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ウッドイーター討伐



「とりあえず、今朝の魔物達が西から来た理由はわかったわ。けど、あのウッドイーター達はどうするの?」

「……魔物達の進軍ルートを潰していてくれるのはありがたいが……このままだと集落にも被害が出るな……」


 ウッドイーター達は集落に向かって木を食べ進んでる。

 このまま放っておいたら、食べる速度から考えて、明日にでも集落の木が食べ始められるんじゃないだろうか。

 俺は、まだ続けていた探査の魔法で、一度ある情報を確かめてから皆に伝える。


「あのウッドイーター達は倒しても大丈夫だと思う」

「しかしリク、あれを倒したら、魔物達が森から襲撃して来るんじゃないか」

「そうよ。そうしたら草原からの襲撃と違って、もっと被害が出ると思うわ」

「大丈夫。あっちに……えっと、魔物達と集落の間にいくつか、ここにいるウッドイーター達より多い数が集まってるから、他の魔物達は通れないと思う」


 森の中に点在するウッドイーターの反応。

 ここにいるのは……1,2……5体か……だけど他の場所にいるのは10体や20体がまとまっている。

 集まってる他の魔物達がいる位置から考えて、森から集落へ行こうとしたら、必ずウッドイーターとぶつかる場所だ。

 ……なにもそんな場所にウッドイーターを複数召喚しなくても……とは思うけど、確かサマナースケルトンの召喚は対象を決められなくて、何が呼び出されるかわからないんだったね。

 不運なのか……スケルトンだから不吉な存在っぽいし、運が悪くても仕方ないのかな。

 まぁ、集落にとっては、森の木が食べられているという事はあっても、魔物達の襲撃して来る方向がはっきりしただけ運が良かったと見るべきだろうね。


「リクの言う通りなら、あのウッドイーター達を倒しても問題無さそうね」

「ああ。このまま集落に近付けさせるわけにもいかないしな」

「ウッドイーターかぁ……私は役に立てそうにないわね」

「私もだ」


 ウッドイーターに近付くと、さっきのオーガと同じことになってしまう。

 出来るだけ距離を取って遠距離から魔法を使い、こちらに気付いて近付こうとしても、腕が届く距離になるまでに倒し切れば良い。

 アルネとフィリーナはエルフだから魔法が得意だ、だからウッドイーターと十分に戦えるはず。

 でもモニカさんとソフィーさんは今回、前に出て戦えないだろうなぁ。

 モニカさんも魔法を使えるけど、まだウッドイーターを倒せるような強力な魔法は使えない。

 ソフィーさんの方は魔法が使えず、近距離でしか戦えないからね。


「ウッドイーターが5体か。リク、今回は私達が倒すから、リクはもし近付かれ過ぎたり逃げるウッドイーターがいたらお願いするわ」

「そうだな。リクには今朝、大量の魔物達を倒してもらった。集落のエルフとしてこれくらいは俺達でやらないとな」

「んー、わかった。じゃあ二人が危ないと思ったり、他へ行こうとするウッドイーターがいたら俺が魔法で倒す事にする」


 まぁ、皆で協力した方が早く済むとは思うけど、二人なりに考える事があるんだろうな。

 エルフの集落を守るのに、自分達も何か役に立たないといけないと考えてるのかもしれない。

 単なる俺の予想だけど。


「私もやるの!」

「ユノちゃん? 貴女は魔法が使えるの?」


 二人がウッドイーターに向かって魔法を放とうと準備に入ろうとした時、ユノが手を上げて参戦を申し出た。

 そういえばユノって剣や盾を使う所しか見て無いけど、魔法はどうなんだろう……神様だから使えないって事は無いだろうけど。


「今は使えないの。でもあれくらいの魔物なら大丈夫なの!」

「大丈夫って……さっきのオーガを見たでしょう? 魔法が使えないならユノちゃんが持ってる剣で戦うしかないのよ? ウッドイーターに近付くのは危ないわ」

「そうだぞ。ここは俺達に任せて、ユノは後ろで見ていてくれ」


 今は……という事は完全に使えないわけじゃないんだな。

 それはそうと、ユノの申し出にフィリーナとアルネは反対してる。

 ユノの見た目からあんまり強そうじゃないしなぁ、魔法も使えないなら尚更ユノのような小さい女の子をウッドイーターに向かわせるのはためらわれるだろう。

 二人の気持ちはわかるけど……実際どうなんだろう?


「……エルサ、ユノが行っても大丈夫か……?」

「ん……大丈夫なのだわ。あの程度の魔物ユノ一人で十分なのだわ」


 俺は小さい声で頭にくっ付いて寝ているエルサに聞いてみた。

 エルサは俺の声で起きて、答えた後すぐにまた寝る。

 暢気だなぁ。

 エルサが言うにはユノ一人で十分らしいから、多分何とかなるだろう。

 何故かエルサはユノの強さを知ってる感じだからね。


「フィリーナ、アルネ、ちょっと待って。……ユノ、本当に大丈夫なのか?」

「ちょっとリク!?」

「さすがにリクといえどユノに行かせるのは……」

「大丈夫なの!」


 俺がユノに任せようとしてるのを悟った二人は、俺を止めようとするけど、ユノからは元気な笑顔と一緒に大丈夫との言葉。

 それなら、任せてみようかな。

 反対してる二人には悪いが、俺はユノの前に行き、さっきオーガの棍棒を受けたウッドイーターを示しながらユノに話しかける。

 まぁ、今朝は皆を守って盾をメインに戦ってたから、今回はユノに思う存分戦わせてあげよう。


「ユノ、あの頭が一部へこんでるウッドイーターがいるだろ。他の奴に気付かれないようあいつに近付いて倒して来てくれ」

「わかったの!」


 俺の言葉に、ユノは散歩にでも行くような気軽さで頭がへこんで未だに緑色の血を流してるウッドイーターに近付いて行く。


「ちょっとリク、いくら何でもあんな小さい子をウッドイーターに近付けるのは危ないわよ!」

「そうだぞ。ユノの強さは今朝一緒に戦ったから知ってるが、それでもウッドイーターに近付けるのは危ない!」

「大丈夫。ユノもそう言ってるし……もし危ないようだったら俺が助けに入るから」


 抗議して来るアルネとフィリーナを何とか宥めつつ、歩いてウッドイーターに近付くユノを見る。

 エルサが大丈夫と言っていたからそんなに心配はしてないけど、やっぱり10歳くらいの女の子が腕が異様に大きい魔物に近付いて行く光景は、危険にしか見えない。

 二人が止める気持ちもわかるね。


「行くのー」


 ウッドイーターまで後1メートルくらいの所で、ユノが暢気な声を出して剣を抜いた。


「……え?」

「……なんと」


 剣を抜いたユノは、恐ろしい程の速さで動き、ウッドイーターに肉薄。

 ウッドイーターの周りをちょこまかと動きながら腕を何度か振るう。

 時間にして数秒、ユノが腕を振るう動きを止めた時、ウッドイーターの両腕が切り落とされて、根のようになっていた足も据えて切られていた。

 ……腕の動きは見えたけど、剣先がほとんど見えなかったぞ……どんな速さなんだよ……。

 ユノが引き起こした光景に、フィリーナもアルネも、モニカさんやソフィーさんでさえ言葉を無くして茫然とユノを見ている。

 最後にもう一振り、剣を振るってウッドイーターの首を切り取り、止めを刺したユノは、剣をしまって俺達の所へ駆けて戻って来た。


「終わったのー。どうだった?」

「ああ……すごいぞユノ」

「……何者なの……このユノちゃんは……」

「なんだあの剣の速度は……」

「ほんとに、私や父さんを相手にした時は手加減してたのね……」

「そう、みたいだな」


 俺の所へ来て笑顔で報告するユノの頭をしっかり撫でてやる。

 撫でられたユノは「えへへー」と嬉しそうだ。

 ……本当に妹を持ったみたいだな……。

 他の皆は寝ているエルサを除いて驚いた表情でユノを見ていた。



ユノが簡単にウッドイーターを討伐してくれました。


読んで下さった方、皆様に感謝を。


別作品も連載投稿しております。

作品ページへはページ下部にリンクがありますのでそちらからお願いします。


面白いな、続きが読みたいな、と思われた方はブックマークを是非お願い致します。


作品を続ける上で重要なモチベーションアップになりますので、どうかよろしくお願い致します。

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