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魔物処理完了



「ふむ、こんなものですか。二人共、良い動きでした。おかげで簡単に済みました。それにエルフのお二人も、見事な援護でしたよ」

「いえ、油断して少し危ない場面もありました。まだまだです」

「さすがは副ギルドマスターを務めるだけはありますね。まだまだ速度ではヤンさんには敵いそうにありません」

「まぁ、本来ならリクに魔法を任せた方が簡単に援護出来てるでしょうけど」

「一応私達も戦えると示しておかないとな。エルフとしての誇りに関わる」

「皆、お疲れ様」


 皆のお手本のように動き、華麗に魔物を倒しながらもしっかり他の人の動きを見ていたヤンさん。

 アドバイスのような事を話しながら皆が俺とユノが待機してた場所に戻って来る。

 俺は皆を労いつつ迎える。

 最後は皆で魔物達の後処理を済ませた後、少し離れた場所で少し遅めの昼食を取る。

 さすがに、魔物達の血の匂いがする場所で食事はしたくないからね。

 今日はヤンさんが訪ねてきたりして森に入るのが遅れたために、少し遅い昼食だ。

 というかヤンさん、ここまで遠い道のりを旅して来たのに、休みも取らずに森に入っても大丈夫なんだろうか?


「ヤンさん、今日集落に到着したばかりなのに疲れていませんか?」

「これくらいは何ともないですよ。現役で冒険者をしていた時は1カ月ろくに休まず活動してた事もありますからね。それに比べれば軽い方です」


 冒険者は過酷な状況に置かれる事も考えないといけないとは聞いていたけど、1カ月休み無しとは……さすがに寝る時間はある程度取っていたんだろうけど、それでもほとんど休める時間無く活動するのは辛そうだ。

 俺、この集落に来ても夜襲のあった時以外はちゃんとした家で寝泊まりしてるけど……休み過ぎかなぁ……?

 まぁ、休める時に休むのも重要な事だよね。

 昼食中はさっきの戦いの反省点等を交えつつ雑談。

 ベテラン冒険者のヤンさんからアドバイスを、モニカさんもソフィーさんもうんうん頷きながら聞いている。

 フィリーナやアルネも参考になる事があるのか、真剣に話を聞いている。

 俺もちゃんと聞いて参考にしないとな。

 キューをかじってるエルサや、美味しそうに料理を頬張るユノはそんな話に興味は無さそうだけど。

 昼食後はさっきまでと同じように俺が探査で魔物を探して討伐。

 ゴーストには魔法で対処しないといけないから、ヤンさんは後ろでフィリーナやアルネが魔法を使うのを見ていた。

 驚いたのは、ヤンさんがウッドイーターをガントレットで倒した事。

 ユノが剣で倒すのを見たけど、それ以上に勉強になる戦いだった。

 内容は単純にヒットアンドアウェイで、ガントレットの打撃と斬撃を交えて攻撃しつつ、ウッドイーターが腕を振り回すタイミングで離れて回避という戦い方だったけど、俺達から見て危なげのない戦いだった。

 Bランクのベテランになるとそんな事も出来るんだなぁと感心して見ていると、特にソフィーさんが熱心にヤンさんの戦い方を見ていた。

 スピードで圧倒する戦い方が参考になるんだろうと思う。


「そろそろ切り上げですかね?」

「そうですね。日も大分傾いて来ましたし」

「リク、森の魔物はまだまだいるのかしら?」

「んー、ここ数日結構倒したから数は減ってると思う……えっと……うん、夜襲が終わってすぐの3分の1くらいに減ってると思う」

「ありがとう。それならもう少しで森から魔物がいなくなってくれるわね」


 ヤンさんの言葉で木々の合間から空を見上げていた俺に残りの魔物を聞いて来たフィリーナに答えつつ探査の魔法を使う。

 簡単に調べただけだけど、確実に森の中に点在している魔物の数は減って来てる。

 これなら後数日で魔物達を全部倒す事が出来ると思う。


「放っておいたらまたそのうち魔物が出るでしょうけど、せめてウッドイーターだけでも全部倒さないとね」

「そうね、エルフの森の木をこれ以上減らさないためにもね」


 モニカさんとフィリーナが話してる通り、ウッドイーターだけでも殲滅しないとこの森の木は減る一方だ。

 ここまで来たら、集落のエルフ達だけでも対処出来ると思うけど、放っておくとひたすら木を食べるウッドイーターを早く倒すに越した事は無いからね。

 俺達は和やかに話しながら、集落へと帰った。

 集落の広場では、エルフの集落を見回っていた兵士達が満足気な顔をしているのと対照的に、ヤンさんについて来た冒険者達は疲れた顔をしている。

 軽く話を聞いた感じだと、兵士達の方はエルフの文化に触れられた事等、色々と学ぶ事が出来たらしい。

 冒険者の方は、案内のエルフが付いてはいたけど鬱蒼と木々が生い茂る森の中を延々歩いての魔物討伐に疲労が隠せないという事みたいだ。

 ベテランでも、ここまでの森は早々ある物では無いらしく、木々の合間を縫って移動、魔物への警戒で神経を擦り減らしたんだそうだ。

 ……俺達は探査の魔法で魔物への警戒をしなくて良い分、楽だったのかもしれないね。


「ではリクさん、また明日」

「はい。ここまで来た疲れもあるでしょうから、ゆっくり休んで下さい」

「ははは、これくらいなんともありませんよ。では」


 広場の途中でヤンさん達と別れる。

 ヤンさん達はエヴァルトさんに連れられて、俺達とは違う場所に泊まる事になった。

 石の家なら十分な広さがあるんだけど、ヤンさん達が良い機会だとエルフ達との交流を望んだからね。

 日頃エルフの集落に来る事は無いからって事らしい。

 ヤンさん達と別れた後は、いつものように複雑な道を通って石の家に戻り、夕食と風呂を済ませて就寝。

 そろそろ、複雑な道も覚えて来たかな……まだ不安な部分もあるから、フィリーナ達に案内してもらった方が安心だけどね。



 翌日からは、昨日と同じようにヤンさんを加えて魔物の討伐。

 合間にヤンさんはエヴァルトさんと、俺達への報酬の話を詰めてたようだった。

 魔物討伐をしながら数日……この集落に来てから3週間くらいが経った頃、ようやく森の中の魔物討伐が終わった。

 一応まだ森の中にはウルフやコボルト等が点在してるにはしてるけど、後はエルフ達だけで対処出来るとの事だった。

 まぁ、ウッドイーターやオーガ、オークなんかは全て倒したから危険な事はほとんどなくなっただろうと思う。



 魔物討伐終了を受けて、エルフ達が広場で宴会。

 もちろん俺達もエヴァルトさんやフィリーナ達に無理矢理巻き込まれてその宴会を主賓として満喫した。

 酒とかは飲まなかったけどね。

 楽しそうに騒ぐエルフ達を見て、この集落に来た事、集落を守れたことの実感と共に、満足感に満たされた。

 翌朝、朝食を食べてる時にモニカさんがポツリ。


「昨日のエルフの宴会は凄かったわね……」


 小さく呟いた言葉だったけど、それに頷くソフィーさん。


「冒険者達が集まる酒場よりも盛り上がっていたな」

「まぁ、それだけこの集落が無事な事を皆喜んでるのよ」

「それに、リクによって重傷の怪我すらも治されたからな。あれだけの規模の魔物がいてこの被害の少なさに皆喜んでいるんだろう」


 エルフの皆が喜んでくれたのなら嬉しい。

 俺がユノ達で実験した治癒魔法も役に立ったみたいだしね。

 朝食後は荷物を纏めて石の家を出る。

 この石の家で寝泊まりするのは快適だったね。

 しばらくお世話になった場所に一礼した。



この世界では無く、日本では未成年だったリクはお酒の味を知らないようです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はブックマークを是非お願い致します。


作品を続ける上で重要なモチベーションアップになりますので、どうかよろしくお願い致します。

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