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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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空から見た限り街は無事



「うぅ……とりあえず風だけでも防がないと……結界!」


 寒さで勝手に体がブルッと震えてしまう中、空移動用の結界を作り出す。

 空移動用と言っても、俺達を包み込んで動かすだけのものなんだけど。


「はぁ、少しだけ楽になったのだわ。それでもまだ寒いけどだわ」

「ガァ!」

「まぁ風を遮れただけでも、大分違うよね。結界内を温めればいいんだろうけど、そうしている間にもセンテにつくだろうし……もう少しだけ我慢だ」


 結界を張ったとはいえ、ただ空を飛んでいるワイバーン達の周囲を包んだだけだ。

 結界内がいきなり暖かくなるわけがないので、まだ震えてしまう程寒いのは仕方ない。

 それでも風がないだけでかなり暖かくなった気がするし、エルサだけでなくリーバーも喜んでいるようだ。

 確か、風速一メートルで体感温度が一度下がるんだったっけ?


 計算式とかがあって、一メートルごとに一度下がるわけじゃないみたいだけど、空を飛んでいる今は正面から吹き付ける風は結構な勢いだった。

 だから多分、五度とか六度くらいは下がってそうだし、既に真冬の明け方くらいの寒さだったのが下がったらかなり辛い……というのは今俺が体験したところだね。


「寒いけど、風がなくなったおかげで少しは前が見られるようになったね。おぉ、ちゃんとドームになっている」

「自分でやったのだわ」

「まぁそうなんだけど、空からは見ていないし……というか、微かに遠くの方にあるなぁ、くらいにしかわからなかったからね」


 風がなくなったおかげで目を開けやすくなり、センテを覆っているドーム状の隔離結界がよく見えた。

 エルサが言う通り俺自身がやった事だけど、これまでずっと不可視の結界だったのが目に見えているのは素直に感心する。

 何十、何百もの結界を重ねただけでなく、空間をズラすのもあってようやく半透明くらいには見えるようになった結界。

 まぁ、見えるように色を付ける事もできるんだけど、これだけの規模の結界を使う事なんて早々ない。


 あとそのドームの周囲数キロでは、魔物どころか木々すらなくなって全ての地面が凍り付いているのも、壮観だ。

 自然環境的な意味では、良くないと思うけど。

 とはいえ、ドライアイスみたいに白い煙が立ち込めていて、凍った地面そのものは見えない。

 こうなると、赤熱した地面も見たかったなぁ……というのは、思うだけに留めておく。


「でも良かった。街には特に被害がなさそうだ。俺の魔法だけじゃなく、魔物達からも」

「あの結界を貫ける魔物がいたら、国がいくつか滅ぶのだわ。丈夫な結界なのだわ。リクはちゃんと街を守ったのだわ~」

「うん、なんかようやく実感が湧いてきたよ」


 半透明の隔離結界を通して、無事なセンテの街を見る。

 建物には壊れた様子は一切ないのがわかって、安心する。

 パッと見た感じでは、凍っているって事もなさそうなのでエルサの言っていた洞穴と同じというのも、その通りだったんだろう。

 ヒュドラー三体、レムレースも二体……いや、西側にも潜ませていたらしいから合計三体か。


 人には討伐不可とされる魔物や、災害のように語られる魔物が襲ってきながら、建物は一切傷付いていないのは快挙じゃないだろうか。

 他にも大量の魔物が押し寄せていたのに……。

 最後は負の感情に支配された俺がやっちゃったけど、ロジーナに隔離された時からセンテの人達やモニカさん達、それにシュットラウルさんやマルクスさん、兵士さん達が頑張った成果だと言えるだろうね。

 俺だけの力じゃない、皆の力で守ったんだ。


 空から眺めるという、他の人には早々できない観察方法でちょっとだけ感傷に浸る。

 と、ドーム状になっている向こう側、ヘルサルがある方に視線をやって気付いた。


「あー、あの森も半分くらいなくなっているんだ……思い出の森なのになぁ」


 センテとヘルサルの間にある森。

 広くはないけど、センテの方から半分くらいの木々がなくなり、地面が凍り付いていた。


「それもリクがやったのだわ。でも別に、あの森が特別ってわけでもないのだわ」

「でも、俺とエルサが初めて会った場所だからさ。それに、キューが好物になった場所でもあるよ?」

「っ! キューは大事なのだわ! 初めてキューを食べた時は、他のどんな事よりも感動したのだわ!」

「俺と会ったのは、そうでもないのか……」


 エルサと出会った場所は、センテ側から森に入って少し行った場所……だから、そこの場所も完全に木々がなくなり、凍てついた大地からの白い煙に覆われていた。

 あそこでエルサと契約して、その後がはっきり変わったわけで、一度しか行った事がない場所だとしても俺にとっては思い出深い場所だったんだけどなぁ。

 エルサにとっては、俺よりもキューとの出会いの方が大事みたいだ、ちょっと寂しい。

 まぁ、その出会いもほとんどユノに誘導されてだけどね。


「凍った地面を溶かした後どうするかは、俺が決める事じゃないけど……せめてあそこには植林くらいは、しておきたいな。放っておいても、残っている森が広がるかもしれないけど」


 ただ森が広がるにしても、長い年月がかかる……植林の方が多少は早いはず。

 実際にどうするかは、領主のシュットラウルさんやセンテの人達が決める事だけどね。


「キューだわ。キューを植えて、思い出のキュー畑にするのだわ」

「思い出のキュー畑って……感動的なような、微妙な感じだね。でも畑とか作物を育てる場所にするか、できるかはまた別の話だからね。それにキューは、ヘルサルの農場で作っているでしょ。センテに来てから、ハウス化した場所でも作るだろうし……」


 思い出の場所だけど、そこがキュー畑になるのは俺としては微妙。

 キューが最優先のエルサらしいとは思うけどね。

 ちなみに、結界を張ってクォンツァイタで維持している農地は、センテから結構離れているので今回の俺の魔法に巻き込まれていないのは間違いない。

 魔物が押し寄せる中で、被害が出ている可能性はあるけど……結界そのものは大丈夫だろう。


 結界をどうこうできるような魔物は、全部センテに向かっていたっぽいし。

 レッタさんやロジーナの反応を思い出せば、俺やセンテに魔物を向かわせる以外は考えていなかった感じだ。

 だから、ヒュドラーなどの強力な魔物が農地の方に行く事はないはず。

 魔物が自由に動いていたら別だけど、今回はレッタさんに誘導されていたみたいだからね。


「リクさん! あそこに穴があるはずよ!」

「了解、モニカさん! リーバー、ゆっくり降りて行ってくれ」

「ガァウ!」


 寒さを誤魔化すため、森の話しや別の事を考えているうちに目的地の上空に到着したらしい。

 モニカさんがワイバーンの背中からドーム状の隔離結界の端、地上を示しながら叫んで教えてくれた。

 返事を返し、リーバーに言って地上に向かってもらう。


「確かにあそこだけ他と違うみたいだ」


 穴があるらしい場所、そこは他の隔離結界とは様子が違い、分厚い氷ができているのが白い煙を通して薄っすらと見えた。

 表面で空間を隔絶している隔離結界と違って、穴が開いているから影響を受けているんだろうね――。




モニカさん達が開けた穴には、魔法の影響があったみたいです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


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