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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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色んな状況が重なり合って稀に届く願いや想い



「どれだけの復讐心を持っても、どれだけ復讐を誓っても、自分一人の力ではどうにもできない。そして、自分が復讐するべき相手はのうのうと生きているだけでなく、さらなる苦痛を与えて来る。なんて考えていたのよ」


 その時のレッタさんの苦悩は、俺達が計り知る事はできないのかもしれないね。

 けど、どれだけ恨んでも、どれだけ苦しんでも、誰も助けてはくれない。


「まぁここからは、苦悩と苦痛から思考の飛躍も加わっているけど……とにかくレッタは、それなら世界が壊れてしまえばいいと思ったみたいね。自分が苦しみ、それを与えている相手は笑っている。こんな世界はおかしい……みたいな」

「私達は、推測するしかできんが……」


 レッタさんでなくても、近い状態になれば世界に対して絶望するかもしれない。

 聞いている限りでも、どうしてレッタさん一人がそんな目に……と思う部分があるくらいだ。

 まぁ復讐心に駆られて、一人で帝国に向かっていったからとかはあるけど。

 もしかしたら、何も力のない人であれば恨む心は持っていても、ただただ耐えて生きて行けたかもしれない……その場合は、村が襲われた時点で生き残れなかった可能性が高いか。


「そうして、そんな極限の状況に置かれた心からの、魂の叫びとでも言うのかしら? そういったものは、本当に時折だけど、神々に届く事があるのよ。レッタは特殊な能力があったから、それも一つの原因かもしれないけどね」


 世界を恨み、世界の破壊を望んだ事で、ロジーナ……ではなく破壊神に想いが届いた、という事だろうか。


「本当は、そういった絶望の願いや想いは、まずユノに届いて救いの手を差し伸べたり、希望を指し示したりするんだけど……その時ユノは、この世界にいなかったからね。暢気にもどこかに遊びに行っていたのよまったく」

「あー、あー、そういう事なの。話を聞いていて、どうしてロジーナに届いて私に届かなかったのか疑問だったの。でも納得なの」

「何が、『納得なの』よ! 本来あなたが処理するべき事を、私が対処したんじゃない!」

「えーと……どういう事?」

「つまり……あ、これは一応リクだけに話しておくの。えっとね……」


 ロジーナの話した内容に、何やら納得するユノ。

 だけどロジーナは、そんな暢気なユノに対して激昂したように叫んだ。

 ユノがいなかったから、代わりに対応した神様としてとかだろうか?

 とんかく、不思議顔の皆を余所に、ユノが俺にだけ聞こえるような声で話してくれた……多分、エルサも聞いているけど、地球が絡む話ってくらいだから問題ないだろう。


 ユノ曰く、レッタさんが酷い目に合って助けを……どころか、破滅を願っていた時のユノは、どうやらこの世界を離れて地球に来ていたらしい。

 そういえば、地球では人間になっていたから人間として生まれて、人間として年を取って寿命を迎えて……みたいな事を言っていたっけ。

 神様の権能、要は干渉力のほとんどを使って時間をあれこれしたうえで、俺を助けるために地球から移動させ、こちらの世界につれてきたわけだけど。

 レッタさんの思いが届く時には、まだ俺と出会う前……多分地球で人間として生まれたくらいの頃だったみたいだ。


 つまり、この世界から地球に移動していたユノにはレッタさんの思いは届かず、代わりにユノの裏の顔とも言える、破壊神のロジーナが受け取ったというわけだね。

 なんというか、この世界やら地球やら、神やら想いやら……タイミングって大事だと思わされる。


「というわけなの」

「あーまぁ……なんというか、これに関しては俺は何も言えないな……ロジーナが怒る理由もわかるけど、そのおかげで俺は今こうしているわけで」


 ユノが地球に来なければ、出会う事もなかったしこちらの世界に来る事もできなかっただろうからなぁ。

 不在だったため代わりに対応する事になったため、レッタさんとロジーナが関わるようになったのは、いい事なのか悪い事なのかわからないけど。


「と、とりあえず理由はわかりました。――俺からは何もフォローできないけど、それでレッタさんとは?」


 こちらを見ているシュットラウルさん達には、必要があれば話す事もあるかもしれないけど、とりあえず話を戻す。

 まずはレッタさんの話を、ロジーナから聞くのが先決だ。


「はぁ……! まぁいいわ……ユノのせいで煩わしい事に関わる必要が出たわけだけど……」


 大きく溜め息を吐いて、ユノへの怒りとかいろんなものを吐き出したのか、ロジーナが再び話し始める。

 というか、煩わしいと思うのなら無視すればよかったのにと思わなくもない……レッタさんの境遇を考えると、無視するのは人でなしと思われるかもしれないけど、神様だしな。

 後で聞いた話だけど、心の底から、魂からの願いや想いは、稀にユノやロジーナといったこの世界の神様に届く事があるらしい。

 アルセイス様とかにもらしいけど。


 願いや想いによって届く神様が違ったりとか、ただ想いが強ければ届くといったわけでもなく、色んな偶然とかが重なり合ってようやくとかみたいだ。

 レッタさんの場合は本来ユノに届くはずだったけど、いなかったから表裏一体の破壊神であるロジーナの方に届いたんだとか。

 そうして届いた願いや想いは、どう対処するかはその神様次第だけど決して無視してはいけないもので、よくわからなかったけど世界の救済とか維持、破壊と再生に関わるとかなんとか。

 救済はまぁわからなくもないけど、それがどう破壊で再生なのかはよくわからなかった。


 俺には計り知れない神様的なルールがあるんだと思っておく事にした。

 それで、届いた願いや想いに対する処理に関してはほとんど干渉力が必要ないらしく、むしろ正しく導けば干渉力が増えるとかなんとか……ボーナスみたいなものかな?

 なので、神様としてはやらなければいけない事だからロジーナは無視できなかったらしい。


 ユノとロジーナは、あまり広く知られてもいけない事だからと、俺にだけコッソリ教えてくれた……知られてはいけない理由って、対処するのが面像だからとかじゃないよね? ロジーナ、煩わしいとか言っていたし。

 ともあれ、レッタさんとロジーナの話しだ……願いとかに関しては、後で聞いた事なので俺は疑問に思ったまま続いていた。


「さっきも話した通り、レッタは記憶の混濁があるくらいの状態よ。目の前に私が顕現しても、理解されなかったわ。レッタの状態は私ですら酷かったと言えるくらいだから、むしろあれでよく意識を保っていられたと思うわ」

「そんなに……」


 ロジーナの言葉に、想像したのかモニカさんが呟いた後絶句する。


「全身傷だらけ、ろくに食べていないものだから痩せこけていて……その頃には、もうあれのおもちゃにすらされていなかったようね。レッタには悪いけど、汚かったから」

「……おもちゃ、ね」


 はい、俺の中でクズのクズ度がさらに上昇、そろそろ一般的なクズが霞んじゃうくらいだね……一般的なクズって何なんだと思うけど。

 実験して散々利用しようとして、挙句におもちゃ扱い、かと思えば傷だらけで放置。

 罪人の扱いとしては、粗雑に扱われても仕方ないと思うし、そこに男女の差はあまり関係ないかもしれないけどね――。




レッタさんはとにかく、碌な扱いをされていなかったようです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

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