんは女性だし、俺だって最初は優しく撫でたくらいだから」

「絶対、優しいなんて事はなかったのだわ!!」


 確かに初めて会った時、ちょっとばかり正気を失ってエルサのモフモフを堪能させてもらったとは思うけど、危険な事は一切していないはずなのになぁ。

 もちろん、毛を引っ張ったり痛がりそうな事もしていない……そんな事をして、極上のモフモフが損なわれたら世界の損失だからね。


「リ、リク様……よ、よろしいのですか?」

「はい、構いませんよ」

「リクの裏切り者~だわ~!!」

「はぁ……はぁ……エ、エルサ様。エルサ様のモフモフ……!」


 ジタバタするエルサを余所に、エレノールさんに差し出す。

 目を血走らせているのは、ヤンさんの暴露によって涙目になっていたからか、それとも目の前にエルサがいるからか……まぁ後者だろうね。


「ん~、エルサ様の毛は本当に素晴らしいですね~。これは至上のモフモフ! さすがドラゴンです~!」


 エルサを抱き締めたエレノールさん、冷たいとか厳しい印象など見る影もなく、満面の笑みを越えた恍惚の笑みでエルサに顔を寄せ、頬擦りしたり……。

 撫でる手は高速で動いていて、目で追うのも厳しいくらいだ。

 この人デキる!


「だわっ! はなし……抜け出せないのだわ! なんなのだわ!?」


 頬擦りされ、高速撫で撫でをされる手から逃れようと抵抗するエルサだけど、エレノールさんからは逃れられないようだ。

 一度手中に収めたモフモフを絶対に逃がさないという、エレノールさんの執念のようなものがそうさせているのかもしれない……多分。


「ふぅ、これで少しは落ち着いて話ができますね」

「……一部、落ち着いていない気がしますが……?」


 エルサを差し出したのは俺だけど。


「いえ、これでいいんです。意識を逸らしたままでは、エレノールさんと話してもあまり意味がありませんから」


 そう言ってヤンさんは、センテに行ってから起こった事などをエレノールさんへ話し始めた。

 俺とフィネさんは、本当に話しができているのか疑問に思いながらも、黙ってお茶を啜ってしばらくのんびり……エルサの抵抗する声は聞かないふり。

 あとで、キューを上げてご機嫌を取ろうというのだけは、心の中で決めた。


「……そういうわけで、センテの周辺は魔物の脅威がなくなったという意味では安全です。ですが」

「だわ―! そこは触っちゃ……だわー!」

「あの凍っている大地ですね。あんな所、なんの備えもなく入り込んだら大変でしょう。おーよしよし……これが、夢見心地というのでしょうか。この感触、是非とも再現できるにしなければ……」

「実際、氷を溶かそうとしている兵士達も、苦労しているようでした。しばらくはまともに行き来出来ないでしょうから……」

「成る程。でしたら物資を集めるために冒険者を……。ん~この頬触り、素晴らしい以外に言葉が出ません。でへへ……」

「だ、だわ……離れる……のだわ……」


 等々、時折エルサの声が混じったり、モフモフを愛でるエレノールさんの緩んだ声が聞こえる以外は、ヤンさんと真面目に話を進めていた。

 ヤンさん、この状況でエルサを気にせず話せるのは凄いな……尊敬できるかはともかく。

 あとエレノールさん、エルサのモフモフを愛でているように、何か可愛い物などを持っている時の方が集中力が上がって、仕事の効率が上がるという特殊能力の持ち主らしい。

 俺だったら、絶対モフモフに集中して他の事なんてできそうにないけど……。


 ちなみに、モフモフ常備が最上級で、近くにモフモフがない状態が通常、モフモフが枯渇していたり近くにあるのに触れられない状況だと、なんとか仕事に集中する事に対して集中するという本末転倒ぶりを見せて、使い物にならないというのがヤンさん談。

 だから、エレノールさんの事を暴露してでもまとも……かどうかはともかく、話せるように仕向けたらしい。


「では、私はこれで。エルサ様、リク様、またいずれモッフモフさせて下さいませ」


 話が終わり、エルサを思う存分堪能したエレノールさんは、名残惜しそうにしながらも俺にエルサを渡して一礼。


「い、嫌なのだわ! もう近付きたくないのだわ!」

「はい、わかりました。同志ですからね。それと……」

「わかっております。研究に研究を重ねて、至高にして極上のモフモフを再現できるように……」

「「ふっふっふっふ……!」」


 エルサの叫びはスルーし、エレノールさんと笑い合う。

 ヤンさんとの話が終わった後少しだけ、エレノールさんと会話した時に意気投合……というより、モフモフを愛でる者同士気が合わないわけがない。

 その中で先程エレノールさん、いや同志エレノールが漏らしていた再現という言葉を拾い、ぬいぐるみでエルサのモフモフを作れないかという話をちょっとだけさせてもらった。

 あれがあれば、エルサを差し出さなくても存分にモフモフを愛でられるからというのを大義名分として、研究してもらう事になった。


 ちなみに、ヤンさんも巻き込んでもし必要な事があれば、惜しみなく援助する事も確約している。

 まぁ、同志エレノールは個人で、ぬいぐるみの材料はそれなりに値が張るため、大体は資金援助なんだけどね。


「ではエレノールさん、代官のクラウスさんが来られたらここにお通しして下さい」

「畏まりました。では」


 最後は、ヤンさんや俺達にもう一度礼をして颯爽と部屋を出て行く同志エレノール。

 背筋をピンと伸ばして堂々と歩く姿が似合いそうな人だけど、そんな見た目や雰囲気よりも、親しみを感じるのは同志になれたからだろう。


「……想定外でした。仕向けたのは私ですが、まさかリクさんと意気投合するとは」

「ははは……エレノールさんが部屋に入ってきた時は、そんなイメージもなかったので俺も予想外ですよ。でもヤンさん、繋ぎの方はよろしくお願いします」

「はぁ、わかりました。思わぬ仕事が増えましたが……まぁ、リクさんとの繋がりを保てるというのは、良い事なのでしょうね」


 繋ぎというのは、同志エレノールさんがモフモフぬいぐるみの研究をするうえでの、援助などが必要な何かがある時の連絡をという意味だ。

 まぁ他にも、進捗なんかも連絡される手筈になっている……ヤンさんと言うヘルサル冒険者ギルドのギルドマスターを使って。

 私的な事だけど、悪さをするわけではないのでヤンさんも頷いてくれた。

 本人が言っているように、俺との繋がりを保ったままにしたいとかの目論見もあるみたいだけど。


 ちなみに、俺宛ての連絡先は現状王都にある中央冒険者ギルドになる。

 クランを作れば、そこに直接連絡をくれるらしい。

 資金に関しては、俺が冒険者ギルドに預けているお金があるので、連絡を取り合って許可をした場合にそこから……という事だ。

 凄い速度で決まっていったので、同志エレノールは仕事のできる人なんだろう、趣味はともかくそこは見た目通りだね。


 これで、もういくらになっているか把握するのも面倒な、預けてあるお金の使い道がほんの少しはできたかな?

 多分一割も減らない気がするけど、残りはクランのための資金にでもしよう――。




現状リクの貯金は膨らむばかり。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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