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エルフの長老達



 翌朝からしばらく、俺達は皆で森の中に入って残っている魔物達の討伐にあたった。

 とは言え、俺が直接剣を振ったり魔法を使ったりすることは無く、ほとんどが魔物達の場所を探るための探査を担当した。

 一緒について来たアルネとフィリーナがウッドイーターを担当し、モニカさんとソフィーさん、ユノはオーガやオーク、コボルトやウルフを担当した。

 俺はたまにふよふよと漂ってるゴーストを見つけた時に、火の魔法を使われないうちにサッサと氷の魔法で倒してしまう事に徹した。

 森は広くて、1日じゃ全てを回り切れないから数日かかってしまった。

 もちろん、集落にいる他のエルフ達も別行動で魔物達を討伐しているのだけど、そちらは俺のように正確な魔物の位置が把握できるわけじゃないから効率はあまり良くないようだ。


「ッ!……ふぅ……このあたりの魔物は全部倒したわね」

「そろそろ戻りましょうか。暗くなって来たわ」

「そうだな」

「集落から少し離れた場所に来てるから、そろそろ戻らないと夕食が遅くなるからね」


 モニカさんがコボルトを槍で突いて倒した後、周りを見渡しながら言う。

 フィリーナが木々の合間から見える空を見ながら戻る事を提案し、アルネもそれに賛同する。

 俺も空を見上げて賛同する、夕食が遅くなったらエルサがうるさいからね。

 ソフィーさんとユノも剣をしまいながら近づいて来て頷いてる。

 皆で倒した魔物の後始末をして、集落に向かって移動する。

 日も完全に暮れて辺りが暗くなった頃に集落へ着き、石の家に戻る前に通った広場にエルフ達が集まっているのが見える。


「あれは?」

「ん? どうしたのかしら?」

「かなりのエルフ達が集まってるな、何かあったのか?」

「エルフ達が集まるような事は予定してなかったわよね?」

「ああ。今日も昨日と同じく森の魔物残党を討伐するだけだったはずだ」

「いっぱい集まってるの。お祭りなの?」

「ユノちゃん、エルフのお祭りは今の時期じゃないわよ」


 エルフ達が集まってる事を不思議に思いながら、俺達は広場へ近づく。

 集まってるエルフ達の数は多くて、もしかしたら俺達がこの集落に来た時や怪我の治療をした時よりも集まってるかもしれない。

 エルフ達でひしめき合ってる広場に入った時、エルフ達の集団の中から、エヴァルトさんが俺達を見つけて抜け出して来た。


「リクさん、ちょうどいい所に」

「エヴァルトさん、何かあったんですか?」

「それが……ちょっと面倒な事がありまして……」


 エヴァルトさんが俺に駆け寄りながら声を掛けて来る。

 何やら言い淀みながら面倒な事があると言ってるけど、一体何だろう?

 皆で首を傾げてると、エヴァルトさんが申し訳なさそうに俺に言って来た。


「リクさん、すみません。その……長老達がリクさんに会わせろと……」

「長老……ですか?」

「……それは確かに面倒ね」

「ああ、面倒だ」

「そんなに面倒なの?」


 何やらエルフの長老が俺に会いたいらしい。

 エヴァルトさんの言葉にフィリーナとアルネも口をそろえて面倒と言い、顔をしかめた。

 モニカさんはそんなエルフ達に不思議そうな顔だ。


「リク、モニカ。いい、エルフの長老は人間嫌いが集まった旧世代のエルフ達なの。契約者であるリクが邪険に扱われる事はないと思うけど、モニカ達がどう言われるか……」

「そもそもがどれだけ魔物に集落が襲われても森の木から出て来なかったエルフ達だからな。人間に助けを求める事は集落の意思として決まったが、それに最後まで反対していた頑固な連中だ」

「……そうなのね」


 フィリーナとアルネの忠告を聞きつつ、俺達はエヴァルトさんに連れられてエルフ達が集まる場所の中心に向かった。

 広場の中心、数百はいそうなエルフ達が囲む場所の真ん中に、長老と言われるエルフが3人いた。

 長老達は、その呼び方通り年老いた姿をしている。

 人間で考えると、70~80くらいに見えるエルフの男性2人と女性1人だ。

 エルフだからか、年老いていても美形だったとわかる容姿をしていて、男性1人を除いて腰も曲がっていない。

 エルフの長老……一体何百年生きてるんだろうか……アルネが大体300年でエヴァルトさんが500年って言ってたから、その倍くらいかな?


「これはこれはリク様、ようこそお越しくださいました」

「おぉ、貴方がリク様ですな」

「なんでも契約者だとか。ドラゴンの姿は拝見させて頂きましたが、こうしてお会いするのは初めてですね」

「……今更何を言ってるのかしら……リクがこの集落に来て何日経ってると思ってるの? その間一切出て来なかったくせに……」


 三人から声を掛けられた俺の後ろで、フィリーナが不満そうに呟いてるけど、もう少し小さな声で言った方が良いんじゃないかな?

 三人のうち、腰の曲がってない方の男性がフィリーナの声が聞こえたようで、睨んでるから。


「んんっ! この度は、集落を救って頂きありがとうございました」

「我々長老衆もリク様には感謝しております。これで人間の力を借りる事も無くなりましたね」

「最初は人間の力なぞと考えておりましたが、契約者であるリク様の力添えのおかげで、無駄に人間の力を借りずに済みましたな」

「はぁ……」


 三人は俺に頭を下げつつ、感謝の言葉を言っているけどフィリーナの言っていた通り、言葉の端々に人間嫌いっぽいセリフがちらついてる。

 差別ってどこにでもあるのかなぁ。


「それで、これは何のつもりなの? リクに何か用でもあるのかしら?」

「フィリーナ、お前はまた……失礼だろう」

「……まぁ、良い。人間に頼ろうと考えるエルフの言う事にいちいち構っていられないからな」

「そうだな」


 フィリーナが俺の横に来て長老三人に問い詰めるように迫るが、長老達は仕方が無いとでも言うように顔を振る。

 長老達の目的が何かはわからないけど、さっきから俺以外とは会話もしないというような雰囲気が漂ってる。

 その証拠に、三人共俺の後ろにいるモニカさんやソフィーさん、ユノには一切視線を向けないからね。


「軽率なエルフ達がうるさいので、本題に入ろうか」

「そうね」

「リクさん、私達から貴方にお願いしたい事があります」

「……何ですか?」


 長老達は俺に視線を向けて、頼み事がしたいと言う。

 エルフの長老が俺に何の用があるんだろうか?


「リク様にはこのエルフの集落で暮らして欲しいのです」

「そうすればこの集落は安泰、この先魔物にも人間にも脅かされる事は無いでしょう」

「もちろん、ドラゴン殿も一緒にいてもらいます。不自由のない生活を保障しますよ」

「……えっと……」


 どうやら長老さん達は、俺をこの集落にいつかせたいようだ。

 まぁ、確かに俺とエルサがいればこの先同じような魔物の襲撃があっても守る事は出来るだろうけど。

 しかし魔物はまだしも、人間に脅かされると考えてるのは気になる。


「ちょっと待って、リクさんは私達と一緒に冒険者をしてるのよ」

「そうだ。リクがこの集落にいるというのなら私達も同じくそうするだろうし、リク一人をこの集落に置いて行く事はないだろう」

「私はリクと一緒にいるの」


 俺が何かを言う前に、モニカさん、ソフィーさん、ユノが俺の前に出た。

 皆、パーティという事もあるだろうけど、こう言ってくれるのは嬉しいね。

 モニカさん達の言う事を聞いた長老達が顔をしかめた。




エルフの長老達は何やら嫌な雰囲気です。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はブックマークを是非お願い致します。


作品を続ける上で重要なモチベーションアップになりますので、どうかよろしくお願い致します。

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