表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1420/1951

拘束と処罰は不可能と判断



「ふぃ~、満腹なのだわ~」


 仰向けになってテーブルに転がるエルサ、キューをたらふく食べられて満足している様子。

 大体の話は終わったしと、エルサが動けるようになるのを少しだけ待って、準備をして宿を出る。

 シュットラウルさん達とも話さないといけないし、何より隔離結界の外で、今も凍てついているだろう地面を溶かさないといけないからね。

 あと、まだ目が覚めていないレッタさんの事もあるし……。



「成る程な……ロジーナ殿とユノ殿が……」

「陛下から、ユノ殿の話は一部聞いておりましたが……まさかロジーナ殿もとは」


 庁舎にて、シュットラウルさんとマルクスさんにロジーナの事を伝えるついでに、ユノの事も話す。

 伝えたのは、宿で皆に話した事と同様に、破壊神である事や帝国に知識を与えていた事、俺を隔離する事からの今回の計画などほぼ全てだ。

 さすがに、魔法が使えないとか魂が適合していくごとに、身体能力が増していくなどの事は話していない……重要な事ではないからね。


 あまり多くの人に知られないよう、人払いした部屋で驚き、唸るシュットラウルさんとマルクスさんの二人は、疑うでもなく俺が話した事を信じてくれたようだ。

 マルクスさんは姉さんから多少なりとも話を聞いていたからってのもあるだろうけど、シュットラウルさんは……。


「信じがたい話ではあるがな。これがリク殿以外から言われた事であれば、私も信じなかっただろう。だが、実際にヒュドラーの足止めなりをやり遂げた事、そしてセンテだけでなく国すら救ったとも言える、英雄殿の言葉だ。信じるしかあるまい」

「私も同様です。特に私は、リク様と共に行動した経験もありますし、疑う事はできません」

「そ、そうですか……」


 なんて、二人共完全に信じてくれていた、ありがたい。

 それからロジーナの処遇に関しては、俺に任せる事を決めてくれた。

 まぁ正式には姉さんに窺う必要があるようだけど、この場で捕らえたり罰したりはしないとの事だ。

 破壊神であれ、神様を拘束したり罰するのは畏れ多い……というわけではなく、ソフィー達と同じように俺以外に対処できる者がいないので、俺に任せる以外ないという結論だったから。


 あと、もし本当に拘束したらとロジーナ自身が、厳重に縛られて身動きをとれないようにさせても、見事な縄抜けを披露したのも大きいのかもしれない。

 魔法が使えないから、レッタさんやツヴァイにしたような魔法を使わせないようにする措置は意味ないし、そもそも縄で縛っても簡単に抜けられるなら、拘束する意味すらない。

 しかも、拘束していないなら素手でも多くの兵士を圧倒できるだろうと、今回の戦いを経てシュットラウルさん達も知っているので、そのような結論になった。

 まぁ他にも、破壊神としての行動は証明できないし、俺くらいしか証言ができない事。


 さらにロジーナとして人間になってからはむしろ協力して、魔物を倒しているのを多くの人が見ている事などから、法で裁こうとしても納得しない人が出るだろうと考えての事でもあるらしいけど。

 大体、ロジーナがソフィーに言った事そのままになった感じかな、証明できないとかっていうのもあったけどね。

 あとロジーナは、ヒュドラー達が来る前に東側の兵士さん達に結構人気だったらしい……小さな闘将と言われて、陰で讃えられているとか。

 ……闘将なんて、おおよそ見た目だけは幼い女の子に対して付ける言葉じゃないけど、それだけ魔物を倒すロジーナの戦いが凄かったからだろう。


 最初は素手で戦ってもいたらしいし。

 ロジーナの思惑はどうあれ、あれで助かった人も多いからね。

 怪我の治療をしていた時も結構話を聞いたし、人気者だとロジーナに言ったらプイッと顔を背けられてしまった……耳がほんのり赤くなっているから照れているのかもしれない。

 さっきは人間の本質が問うのと言っていたけど、こういうのは慣れていなさそうだからなぁ。


「それでシュットラウルさん。結界の外の状況なんですけど」


 とはいえいつまでも、ロジーナの反応を楽しんでばかりもいられない……主にユノがニヤニヤして見て、それをロジーナが嫌がっていたけど。

 それはともかく、外の状況だ。

 考える事は多いけど、まずはセンテの外に出られるようにしないとね。

 やったのは俺だけど。


 ちなみに、フィリーナ達の作った壁の代わりに穴を塞いでいた、俺の結界は昨日シュットラウルさんとの話が終わった後に解除してある。

 外から赤熱した地面が浸食して来る事もなくなったし、冷気が入って来るだけなので、簡易的な壁……こちらは物理的な、金属や木の扉の事だけど、それらを用意するようだったから。



「今朝から事に当たらせているが……あまり芳しくないな」

「そうなんですか?」


 俺の質問に、シュットラウルさんが表情を曇らせる。

 大きな戦闘があった後だから、疲れている兵士さん達も多いだろうし数が投入できなくて難航しているとかだろうか?

 ほぼ緊急事態の態勢は解かれているらしいけど、それでも兵士さん達が街中で対応する事も多いからね。

 昨日の今日で、家に戻れていない人もいれば、お店なんかも再開していないわけで……食事の配給とかもしなきゃいけないようだし。


「戦闘後で、動ける兵が少ないのもありますが……残っている街の者にも協力してもらい、炎を扱う魔法を兵士に使えるようにさせたのですが、思うように氷が解けないようなのです」

「氷が……?」


 多くの兵士さんが氷を解かすために動かせない、というのは間違っていないけどそれだけじゃないらしい。

 魔法が使えるかどうかは人それぞれだけど、炎系の魔法を扱わない兵士さんもいる。

 おそらくマルクスさんは、そんな人達にも炎の魔法を使えるようにしたんだろうけど……それでも氷が解けないとは一体。


 炎の魔法……例えば、モニカさんがよく使うフレイムっていう弱めの火炎放射のような魔法などがある。

 それだけでも、氷の表面くらいは溶かせると思っていたんだけど……。


「単純に氷が硬い、火で簡単に溶けないだけという事らしいのだが……何分、結界の外がかなりの寒さのようでな。この国ではあまりない気候になっているので、それに兵士が対応できていない」


 俺達が植物から出た時は、凍てつかせた直後だったし空を移動したけど、あれから結構時間が経っている。

 今日は天気が良く、結界の外では陽の光が降り注いでそれなりに暖かいかもしれないけど、地表近くは氷点下の可能性が高い。

 北の山で雪が降る事が、結構珍しい出来事とすら捉えられる国らしいし、兵士さん達がそんな気温になっている外に出て、すぐに対処できるわけないか。

 分厚い金属の鎧は通気性が悪そうで、それはそれで暖かそうだけど……だからといって寒くないわけじゃないからね。


「また、地面が凍っていますので……滑るみたいですね」

「あー、成る程……」


 凍った地面は滑る……それはこの世界に限らず当たり前の事。

 トレッキングシューズでも雪道は気を付けないといけないのに、滑り止めとかあまり考えられておらず、靴の開発が遅れているのかつるつるの靴底が多いこの世界、というかこの国でよく使われる靴だと、滑って転ぶのも当然だろうね。

 アイススパイクの付いた靴とかあれば話は別だけど、ないだろうからなぁ――。




温暖な国に寒冷地用の備えはほとんどないようです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

また、ブックマークも是非お願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ