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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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寝ている子は起こさずそのままに



「ユノ、ロジーナ!?」


 元気な姿を思い浮かべていたのに、横になっている姿を見て驚く。

 こういう時、おとなしく寝ているのではなく起きてあれこれ騒ぐのが、ユノ達のはずなのに……。

 植物に力が吸い取られたとしても、アマリーラさん達のように意識を失う程までにはならないはず。

 いや、ロジーナはレッタさん同様緑の力を使った時近くにいたから、多くの力を吸い取られていたのかもしれないけど。


「落ち着くのだわ、大丈夫なのだわ。リクの所に行くために、突入する時に大きな力を使ったのだわ。だからちょっと休んでいるだけなのだわ。よく見るのだわー」

「あ……」

「すぅ……リク、助けるの……すぅ」

「んん……余計な事、しないでユノ……すぅ」


 エルサに言われてよく見てみると、規則正しい呼吸と寝言が聞こえた。

 良かった……どうやら疲れて寝ているような状態みたいだ。

 しかし、突入する時に大きな力ってどんな事をしたんだろう? そりゃ確かに、モニカさん達やリーバー達だけじゃ、あの植物を斬り開いてここに来れなかっただろうというのは、なんとなくわかるけど。

 地面は赤熱して近付けない状態で、上から突入するしかできなかったのもわかっているし、一体……。


「寝ているだけみたいだから安心、かな……ロジーナはまぁ、レッタさんみたいに他の皆よりも長く力を吸い取られていたし」


 ヒュドラーやレムレースと戦った時の疲れが、残っていたとかだろうか?


「ロジーナちゃんは確かに、一旦助け出す際には意識を失っていたけど、すぐに目を覚ましたわね。その後なんだけど……」

「ユノとロジーナが協力して、大きな力を使ったのだわ。しばらく動けなくなるかも、みたいな事を言っていたのだわ」

「おかげで、リクさんのいたこの場所まで降りて来られたのよ。それまでは、植物が邪魔で入って来れなかったから……」


 モニカさんとエルサが交互にユノ達がやった事を教えてくれる。

 成る程……どうやったかはわからないけど、空から突入する際に道を切り開いたって事なんだろうね。

 今はほとんどないけど、俺が意識を取り戻した時周囲には微かに光の粒子が舞っていたから、もしかしたらそれと関係するのかもしれない。

 ユノとロジーナ……表裏一体の創造神と破壊神が人間になっているわけで、特別な力が使えても不思議じゃない。


 何はともあれ、むにゃむにゃと寝言を発しながらも、穏やかな寝息を立てて寝ているユノ達には感謝しないとな。

 それがなかったら、今頃こうして皆と無事に合流できていなかったみたいだし。


「ユノちゃん達は、私達に任せて。それよりリクさんは、これからまだやる事があるでしょ?」

「うん、そうだね。ユノもロジーナも、対ヒュドラーの時から頑張ってくれていたし、ここよりもちゃんとした所で寝かせたいからね」


 さすがに地べたに横たわって寝ているのが気になったようで、モニカさんがユノを、フィネさんがロジーナを抱えてくれる。

 二人に任せつつ、俺は俺でやる事をやらないとね……早ければ早い程、ユノ達を、皆をしっかりと休ませてあげられるから。


「……それにしても、凄い光景だ。結界がなかったら本当に危険だったなぁ」


 改めて、周囲の様子を見てみると透明な結界の外には、この世の者とは思えない光景が広がっていた。

 まぁ覗き穴からは一応見たけど、俺達のいる場所だけぽっかりと穴が開いたようになっていて、それ以外の一帯が全て赤熱した地面で埋め尽くされているのは、圧巻だ。

 まだぐつぐつと煮えているような動きをしていて、溶岩のようですらあるし、自然と冷えるまで待っていたらどれくらいになるか見当もつかない。


 それこそ、気候その物に影響してしまい、ずっとこのままなんて事も……? いや、さすがにそこまでじゃなくても、灼熱の地域くらいにはなってしまいそうな気配。

 見渡してみると、近くにあった森とか木々、草原の草花とかも消えているし、地理は変わりそうだ。


「全部、リクがやった事なのだわ。正確には違ったとしても、リクの力のせいなのは間違いないのだわ?」

「まぁ、そうなんだけどね……」


 意識が乗っ取られていたなどは言い訳に過ぎない、エルサの言う通り今見ている光景は俺が……少なくとも俺の力を使って引き起こされた事だ。

 実際には、俺の俺という意識は飲み込まれていて、赤い光が魔物達に対して降り注いで消滅されたなどの場面は見ていないけど……それでも、俺の力が使われた事には変わりない。


「今回の事はともかく、もうこんな事をやらないで欲しいのだわ。後が大変なのだわ。それに、心配もするのだわ……」

「そうだね……うん、わかった。エルサや皆に心配をかけないように、こんな事はもうこれっきりにするよ」


 プイッとそっぽを向くような動きが、エルサがくっ付いている頭から伝わってくる。

 動きそのものはこれまでとほとんど同じだけど、心配だと言葉にして発してくれるようになったのは嬉しいな。

 目を細めて、小さく息を吐いて微笑み、頭の上に手を持って行ってエルサのモフモフを撫でながら、二度と同じ事はやらないと約束する。

 とはいえ、同じ事……つまり赤い光だの緑の光だのって力の使い方は、俺が今やろうとしてもやり方がわからないんだけど。


 とにかく負の感情が流れ込んで、とにかく魔力に任せて無茶苦茶な呪文みたいな言葉で、無理矢理引き出したという感覚だけは、なんとなく残っているけど。

 今周囲に広がる光景を見たら、またやろうとは思わないしやりたいとも思わない……やれるかどうかは寒けなく、心の奥でやらないと決めた。

 ……いつの間にか結界に張り付いたアマリーラさんが「これがリク様の本当の力。これぞ人知を越えた力の結晶!!」なんて叫んでいるし、もうやりませんしすぐに魔法で冷やしますから。


 アマリーラさんを放っておいたらそのうち、俺を神様のように崇め始めるんじゃないだろうか? という不吉な予感がある。

 是非とも、結界に張り付いているアマリーラさんを引っ張って、引き剥がそうとしているリネルトさんには頑張ってもらいたい。

 あと、シュットラウルさんにも……ここにはいないけど。


「とりあえず、範囲を調べないと……」

「思ったより狭く凍らせた、ならやり直せるけどだわ。でも思ったより広い範囲を凍らせただと、大変な事になるのだわ。気を付けてしっかり調べるのだわー」

「肝に銘じるよ……えっと……」


 まず、赤い光の影響が出ている範囲を調べるため、探知魔法を使う。

 筒型の結界、その上部に開いている場所まで魔力を伸ばし、さらにそこから周辺一帯に広げる。

 エルサが言っているような事になってしまわないためにも、赤い光の影響範囲を正しく把握してかないといけない。


 影響範囲をはみ出してしまうと、下手したらヘルサルの街中まで凍らせる事になるからね……それは、危険過ぎるというか失敗の中でも最悪のケースになるだろうし。

 数メートルはともかく、大きくはみ出さないようにちゃんと調べないとね――。




やらなくていい場所まで凍らせないよう、念入りに確認する必要があるみたいです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

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