モニカさんと一緒に行動
スピリット達を召喚して、魔物の殲滅をした後南門の様子を見ていなかったから、一度見ておこうかと思ったんだ……あれ以来、南門の外側には一度も行っていないから
ワイバーンを連れてきた時は上空から見下ろしたくらいだったし、あの時は門の内側に降りた。
まぁ、スピリット達任せで魔物を倒した時も、エルサに乗って見守るくらいだったけど……アマリーラさん達を助け出す時くらいかな、地上に近付いたのって。
あと倒したワイバーンの、素材回収の進捗とかも聞きたいからね。
ユノもそっちに行っているみたいだし、ちゃんとやっているかを見るのもいいかもしれない。
子供扱いすると怒りそうだけど……ロジーナの事もあるから。
「そう。それじゃあ私も今日はリクさんと一緒に行動するわ。あまり、東門には近付きたくないのよね……」
「え? でも、マックスさんやマリーさんもいるのに……」
俺の予定を聞いて、頷いたモニカさん。
今日は俺と一緒にという事だけど、東門に近付きたくないのはどういう事だろう?
昨日までに何度も行っているし、両親のマックスさん達がいるのに、嫌がる理由がわからない。
「手伝わされるのよ。兵士や冒険者の世話というか、食事なんかの用意をね。少しくらいなら、私も問題ないと思うんだけど……ソフィー達と違って、獅子亭にいる頃のようにこき使われるから。今は母さんもいるからね」
「あー、成る程。マックスさんやマリーさんは、今食事担当になっているから……」
溜め息交じりのモニカさんの話を聞いて納得。
掃討作戦が本番に差し掛かって、冒険者は後方に回り、魔物と直接戦うのはシュットラウルさん配下の侯爵軍がメインになっている。
一部の冒険者……ルギネさん率いるリリフラワーの人達や、元ギルドマスターさん、ヤンさんやセンテのギルドマスターであるべリアエスさんなど、作戦に参加している人もいるけどね。
でも、盾部隊が前面に出る機会が減って、マックスさんが食事担当をするようになり、さらに魔法部隊もマリーさんが別の人に任せてマックスさんと一緒にいるようになった。
そのため、東門内側の広場は今、獅子亭の出張所のようになっている。
まぁ、食材の種類は少ないし、賄わなければいけない人数も多いため、質より量にはなっているんだけど。
でもそこはそれ、さすがマックスさんと言うべきか、ちゃんと獅子亭で出している料理の味に近い。
モニカさんがそこへ行けば、マリーさんによって獅子亭の時のように半強制的に手伝わされるからね……それを嫌がってって事だろう。
手伝う事が嫌というわけじゃなく、東門に行けば一日中手伝わされて、そのために行くだけになってしまうからだと思う。
「わかった。それじゃ、準備をして宿を出ようか。あ、一応その前にカイツさん達の様子を見ないとね」
「……時々、ワイバーンが吠えている声が、ここにまで聞こえてくるのよね」
「ま、まぁ、研究の合間に皮を剥いでいるみたいだから。悲鳴じゃないし、そこは聞かなかった事にした方がいいと思う」
モニカさんに頷き、カイツさんにも挨拶する事を伝えると、ちょっと微妙な表情になった。
確かに朝起きてから何度か、ワイバーンの声が宿の中にまで聞こえている……ワイバーンにおねだりされて、皮を剥いでいるんだろうと思う。
でもまぁ、最初の頃に建物が揺れる程の振動や音はないから、俺とモニカさんは見守るというか聞かなかった事にするしかないと、苦笑しながら言って、椅子から立ち上がった。
「街も大分、元に戻りつつあるみたいだね」
カイツさんと、相変わらず特殊な趣味を持つワイバーンやボスワイバーンに挨拶して、モニカさんとエルサを連れて宿を出る。
ボスワイバーンはもう色々と諦めたのか、ちょっと深めに地面に穴を掘って、体を丸めてその中でのんびり昼寝をするつもりのようだった……目が少し、達観したように見えたのは俺の気のせいか。
「えぇ。昨日聞いたんだけど、魔物を排除する見通しが立ったから、順番に住民達を戻しているんだそうよ」
準備している、というのは俺も聞いたけど……既に街の人達を元に戻すよう、動き始めているのか。
まぁ、趨勢が決まっていて万が一って事ももうなさそうだし、元の生活に戻るのが早いに越した事はないよね。
「賑わいと言う意味では、やっぱりヘルサルの方があるけど……センテも前みたいに、賑わってくれるといいよね」
平常時の人の多さでは、やっぱりヘルサル程ではないんだけど……以前はセンテも十分に賑わっていた。
それが今はまだ、兵士さんや冒険者さんが行き交っている事が多く、人がいないわけじゃないけど以前と比べると静かだ。
「そうね。センテは作物が集められるから、父さんみたいなお店をやっている人が多く行き交っているわ。商人とかもそうね。だから、そう言った人達の喧騒も戻って来るといいわね」
俺の言葉に頷いたモニカさんは、目を細めながら周囲の景色を眺めている。
獅子亭で生まれ育ったモニカさんにとって、隣街のセンテには何度も来ているんだろうし、慣れ親しんだ光景ってのがありそうだ。
回数としては多くない俺でも、今のセンテはやっぱり寂しい気がするからね。
以前は、街中を歩いていたら卸問屋から、仕入れ交渉する商人さんと問屋さんとの喧々諤々なやり取りが聞こえて来る事だってあったし。
モニカさんと少しだけ感傷的になりながら、街の様子を見て回った。
王軍の人と思われる兵士さんも行き交っていて、物資を運んでいるのも見かける。
人手不足、物資不足もじきに解消されそうだね。
「リク様に、敬礼!」
南門に到着し、魔物がいなくなったおかげで夜間以外は開け放たれている門を通り、外に出る。
一応周辺の警戒はしていて、平常時よりも見張りが多くいるけど、それでも南側の魔物がいなくなった事で人の出入りが頻繁になっていた。
そんな中、門を出た俺達の前にワイバーンに乗ったアマリーラさん達が降り立って、何故か整列。
上司でも上官でもないのに、ワイバーンと横に降りた騎乗者が、それぞれ敬礼をしていた。
「えっと……何故?」
「これらワイバーンは、リク様から借りております。ですので、感謝のしるしと受け取って頂ければ」
「はぁ……わ、わかりました」
思わず首を傾げる俺に、先頭にいるアマリーラさんが教えてくれる。
敬礼が感謝のしるしになるというのはよくわからないけど、そういう事なら受け取っておこうと思う。
リネルトさんもだけど、アマリーラさんの尻尾が左右に大きく振られていて嬉しそうだし、萎れさせる必要はないよね。
「と、とりあえず、ワイバーンの方はどうですか?」
「はっ、非常に従順で我々の指示に従ってくれて、助かっています。馬よりも扱いやすいですね」
「そうなんですか?」
「はい。馬だと……」
このままだと、感謝と言いつつ俺を讃え始めてしまいそうなアマリーラさんに、話題替えとしてワイバーンを使っての様子を聞いてみる。
ワイバーンからの言葉はわからなくとも、人間の言葉を理解して従っているので、馬よりもやりやすいんだとか。
馬は、人間の言葉を全て理解しているわけじゃないから、仕方ない事だけどね――。
言葉を理解できるかどうかでも、扱いやすさは変わって来るようです。
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