表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1344/1951

靴をも溶かす地面に残る高熱



「つぅ……! これは、歩けないぞ……!」

「一体何が……ソフィーさん!?」


 痛みなのか、顔をしかめたソフィーがうずくまり、自分の足に触れる。

 様子を見ようと前に回ったフィネさんが、悲痛な叫びを上げていた。

 どうしたのかと、私達全員でソフィーの様子を窺うと……。


「酷い……だ、大丈夫なの!?」

「痛みはあるが、問題ない。靴が溶けているから、酷く見えるだけだ。危険と痛み、それから熱を感じてすぐに戻ってきたのが幸いしたんだろう」


 しゃがみ込むのも痛みがあって辛いのか、座り込んだソフィーから見える足裏。

 そこは真っ黒くなってぐちゃぐちゃになっている何かがあった。

 一瞬、ソフィーが大怪我をしたのかと思ったけれど、本人が言うにはそこまでではないみたい。

 よく見てみると真っ黒くぐちゃぐちゃになっている物は、元はソフィーの靴だった物みたいね。


 ソフィーが履いていた靴、私もだけど一般的な冒険者が履くような動き安く柔らかめの物。

 魔物の革で作られていて、旅をする時にも使える丈夫な物のはず……なんだけれど、それがソフィー曰く溶けて足裏にくっ付いてしまっているみたい。


「……つぅっ!」

「すみません」

「いや、気にしないでくれ。痛みはあるが、このままにはしておけないからな」

「はい……」


 フィネさんがソフィーの足裏に張り付いた……元は靴であった溶けた物を剥がす。

 高熱で溶けたからか、火傷を負ったソフィーの足裏にくっ付ているため、剥がすのにもかなり痛みを伴うみたいね。

 それにしても、あの一瞬で靴を溶かしたうえに火傷を負わせるなんて……。


「……あの地面、かなりの高熱みたいなの。見た目は他と変わらないの。でも……多分赤い光の影響がまだ残っているの」

「残滓というか、熱気と一緒でとてつもない高熱を当てられて、そのままってわけなのだわ」

「それってもしかして、ヘルサルでリクさんが地面をガラス化させたっていうのと、同じなの?」


 ユノちゃんとエルサちゃんが、結界外の地面を見ながら話しているわ。

 赤い光の影響、高熱……靴を焼くではなく一瞬で梳かしてしまう程の熱を、地面が保ったままなんて信じられない。

 けれど、リクさんは以前それに似た事をしているのよね。

 ヘルサルでのガラス化、そしてそのガラスの処理後に農園になっているくらいだもの。


 私達にはただ赤い光に照らされて消滅したようにしか見えなかった魔物達、でもエルサちゃんは燃えていると言っていたわ。

 つまり、今もまだ吹き込んで来る熱気と地面の熱からすると、あの光は一瞬で灰も残さず魔物を燃やし尽くす程の高熱って事になるわよね。


「ヘルサルの時は、単純な高熱を発する炎だったのだわ。でも今回は、炎ですらないのだわ。けど、その余波で空気も地面もとてつもなく熱くなっているのは間違いないのだわ」

「よくわからないのだけれど……とにかくあの赤い光の影響が、地面にも残っているって事よね」

「そうなの。だから、歩いて結界の外に出るのはまだ危険なの。冷やしながらとかなら別だけど……」


 とにかく、地面を歩けないのは間違いないみたいね。

 あとで詳しく聞いても、私にはよく理解できなかったけれど……熱という意味ではヘルサルでリクさんがやったのよりは、低いからガラス化はしなかったとか。

 でも魔物を消滅させた赤い光は熱だけではなく、分解と消失をさせるから、それらが魔物を対象に発生した熱が地面に降りて歩けない程になったと。

 そして、熱された地面が冷やされないまま残っているから、空気も熱されて入り込んできている熱気になる……らしいわ。


 地面が熱くて空気も熱されるとかはまだ何とかわかるけど、分解と消失とかよくわからないし、そのうえそれが熱のエネルギーを発生させたとか言われたら、もうちんぷんかんぷんだったわ。

 リクさんだったらわかるかしら?


「水をかけると水蒸気爆発するのだわ?」

「そこまで高熱じゃないの。それにそれは、水の中に熱した高熱を発する物を入れるの。水をぶっかけた程度じゃ起こらないの」

「それじゃ、冷ましながらなら歩けるのだわ……手間はかかるけどだわ」

「それだけじゃないの。爆発はしなくても、水は蒸発するの。蒸気が湯気になって、前が見えなくて真っ直ぐ進めないの。しかも入り込む熱気は低温サウナでも、外は中温サウナで蒸気と湯気でさらに暑くなるの。そんな中を長時間歩いていたら」

「……暑さ、いえだわ。熱さでぶっ倒れるのだわ」

「湯気が晴れるまで待っていたら……」

「それはそれで、リクの所へ行くのが遅くなり過ぎるのだわ。その間に動かれたら、どうしようもないのだわ。追いかける事もできないし、こちらに何か仕掛けてきたら防ぐこともできない、のだわ」


 エルサちゃんとユノちゃんが、何を話しているのかよくわからない……水蒸気爆発? サウナに続いてまたわからない言葉が出てきたわね。

 水が蒸発するというのはわかるけれど、私に理解できるのはそこだけだった……あ、あと蒸気はともかく、湯気はなんとなくわかったわ。

 あれよね、お湯を沸かしたりした際に、もうもうと立ち上る白い煙? みたいなやつよね。

 小さい頃に、触れるか試そうとして一番熱い所に手を伸ばしたらしく、火傷したのを覚えているわ……父さんには心配されたけど、危ないからと母さんには叱られたわね。


 とにかく、ユノちゃんとエルサちゃんは、歩いて進む方法を探っているというのだけはなんとなくわかったわ。

 冷やすのもダメ、待つのもダメ……だとしたらどうしたら。

 こうしている間にも、リクさんの方で何か動きがあってもおかしくないくらいなのに。

 ……地面に足を付けたら、ソフィーみたいに靴が溶かされるのよね? だったら、足を付けなければ……?


「あ、そう、そうよエルサちゃん!」

「ど、どうしたのだわモニカ?」

「エルサちゃんが大きくなって、飛んで行けばいいんじゃない? そうすれば、地面を歩かなくてもリクさんの所へ行けるわ」


 最近、エルサちゃんに乗る事がなかったから頭から抜け落ちていたわね……エルサちゃんに乗って行けばいいだけの事じゃない。

 なんだ、簡単だわ! と思って言ったのだけれど……。


「無理なのだわ。飛べないのだわ。正確には飛べるのだけどだわ」

「え、どうして……飛べるなら……」

「人を乗せられる程、大きくなれないのだわ。魔力の残りが少ないのだわ。それもこれも、リクから魔力が流れて来なくて、自分の魔力回復を待つしかないからなのだわ!」

「……繋がりが戻っても、魔力とかは流れて来ないって言っていたっけ」

「そうなのだわ」


 ヒュドラーと戦っている際、矢などの遠距離攻撃を威力増強して頑張ってくれていたエルサちゃん。

 リクさんとも離れていたから、魔力は消費する方が多かった……らしいわ。

 そのうえ、結界で覆われた事で繋がりが切れたから、リクさんからの魔力が流れて来ない。

 魔力が少なくなっているのにも関わらず、結界を破るために全力で協力してくれたんだもの……エルサちゃんが消耗するのも当然よね――。




リクからの魔力がなく、エルサは少し無理をしてくれていたようです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

また、ブックマークも是非お願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ