表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1430/1950

その後のレッタさんの足取り



 村を離れたレッタさんは、時折ロジーナですら読み取れない程記憶が混濁していた事もあったらしい……ロジーナはそれを、無意識で魔力の誘導をして、魔物に干渉していたと予想している。

 ただ、復元されたりとかの操作しやすい魔物ならともかく、野生の魔物は完全に操作はできないため、どこをどうしていたのかはわからない。


 とにかく、満身創痍とも言える状態でなんとか食いつないで、近くの村に到着したらしいけど……その村も、既に壊滅していたとの事だ。

 それが、魔物によるものか人間によるものかは、レッタさんにはわからず。

 ただ、人はおらず建物は崩れていたにもかかわらず、食料などはそのままだったというのと、後にレッタさんが聞いた話では、魔物が襲撃して壊滅したが、軍によって討伐された……という話を聞いたとか。

 けどその話で、少しだけ気になるのは食糧がそのままだって事。


 魔物が襲って壊滅したのなら、人間がいないとか建物が崩れているのも当然と言えるかもしれないけど、食料をそのままにしておくだろうか?

 ともかく、俺の疑問はそのままにロジーナの話は進んでいく。

 レッタさんが村に辿り着いた時には、既に魔物が討伐された後だったのか、人や魔物の遺骸などはなく、崩れた建物と食糧だけがあったとか。

 ただし、放っておかれていたので、腐っていた食糧が……腐っていたから魔物が見向きもしなかったのではなく、多分放置されたから腐っていたんだろう。


 生きるために必要だと、腐った物ですら構わず食べたレッタさんは、少しだけ休んでまた移動を開始。

 故郷の村の人が、定期的に行っていた街を目指したようだ、レッタさんも行った事があるらしいからそちらに無意識に向かったのかもしれない。


「その時のレッタは、とにかく生きる、という事だけしか頭になかったみたいね。生にしがみつく気持ちは、今の私は少しくらいはわかるけど……それでも異常な程に、それだけを目的としていたわ」

「……異常な経験が、異常な状態や考えを引き起こしていたのかもしれないね」


 人によっては、同じ状況になったら生きる事を諦める……なんて考える人もいるだろう。

 けど、実際にそうなって見ないと人はどう動き、どう考えるかはわからない。

 生きるか死ぬか、いやほとんど死んでいるような極限状態で、論理的だったり理性的な考えができる人はほとんどいないと思う。

 だから、この時のレッタさんがとにかく何をしてでも生き残ろうとしていたり、むしろ発狂して死を選んでいたとしても、不思議はないのかもしれない。


「そうして、しばらくして街に到着して、ようやくレッタは休む事ができるようになったみたいね……」

「ほっ……」


 安心したような息を吐いたのは誰だろうか、もしかしたら俺も含めた全員かもしれない。

 とにかくレッタさんは、壊滅した村にあった腐っている食糧でも、なんとか食いつないで街に到着。

 街では、レッタさんの事を知っている人もいたため、その人に保護されたんだとか。

 そこでようやく、レッタさんはゆっくり休む事ができたと……ただし、それまで事が原因でしばらく寝込んでしまったみたいだけどね。


 まぁ、食べてもいいのかわからない生き物だった物、詳細はわからないけどなんとか食いつないだ長い旅、さらには腐っていた食べ物を口にしていたんだ。

 傷だらけになりながら、体の内部もボロボロだったんだろう……それでも、生きて街まで辿り着く事ができただけでも、奇跡だ。

 ロジーナが言うには、それも魔力を誘導する能力のおかげだったらしい。


 栄養とかとは違うけど、魔力を魔物や他の何かから取り込んで、生きる糧にしたんだろうとの事。

 魔力を他の生き物から取り込むって、近い事を何かで聞いたような?


「それからは記憶がはっきりしているし、レッタ自身も覚えている事が多いわね」


 俺の疑問はともかく、寝込みはしたけど無事だったレッタさんが回復、ようやく人としての、人らしい意識を取り戻したらしい。

 正気に戻った、みたいな感じかな。

 しばらくは、お世話になった人のために働いて街で過ごしていたらしいけど、ふとした時に事件の事を思い出してふさぎ込んだりもしていたとか。


 まぁ、働けるだけレッタさんは凄いと思う。

 それでもなんとか、前向きになれるかはともかく生きて行こうとしていたレッタさん……多分これも、ロジーナが言っていた無意識に生にしがみつこうとしていた影響だろう、絶望して死を選ぶという事はなかったみたいだ。


「ただし、数カ月後にその話を聞くまでは……ね」

「その話?」

「その街にいる冒険者達が噂していたらしいのよ……魔物を大量に捕獲するため、追い込んでいた奴らがいなくなった。その場所近くにあった村もなくなっていたって」

「それって……もしかして?」

「えぇ。なくなったのはレッタの村、そして追い込んでいた奴らっていうのは、レッタの村を襲った奴らね……」


 その噂は、街の裏側のような場所でレッタさんは聞いたらしい。

 裏ギルド、というヤンさん達から聞いた話を思い出す。

 レッタさんは、お世話になった人達への恩を返すために働いていたけど、身寄りのない女性一人……まともな場所ではなく、そういった裏側とか暗部のような場所で働く事もあったらしく、その時にふと耳にしたとか。

 当然レッタさんはその噂を確かめるべく動く。


 働いているうちに、ほんの少しながらそういった怪しい人達との繋がりもあって、噂自体はすぐに確かめられたみたいだ。

 その噂になった、魔物を追い込んだ後にいなくなった人の仲間がいたから。

 まぁ、細かい事は色々あったみたいだけど長くなるから省くとして……国の中心部が動いての事あったと突き止めたレッタさん。

 何かしらの、誰かしらが意図的に行動していたのだと知り、復讐心に駆られたレッタさんは、すぐに街を離れて帝都に向かったらしい。


 そう、レッタさんの起こった事は全て帝国での事だったらしい。

 まぁアテトリア王国ではない事は、わかっていたんだけど……だって、そんな事件が起こっていたんだったら、シュットラウルさんやマルクスさんが、少しも知らないのはおかしいから。

 ともあれ、帝都に向かったレッタさんは真実を知る事になる。

 その頃には、魔力の誘導を意識して使えるようになっており、どうしてそんな能力が使えるのかはともかく、魔物をはっきりと操作するのは難しくとも、なんらかの方向へ誘導する事ができるようになっていたとか。


 村を襲った者達、それに命令をした者達がいると知り、復讐心に駆られているレッタさんは手段を選ばない。

 帝都の軍関係や、冒険者との関りを知り少しずつ情報を集めて行く。

 魔物をけしかけて軍や冒険者をおびき寄せ、さらに別の魔物をけしかけて壊滅させ、生き残った人から情報を引き出す……なんてゲリラ的な事もやっていたみたいだ。


 そこだけ聞くと、レッタさんが帝国に協力していた現状が不思議に思うけど、ロジーナ曰く先があるとか。

 ともかく、レッタさんはついに村が襲われた真実を突き止めた――。




何故レッタさんの村は襲われたのか、その必要があったのか……。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

また、ブックマークも是非お願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ