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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移  作者: 龍央


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溜め息を吐かれるリク



「それじゃ、街に……と思ったけどいきなりワイバーンを十体以上引き連れて行ったら、驚かれるし騒ぎになるか。ボスワイバーンと、他のワイバーン二体でとりあえず街に行こう」

「……ワイバーンを引き連れている時点で、驚かれるのだわ」


 エルサの言う通りだと思うけど、数を少なくした方が驚きは少ないと思うんだ、多分。


「残ったワイバーン達は、しばらくここで待っていて欲しいけど……おとなしくしてくれるかな?」

『ココヲ、ウゴカナイヨウニ、イイツケテオク、デス』

「うん、よろしくお願い」


 まぁ、ワイバーンの方も俺の言っている事は理解できているようだから、本当に従うのならボスワイバーンから言わなくてもわかってくれると思うけど。

 というか、ほとんどのワイバーンがのんびりと過ごしている周囲の状況を鑑みるに、勝手にどこかへ行ったりする事はなさそうだけどね。

 二体くらいは、いつの間にか地面に穴を掘って自分がすっぽり入れる、巣穴のようなものを作り、その中で寝ていたりするし。

 今、センテでは魔物との戦闘中ってのを忘れそうな光景だね。


 そうして、ボスワイバーンが残るワイバーンにおとなしくここで待っているように伝える。

 あと、残ったワイバーン達には、もし他の魔物が近付いてきたら餌にしていいという許可も出しておく。

 待っている間にお腹を空かせちゃいけないからね、もちろん、人間や獣人な度はその限りではなく襲わないようにと厳命した。


 エルサにいつも皆を乗せるくらいの大きさになってもらって、背中に乗る……俺一人分よりも大きくした理由は、センテに戻った時ワイバーンよりも目立つためだ。

 さっきまでは、ワイバーンより小さいくらいだったからね、できればエルサが大きく迫力を出した方が、ワイバーンを連れていても説得力というか、なんかそんな感じなものがうまれそうだったから。

 準備を終えて、空に浮かび上がったエルサを先頭に、ボスワイバーン、二体のワイバーンが並んでセンテへと向かった。

 エルサは、「編隊飛行なのだわー」と喜んでいたけど……地球の航空機に興味があるんだろうか?



「……リクさんがとんでもない事をする人だというのは、十分わかっていたつもりなんだけど……はぁ」

「まぁ、これは溜め息を吐きたくなるな」

「あはは……」

「むぅ、魔物はあいつが作った存在なの。だからちょっと複雑なの」

「リク様に従うのですか? さすがリク様、全てを従わせる力をお持ちなのですね!」

「ほぇ~、おっきいですねぇ~」

「ガァゥ?」


 南門に到着し、門の外に降りたところで慌てて中から出てきた皆。

 何故かモニカさんも合流していたようだけど、アマリーラさん達も含めて、他の人達にワイバーンに敵意がないから害はない事を伝達してもらったうえで、事情を説明した。

 モニカさんとソフィーは溜め息を吐き、フィネさんは苦笑い、ユノは膨れているけど、アマリーラさんはなんでも俺を褒めるモード……これは最近ずっとか。

 リネルトさんはボスワイバーンを見上げて、首を傾げられている。


 周囲には兵士さん達や冒険者さん達が集まってきて、遠巻きに見ている状況だ。

 ワイバーンもそうだけど、エルサが大きいままだから近づきがたいんだろう。


「確かに、ワイバーン達が襲って来るような気配はないけど……」

「人間を襲ったりしないようには言ってあるんだ。もし襲った場合にどうなるかもね。だから……」

「……人間に囲まれていても、おとなしくしている魔物というのは始めて見たが……リクの言う通りのようだな」

「リク様に従えるなぞ、羨まし……おっと。中々見どころがあるではないですか」

「おぉ、硬いですねぇ」


 皆が戸惑っている様子を見せるのも無理はない……アマリーラさんや、ボスワイバーンの足をペチペチしているリネルトさんを除いてだけど。

 これまで魔物と言えば、基本的に人間を襲う存在であり、討伐対象だった。

 ワイバーンもそうだけど、貴重な素材……資源としての側面もあるから、今のように目の前にいても戦わずにいるというのはあり得なかったから。

 人間を襲わないというか、弱いために人間を見たら逃げる魔物とかもいるけど、そういう魔物は作物や家畜を襲う。


 結局、冒険者や兵士さんなど、ある程度魔物を見てきている人にとっては、魔物とは倒すべき相手でしかなかったのだから。

 それなのに、会話ができて敵意がないからと連れて来るのは驚かれるよね。


「一応、エルサが探って本当に敵意がない事や、何かを企んでいるわけじゃないのを確認しているんだけど……」


 ボスワイバーンとの話を、モニカさん達に詳しく話す。

 経緯なんかは先に話していたから、エルサが通訳をする際、魔力を繋げて考えている事を確認した事などだ。

 もちろん、何かあった時は俺が責任をもって討伐する事もだね。


「まぁ、リクさんがそうと決めたのなら仕方ないわね。確かにおとなしくしているし、もしワイバーンを利用できるのなら、画期的なのは間違いないわね」

「そうだな……協力してくれるのであれば、仲間とも言えるし頼もしくも感じる。思うところが一切ないというわけではないが……リクが責任を取ると言うのであれば、反対する理由はないな」


 モニカさんとソフィーは、一応賛成と……俺が連れてきたというのが大きいようだ。

 二人からの信頼を裏切らないように、ちゃんとボスワイバーン達の事を見ないとね


「私は騎士でもあるので、どちらかというと反対するべき立場ではありますが……冒険者として見た場合、役に立つのならそれがなんであろうと使えるなら使えばとも思います」

「……あいつの作った魔物なんて、私は嫌だけど……リクが必要なら気にしない事にするの」


 フィネさんは中立に近いけど、今は騎士ではなく冒険者として俺に同行しているので、消極的賛成といったところ。

 騎士として、フランク子爵配下としてだったら、反対されていたとも思われる。

 ユノは破壊神が創ったらしい魔物だという事で、むくれつつも反対を表明。

 だけど、俺の顔を立ててというか、積極的には反対しない感じらしい。


「私はもちろん、リク様に従うのであれば歓迎しますよ。シュットラウル様も、戦力になるのであれば拒まない……いえ、むしろ喜ぶのではないでしょうか」

「シュットラウル様なら、面白がって自分も雇いたい! なんて言いそうですよねぇ。ひんやりしていますねぇ……暑い時に丁度良さそうです」


 アマリーラさんはもう、俺がやる事なら何でも受け入れてくれそうな雰囲気で、ワイバーン達を何故か羨ましそうな目で見ながらも賛成。

 シュットラウルさんの反応は……なんとなくわからなくもない。

 リネルトさんは、ペチペチからヒタヒタとボスワイバーンの足に触って、楽しそう。

 こちらは反対はしていないけど、賛成とも取れない話しぶりだけど……楽しそうな様子を見るに、賛成と思われる。


 なんだか、捨てられていた小動物を拾って来て、飼ってもいいか窺っている気分になるけど、大体反対する人はいないって事で決着がついた。

 積極的賛成が、アマリーラさんくらいしかいないのはまぁ、魔物が相手だから仕方ないだろう。

 これが、人間やエルフ、獣人なら皆も難色を示す事はなかったんだろうけどね……今も、センテは大量の魔物の群れを相手に戦闘中だし、そこは仕方ないよね――。




魔物は全て倒すもの、という常識の一部が崩壊した瞬間だったりするのかもしれません。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はページ下部から評価の方をお願いします。

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