あっさりと消えていく植物
地面の熱を冷ますために一体を凍らせる魔法は、一度使ってからは使っていなかったけど、イメージは残っているから多分大丈夫だと思う。
それに、赤い光自体は俺がそれを使おうとして使ったわけじゃないけど、俺の体と魔力が使われているわけで、その責任を取らないとね。
全部終わったら、ワイバーンもしくはエルサが飛べるまでの回復を待って、脱出。
センテを覆っている隔離結界を解いて帰還……ってところかな。
地面を凍らせて今度は極寒になっているとは思うけど、それは溶かせばいいわけで、それができる事も以前使った時に確認しているからね。
「成る程……全部上手くいけば、良さそうな案ね」
「でも、リクがやり過ぎないかが一番心配なのだわ。特に地面を冷やす、凍らせるって言うのが不安なのだわ。関係ない場所まで全部凍らせてしまいそうなのだわ」
俺の案を聞き終わった後のモニカさんとエルサの反応。
両方、本当に大丈夫か? と俺を不安そうに見ている。
もっと信用して欲しいけど、これまで失敗する事が多かったからなぁ……大規模に何かする時なんかは特に。
「でもまぁ、リクさんはこれまでやり過ぎても、自分も含めて全員を巻き込んで悪い事にはならなかったから、大丈夫……よね?」
そこは大丈夫だと言い切って欲しいよモニカさん。
「ズビー! っとだわ。これで最後なのだわ。ん……話していた時に、凍らせるのは一度使った事があるって言っていたのは、なんだったのだわ? 氷を使った魔法とかはあったし、魔物を凍らせる事は合ったけど、辺り一帯を凍らせるような魔法は……」
最後のひとかみと、俺の服で鼻を豪快にかむエルサ……もう、びちょびちょで意味を成していない気がするけど。
鼻をかみ終わってすぐ、多少魔力が回復したのかしがみ付いていた俺から離れてふわりと浮かんだエルサが、さっき話した内容にある凍らせる魔法について聞いてきた。
こてん、と横に首を倒して傾げているのは可愛いけど、鼻の先から俺の服まででろんと鼻水で繋がっているから、可愛さは激減だ。
やっぱりエルサきちゃない。
「エルサ、あれだよあれ。モニカさんも見ていたけど、俺がエルサと契約して、初めて魔法を使った時のだよ」
「あぁ、そう言えばそんな事もあったのだわ。やり過ぎて辺り一帯の地面が、魔物も巻き込んで凍ったのだわ」
「そんな事もあったわね……あの時は、元に戻すのが大変だったわ」
遠くを見るエルサとモニカさん……エルサの鼻水はまだ繋がっているのはともかく。
俺が初めてドラゴンの魔法というのを使った時、マックスさんやマリーさんにも手伝ってもらったけど、見渡す限り地面が凍っちゃって大変だったんだよね。
ホーンラビットだったっけ? 無害に近い魔物も一緒に凍っていたし……そういえばあの後、マックスさん達が冒険者ギルドとか常連さんを通して、誤魔化してくれたみたいだけど大変だったらしい。
まぁ、今となってはあれをやったのが俺だと、あの時ヘルサルに住んでいた人達はわかっているみたいだけども。
「それでも、地面が冷えるのを待ったり、少しずつ手を入れて冷やすよりは手間がかからないと思うよ」
「そうね……ものすごく広い範囲だけれど、前と違って多くの人が協力してくれるでしょうから」
シュットラウルさんやマルクスさん達にお願いすれば、王国軍の兵士さん達が協力してくれるだろうし、冒険者さん達も協力してくれるかもしれない。
人海戦術で回答して行けば、復旧も短期間で済むはずだからね。
まぁ、解凍直後の地面はぬかるみになっているだろうし、センテ周辺の街道も敷き直しになるだろうけど……街道に関しては、凍らせなくてもかわらないか。
「リクがやり過ぎないかだけが心配なのだわ。気を付けるのだわ?」
「ははは、わかっているよ。一度使った事のある魔法だし、大丈夫だとは思うけど細心の注意は払うよう気を付ける」
エルサの注意は、これまでの俺を見て来ていたんだから仕方ないと受け止める。
俺が持っている魔力に任せてだったら、やり過ぎてしまうだろうけど……今はこれまでと違って、ある程度自分の魔力を意識できているから、多分大丈夫。
それでも気を付けるけどね、何度も失敗してきたわけだし。
「それじゃまずは、邪魔な植物を消そうか。エルサも準備してくれ」
「あまり長くは大きくなれないけどだわ、やってみせるのだわー。皆を助けるのだわ!」
まだ魔力が不十分なエルサは、大きくなれても維持し続けるのが難しい。
どこから落ちて来るかわからないし、複数だから今いる空間をできる限りカバーしないといけないため、俺達を乗せて飛ぶより少し大きくならないといけないから、余計魔力を使うみたいだし。
今いる空間は円形で、直径が十メートルらいだけど……壁になっている植物が数メートルくらいの分厚さで、外側に張る結界まで大体十五メートルの直系になると思うから。
「私は何もできないけど、もしもに備えておくわ」
「うん、お願いするよモニカさん」
モニカさんは、もし大きくなったエルサ……大きくなるだけでほぼ身動きが取れないだろうと、誰かが隙間に落ちようとした場合のフォローだ。
まぁ全員を受け止める前に、エルサが魔力不足で大きさを維持できなくなった時のためでもある、両方俺も協力するんだけどね。
どれくらいの高さから落ちて来るかわからないけど、ユノやロジーナのような軽量級ならモニカさんでも受け止められると思う。
ワイバーン達は……最悪そのまま地面に落ちても丈夫で再生能力があるから、問題ないとは思うけど。
「とりあえず結界を……多重結界!」
覗き穴から魔力を植物の外に出し、囲んで外からの熱気や赤熱した地面の影響がないように、複数を重ねた結界を張る。
一つだけだと、赤熱の地面に触れたら長く保たないだろうからね。
「よし。それじゃエルサ、植物から力を吸収するよ。消えたと思ったら大きくなって!」
「了解したのだわー!」
筒状の結界が張った後、片手を頭上にかざしながらエルサに声をかける。
頷いて意気込んだエルサが、小さい姿のままふわりと地面から数メートルの場所まで浮かんだ。
俺達と同じ高さで大きくなると、モニカさん含めて大きく鉈エルサに押し潰されるからだね。
「よし……」
エルサが配置につくのを確認し、モニカさんが植物に覆われている空を見上げて、備えるのを確認。
小さく声を出して、かざした片手で植物から俺の力を吸収させる。
少しの静寂と間の後……植物が一斉に形を崩し、緑色の粒子となって散らばり消えていく……。
「今、だわ!」
頭上で、ほのかな光を放ったエルサが大きくなる。
一瞬だけ、植物が消えた瞬間に空から光が差し込んで目がくらみそうになったけど、それエルサの巨体に再び阻まれた。
その際、逆光でよく見えなかったけど複数の何かがあちこちに散らばっていたのは、捕まっていた人達だろう。
ほんの一瞬だったけど、大きな点と小さな点がそれぞれ複数落下しているように見えたから、植物からは無事解放されたみたいだ。
捕まえていた植物その物がなくなったんだから、当然だけど――。
捕まっていた人達が、落下を開始したようです。
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