表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1438/1950

戦力差を埋めるための魔物利用



「他国で大規模な地下施設なんて、そうそう作れる物じゃないわ。さっきも言ったけど、全てを把握していなくても十個も作れないんじゃないかしら? だから、もしあったとしてもあと一つくらいね。二つは……ないと断言できないけど、可能性は低いわ」


 ヘルサルに一つ、センテに二つ、それから……王都付近に一つ。

 ロジーナに聞いてみたけどルジナウムもそうらしい、クォンツァイタで集めつつ、地下施設で復元した魔物も……という事だとか。

 そして、その時にも実はレッタさんがいて、魔力誘導の特殊能力でルジナウムへと向かわせたとか。


「それってもしかして……私が見たあれは……?」


 ルジナウムで魔物が押し寄せて来る際、モニカさんが見たという魔物達の目が赤く光った現象。

 あれは、ロジーナにも確認したけどレッタさんが魔力誘導で指示をしたかららしい。

 本当に魔物の目が光るのではなく、魔力誘導を使った際の光が、遠く離れた所にいたモニカさんにはそう見えたんだろうとの事だ。

 ルジナウムでの魔物の挙動に関する謎が、こんな所で解けるとは……モニカさんは、ずっと不思議に思っていたからスッキリしたようだけど。


 ちなみに、ブハギムノングの鉱山内にあったのも、変則的だけど施設の一つに数えられていたとか。

 そういう意味では、無事な施設は二つあるのか。

 まぁ、ガラス管は全て破壊して赤いエクスブロジオンオーガも殲滅したし、研究資料なんかも全部取り上げてあるから、もう施設とは言えないけど。

 多分、坑夫さん達が採掘して原形もとどめていなさそうだし、無事と言えるのか微妙だけど。


 って事は……ツヴァイのいた所も合わせると、全部で七か所か。

 ロジーナの言う事を信じるのなら、十か所無いからあと一つか二つで、可能性としては一つか。

 とんでもない被害をもたらす可能性があるから、備えておかないといけないとは思うけど……ヒュドラーが切り札なら、それ以上の魔物はいないってことでもあって、少しだけ安心だね。


「しかし、帝国は何故そうまでして魔物の利用にこだわるのだ……?」

「それは簡単な事よ。単純に戦力の差を覆すためね」

「戦力差か……成る程な」


 帝国とアテトリア王国では、人口や国土での差が大きすぎる。

 何があるかわからないから絶対に、帝国がこちらに勝てないとは言わないけど、単純な数字上での話しだったら勝ち目がない。

 他国の事なのではっきりとはわからないまでも、人口や国土がアテトリア王国の半分以下しかないんだとか。


「国土を増やすのであれば、他国への侵略しかない……空白の土地なんてないのだから。けど、そんな事をしていたら……」

「周辺の国々が黙っていないか。もちろん、我が国もだが。それに、侵略であればそれを受ける国も当然抵抗する」


 ロジーナの言葉に納得した様子で返すシュットラウルさん。

 正面からやって勝てそうにないアテトリア王国に対抗するため、国土を増やそうとしても周辺国へと侵攻する必要がある。

 でも侵略された側が抵抗するのは当然の事で、そうなると帝国側も消耗する。

 国土が増えても戦力が消耗して、一時的にではあっても減ってしまうのなら本末転倒だ。


 それに、一つや二つの国をどうにかできたとしても、その他の国々が黙ってはいない……これに関しては、特にこれといった理由なくアテトリア王国が帝国に仕掛ける事ができないのと似ているね。

 つまりやり過ぎれば、帝国が周辺諸国に敵対視され、侵略戦争を仕掛けて消耗しているところを潰されかねないという事。

 それに、何度も侵略戦争を仕掛けるのには、時間もお金も必要になる。


 さらに国土が増えたとしても、人口を増やすのにはもっと時間がかかるわけで……しかもこちらは最初から人口も国土も上回っている。

 全部が上手くいったと仮定しても、王国に対抗できるようになるまでに、数年どころか数十年はかかりそうだ。

 アテトリア王国がなんらかの事情で弱体化しない限りは、ずっと悠長に構えているわけもなく……最低でも、こちらは広大な国土と人口で戦力を増やし続けられるから、実際には拮抗する事はない。


 それこそ、邪魔されずに帝国が王国以上の国土を手に入れ続けなければ。

 ただし、さっきから考えていると通りそれはあり得ないわけで……。


「だから真っ先に我が国か……そして魔物を利用すれば」

「魔物はいくら消費しても、国としての戦力は減らない。まぁ色々と問題はあるけど、魔物だけなら核さえあれば復元できるわけだからね。しかも、この国を取り込んでしまえば……」

「周辺国も手出しができなくなる、というわけか」


 シュットラウルさんとロジーナの話に、マルクスさんも難しい表情をしながら考えている。

 実質的な人間の戦力を大きく消耗する事なく、大国であるアテトリア王国を帝国の物とする事で、反発などはあっても周辺国はどうにもできなくなる。

 王国の戦力も取り込むわけだからね……それに、広大な国土も手に入る。

 魔物は核があれば復元ができるわけで、王国を手に入れさえすればその核も不足する事はない。


 敵対する国があったとしても、魔物を当てておけば勝手に消耗してくれるわけで……その間に、手に入れた広大な国土を使って盤石な国を築けばいい。

 ……クズにそれができるかどうかはともかくとして、計画としては理にかなっているのかもね。

 そうして、どの国も逆らえない最大の国ができ上がり、実質的に覇権を握る事ができるわけだ。

 覇道、と言っていた意味がわかったよ。


「まぁあくまで全てが上手くいけばの話。とはいえそのために、王国各地で魔物を使おうとしていたわけだけど……ことごとくリクに潰されちゃったからね」

「てへへ……」

「おどけても可愛くないのだわ」


 ロジーナに視線を向けられて、後頭部に手を当て舌を出してちょっと照れた風に反応して見たけど、エルサに一蹴された。

 言葉と、足じゃなくて尻尾で後頭部に当てた手を、ペシッと叩かれただけだけど。

 なんというか、ずっと真剣な話が続いていて頭がパンクしそうだったから、空気を和らげようとして見たんだけど……余計な事だったみたいだ。

 微妙に真面目な空気が続かないのって、もしかしなくても俺のせいかもしれない。


「あれは置いておいて……」

「俺もついにあれ扱い!?」

「……置いておいて。魔物の核も無限にあるわけじゃないし、人を増やすのとは比べるべくもなく早いけど、復元にも多少の時間はかかるわ」


 あれ呼ばわりされて、クズと一緒の扱いは心外とばかりに叫んだんだけど、ロジーナにはスルーされた。

 ちくせう。

 何はともあれ、魔物の復元には魔力が必要で、復元する魔物によって必要な魔力量も違う。

 レムレースは既にいたのをレッタさんが操っていただけだけど、ヒュドラーは復元するのに人間で数百人分くらいの魔力が必要だったとか。


 エルフも協力しているし、ツヴァイやクラウリアさんのような多くの魔力量を持つ人もいるため、必要な人数に関しては絶対じゃないけど、復元を急ぐなら何人もの人を犠牲にしなきゃいけないとか。

 戦力差を覆すためと人を減らさないために魔物の利用をしていながら、誰かを犠牲にするのは本末転倒だと思わなくもないけど……ヒュドラーの強さを考えたら、それくらいしてもおかしくないんだろう。

 確実に利用できれば、数百人どころか、数千人や数万人分の戦力になるからね――。




ヒュドラーは人としての戦力に換算すると、一体でもかなりの物のようです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

また、ブックマークも是非お願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ