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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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理不尽な圧はとりあえず誤魔化そう



「アマリーラさんの身も心も、受け取るの? 私は断固として断ると思っていたんだけど……? リクさんも、言い寄られて悪い気はしていなかったって事かしら?」

「あ、いや……えっと……」


 よくわからない圧を発しつつ、モニカさんに詰め寄られる。

 どうして俺がと言う理不尽を感じつつ、受け取るつもりはないしすぐに断らなかったのは、驚いたからだと弁明しながら、食堂へ向かった。

 悪い気はしないとかではなく、そもそもアマリーラさんが言い寄ってきたんじゃないと思うんだけど……いや、ある意味言い寄って来ていたのか?

 それとモニカさん、「リクさんも」って言う事は、他にもそんな人物に心当たりがあるのかな? マックスさんでない事を祈るばかりだ……マリーさんが怖いから。


 なんにせよ、モニカさんにとっては忠誠をとか、傭兵としてとかそういう話よりも、身も心もって言ったアマリーラさんの発言の方が重要だったらしい。

 ……向こうから言い出した事なのに、こういう時、男が責められてしまう理不尽は、日本の漫画とかでよくあったけど、自分の身に降りかかるとどうしていいかわからなくなるなぁ。

 詰め寄るならアマリーラさんに、とも言えないし……いや、言ってもいいのかな?


「と、とりあえず、夕食だよね。ほら、エルサもお腹空かせているし……!」

「私に飛び火させないで欲しいのだわ。けど、お腹が減ったのは事実なのだわ。早くキューを食べさせるのだわー!」

「はぁ……仕方ないわね、今回はそれで誤魔化されておくわ」


 モニカさんから目を逸らし、強引に話を変える……エルサのお腹が減っていて良かったと、初めて思ったかもしれない。

 溜め息を吐いたモニカさんは、俺が強引に誤魔化そうとしているのがわかっていて、とりあえず納得してくれたみたいだ。

 でも、今回はという事は次回があったらどうなるんだろう? とにかく、同じ事がないようにアマリーラさんには注意しておいた方がいいかもしれない。


 リネルトさんにお願いした方がいいかな。

 ……それ以前に、モニカさんと色々話しておいた方がいいのかもしれないけど――。



「はぁ、いっぱい食べたのだわ~」

「今日はいつもより食べていたんじゃないのか?」

「頑張ったから、それだけお腹が減っていたのだわ。魔力補給のためなのだわ」

「いや、魔力とか関係ないだろうに……頑張っていたのは、認めるし感謝しているけど」


 夕食後、お風呂にも入ってエルサをドライヤーもどきの魔法で乾かしながら、満足そうなエルサと話す。

 ちなみに、食事をする事で特別に魔力を補給できるとはなく、完全にエルサの冗談だね。

 食事をする事で栄養を取り込み、健康であるからこそ魔力の回復が早くなるというくらいならあるけど、食べると魔力を取り込めるなんて事は一切ない。

 いや、探せば魔力を回復させるような食べ物や薬草みたいな物は、あるのかもしれないけど……通常の料理やキューにはそんな効果はないからね。


 食堂では、フィリーナやカイツさん、それからソフィーも一緒で改めてお互いの無事を確認した。

 フィリーナ既に会っていたけど、カイツさんやソフィーとはまだ戻って来てから一度も話していなかったからね。

 あと、ソフィーの足の怪我はそこまで酷くないらしく、無理をしなければ歩くのに支障はないみたいだ。

 治癒魔法を使って治療しようかと聞いたけど、これくらいの事で俺を頼りたくないと断られてしまった……別に気にしないのになぁ。


「そういえば、ユノやロジーナが目を覚まさないのは少しに気になるんだけど、大丈夫かな?」

「ただ力を使い過ぎて寝ているだけなのだわ。明日には起きるのだわ~」

「エルサがそう言うならいいんだけど……」


 ずっと寝たままになっているユノとロジーナ、様子を見に行くと大きなベッドで仲良さそうに抱き合って寝ていた。

 普段は仲が悪いような会話をしているけど、元が表裏一体の存在……双子とかみたいな関係なので、無意識のうちに求め合う何かがあるとかそういう事なんだろうか?

 ともあれ、邪魔したり起きたら険悪な言い合いに発展しそうだったので、とりあえずそっと寝かしておく事にした。

 先送りだけど。


 ずっと起きないのは気になるけど、エルサが大丈夫というなら大丈夫なんだろうと信頼している。

 明日に起きないなら、何かしら考えないといけないだろうけどね。

 あとレッタさん。

 こちらは、容疑とか嫌疑なんて生易しい事ではなく、ヒュドラー達魔物を操ってけしかけた張本人。


 寝ているロジーナを除けば、俺だけしか証言ができないし直接話をしていないけど……信用されているみたいだ。

 ただ、寝ているからと言って手厚い保護にはなっていない。

 宿にそんな部屋が? と疑問に思うような地下室、要は牢のような扱いの場所でツヴァイを捕まえた時みたいに、魔法を使えない措置をしてさらに身動きが取れないよう縛られている。

 女性に対してそんな事を……と思う俺はまだまだ甘いのだろうけど、もし目が覚めた時に暴れたりすると大変だからね。


 ちなみにこちらもエルサが診断済みで、俺も探知魔法を使って調べてみたけど、体内にある魔力量が通常とは違ってツヴァイやクラウリアさんのように多くなっていた。

 大量に意識が混ざり合った負の感情に飲み込まれた影響か、それがどれだけいびつかというのもなんとなく知覚できた。

 なんというか、見たわけじゃないけど感覚として、複数の色を持った魔力が混ざり合って別の色になりつつも、混ざらずに別の色のままの魔力も同居していて、マーブル模様に体内でうねり合っているようだった。

 エルサも俺も、調べてすぐちょっと気分が悪くなったほどで、どう考えても自然な状態じゃない。


 多分、誰かから魔力を与えられたからの影響なんだろうけど……ツヴァイやクラウリアさんの魔力には、そこまでの印象はなかったはずなのに。

 レッタさんだけ特別な何かがあるのかもしれない。

 あと、俺はただそのマーブル状のような魔力しかわからなかったけど、エルサ曰くかなり力を吸われて弱っている状態だとか。

 魔力を含んだ、体内の力のみを長い間吸い取られていたためだけど、表面上にはあまり出ない症状らしい。


 モニカさんに聞いた話では、ロジーナは助けた時に意識を失っていたけどすぐ目を覚ましたらしいけど、それはロジーナだから。

 人間とほぼ同じ体とはいえ、やっぱり元神様……潜在的な力の量が違うんだろう。

 そんなロジーナも、ユノと同じく力を使い過ぎて寝ているけど。

 ともあれ、レッタさんも時期に目を覚ますだろうとの事だった。


「ふわぁ……だわ。気持ち良くて眠くなって来たのだわぁ」

「ははは、毛を乾かされるの好きだよねエルサ。乾いたら、ベッドに寝かせるからこのまま寝ちゃっていいよ」


 欠伸をするエルサに、考えていた意識を戻す。

 温風を出すドライヤーもどきの魔法で毛を乾かしている時、よくエルサはそのまま眠ってしまっていたからね。

 多くの場合、エルサが途中で寝てしまって完全に乾かしたあとベッドに運ぶのは俺の役目だ。




お風呂上がりの、エルサとリクのリラックスタイムです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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