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久々の肉料理と各自の活動報告



 部屋に携帯していた剣等の装備を置いて、居間で用意してもらったキューをかじる。

 エルサもユノも俺も食べてるけど、やっぱりエルサのキューを食べる速度が早い。

 ……そんなに食べてると夕食が入らなくなるのではと考えたけど、エルサだから大丈夫だろう。

 片手でキューを持ちながら、もう片方の手でエルサのモフモフを撫でて癒されながら考える。

 調味料か……確かにマヨネーズとか味噌、その他にも色んな調味料が地球にはあった。

 食を追求する日本人は色んな調味料を開発してたからね。

 この世界で生活して来て、今まで地球と同じような調味料はほとんど見た事が無い。

 まぁ、塩とか砂糖くらいかな……ヘルサルがこの国でも大きい街で、近くに農業中心のセンテがあるから両方揃うってマックスさんは言ってたっけ……。

 日本にいた時、料理の経験はあんまりないから、調味料をいちから作る方法がわからない。

 そのうち、調味料を色んな街や国に行って探すのも悪くないかもね。

 いつの事になるかわからないけど……。


「ただいまー。リクさん、先に帰ってたのね」

「おかえりモニカさん。それは?」


 居間でのんびりキューをかじりながら過ごしてると、最初にモニカさんが帰って来た。

 モニカさんは道案内のためか、一人のエルフを連れていて、そのエルフと一緒に両手で大皿を持っていた。

 その皿の中にはおいしそうな料理が載ってる。


「これはね、料理を教えてもらうついでに作って来たの。皆久々にいっぱいお肉が食べたいだろうと思って」

「お肉なのー!」


 キューを食べるのに夢中なエルサは放っておいて、ユノの方はモニカさんが持って帰って来た肉に興味津々だ。

 モニカさんと一緒に来たエルフは、持っていた皿をテーブルに置いた後一礼して帰って行った。

 肉か……確かにこのエルフの集落に来てから、あまり多くの肉を食べて無かった。

 民族性なのかもしれないけど、肉料理が少ないんだよね。

 しかも、肉料理があっても使われる肉も少なくてちょっと物足りない。

 料理自体は美味しいんだけどね。


「ユノちゃん、食べるのは皆が揃ってからよ」

「我慢するの!」


 テーブルに置かれた肉料理を食い入るように見ていたユノに、モニカさんからストップがかかる。

 放っておいたら手を伸ばしてつまみ食いしそうだったからね。

 昼抜きだったから辛いかもしれないけど、きちんと我慢できるユノは偉いぞ。

 俺もテーブルの肉料理を見るが、分厚いステーキのような物だったり、スープに入って煮込まれてる物だったりと、色んな種類がある。

 ……すごく美味しそうだ。


「でも、この集落によくこんなに肉があったね?」

「しばらくはお肉に困る事は無いみたいよ」


 この集落では狩りで肉を得るような事をチラッとフィリーナが言ってたような気がするけど、最近は魔物達の対処のために狩りは出来て無いようだった。

 民族性以外にも、狩りが出来ないから肉が少なかったのかもしれないと今になって気付く。

 モニカさんは肉に困る事は無いと言ってるけど、狩りをしてないのになんでだろう?


「この肉はオークの肉だからね。オークはしっかり焼いたり煮込めば美味しい料理になるのよ」

「……そうなんだ」


 魔物の肉が料理に使われる事があるのは知ってた。

 獅子亭でも、冒険者達が狩って来た魔物の肉を仕入れて料理に使ってるとは聞いた。

 けど実際自分が討伐したオーク達が料理になるのを見ると少しだけ気後れする……。

 確かに、オークが二足歩行で武器を使ったりする事を考えなければ、ほとんど地球の豚と似たような魔物だけどなぁ。


「なぁに? オークの肉は嫌い?」

「いや……そういうわけじゃないんだけどね。魔物の肉というのが……」


 モニカさんが不思議そうに尋ねて来るのに、俺は躊躇しながら返答する。

 しかし、モニカさんはそれを聞いてさらに首を傾げながら言って来る。


「オークのお肉なら獅子亭でも食べてたじゃない。獅子亭で出す肉料理はほとんどが魔物のお肉をつかってるわよ?」

「あぁ、そういえば……」


 以前マックスさんも言っていたけど、獅子亭で料理に使っているのは魔物の肉なんだった。

 ……この世界に養豚農家があるかどうかはわからないし、魔物を狩れば肉が手に入るんだからね。


「ちゃんと美味しい料理になってるから大丈夫よ」


 俺にモニカさんは笑いながら言っているけど、美味しいとかそういう問題じゃないんだけどなぁ。

 見た目は焼かれた肉だけど、元のオークを想像して躊躇してしまう。

 とはいえ、今まで食べてたんだから今更か……。

 覚悟を決めて、しっかり食べさせてもらおう。

 弱肉強食だとか言うつもりはないけど、今まで散々肉を食べて来たんだ。

 地球でもこちらでも、肉を食べてる事には変わりないからね。

 そんな事を考えて覚悟を決めているうちに、フィリーナ、アルネ、ソフィーさんが一緒に帰って来た。


「ただいまー。疲れたわ……。焼けた家の片づけがこんなにしんどいなんて……」

「今帰った。フィリーナ、森に行くよりは楽だと思うぞ。魔物に注意しながら洞窟を捜索しないといけないんだからな?」

「ははは、どちらも大変な事だろうな。私はエルフ達と剣を交えられて有意義だったぞ。……おっと、皆ただいま」

「おかえりフィリーナ、アルネ、ソフィーさん。お疲れ様。すぐに夕食にしよう」

 

 皆を出迎えながら、夕食を促す。

 そろそろエルサが用意してもらったキューを食べ尽くしそうだからね。

 それに、さっきから肉料理を見ながら我慢してるユノも限界のようだ。

 モニカさんが持って帰って来た肉料理に舌鼓を打ちながら、それぞれが今日あった事の報告会となる。

 オークの肉を口に入れる時に一瞬だけ戸惑ったけど、一口食べてからはその美味しさに、オークがどうとか魔物がどうとかっていうのは気にならなくなった。

 やっぱりモニカさんは、マックスさんに似て料理上手だね。

 報告会の方は特に問題になるような事は無かった。


 モニカさんの方はこんな料理を教えてもらったという報告。

 今度、作ってもらおう。


 俺やエルサ、ユノはエルフ達の怪我を治して回ってた事の報告。

 この際、同じエルフの集落の者として、フィリーナとアルネに感謝されたけど、俺は暇つぶしの代わりにやった事だからね。


 ソフィーさんとアルネ、フィリーナの三人はこの石の家に帰って来る途中の道で会ったから一緒に帰って来たようだ。

 ソフィーさんはもうあの複雑な道を覚えたらしく、一人で途中まで来てたらしい……すごいね。

 フィリーナは、集落の家の状況報告。

 大きく崩れるような家は無かったけど、建て直さないといけない家は何件かあったらしい。

 それでも被害は少なかったため、作業に時間はかからないそうだ。


 アルネの方は、入り組んだ洞窟の中を探索して、中の状況報告。

 洞窟内は俺が探査の魔法で探った時と同じように、生き物の気配が一切無く、地面にはバラバラになった魔物達の死骸で埋め尽くされてたそうだ。

 これで、エルフの集落が襲われる危険が無くなったと判断して良いだろうとの事。

 大変なのは、これから洞窟と集落を往復して、魔物の片づけと素材なんかを運ぶエルフ達だと言って笑ってた。

 オークのように食べられる素材は持ち帰る、何かの素材になるのも同じくだ。

 肉類は腐る前に持って帰って、後に残った残骸は燃やして埋めるらしい。

 集落から少し離れてるのに何度も往復しなければならないようで、ちょっと大変そうだ。


 ソフィーさんの方は、エルフ達に剣の講義をして、何人か素質があるエルフを見つけたらしい。

 本来エルフは魔法を主に使うけど、剣を使えるようになって損は無いという事を今回の魔物襲撃で学んだらしく、その数人は剣の修練を始めるそうだ。


 報告会が終わる頃には皆夕食を取り終わっていて、風呂に入って就寝する事になった。

 今日からはもう夜襲が来る事も無いだろうから、安心して朝まで寝れるね。


「ゆっくり寝るのだわー」

「もう夜に起こされるのは嫌なの」


 やっぱりエルサもユノも、ぐっすり寝てる所を起こされるのは嫌なようだ。

 誰だってそうか……エルサなんて、それで洞窟の魔物を殲滅したんだしな。

 今日もいつものようにエルサを挟んでゆっくりと寝た。

 夜襲の無い睡眠は寝起きさっぱりで、昨日までの疲れがしっかり取れた。

 ……夕食に食べた久々の肉料理のおかげもあるかもしれないね。




やっぱり肉料理はリク達には必要なようです。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はブックマークを是非お願い致します。


作品を続ける上で重要なモチベーションアップになりますので、どうかよろしくお願い致します。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 34ページに 「ああ、まあ確かに魔物が狩れなくなったら商売が出来なくなるな。うちの店も使ってる肉は魔物の肉だからな」  そうだったのか。  魔物の肉、普通に食べてたよ俺。  この店で…
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