一日の終わり
3
その後は二人でモール内をぶらついた。
アパレルショップで明らかに似合わないサングラスをかけ、笑い合った。
雑貨屋でファンシーなぬいぐるみを撫で回した。
本屋で立ち読みしたり、CDショップで知らない洋楽を試聴したりした。
駄菓子屋コーナーがあったので昔懐かしの駄菓子を大人買いして食べた。
あっと言う間に夕方になり、そろそろ帰ろうということになった。
帰りはモール内で発券されたレシートがあれば無料で利用できる送迎バスを使った。
バスで駅まで戻り、二人で電車に乗った。
車内は混雑していたけど、空いている席が一つだけあった。
黛麻友に席を譲り、僕はその前のつり革につかまった。
最寄りの駅で降りると、そこで解散となった。
僕は駅から自宅までの道を一人で歩いた。
歩きながら今日一日のことを思い返してみた。
映画を見て、お昼ご飯を食べて、ショッピングモールをぶらついた。
たったそれだけだ。
大したことは何もしていないのに、驚くほどあっと言う間に一日が終わった。
途中いくつか(主にゆかに関することで)はらはらする場面もあるにはあった。
でもそれ以外は、終始、充実した気持ちに満たされていた。
黛麻友は、ずっと、笑顔だった。
たぶん、僕も、そうだった。
『今日は本当にありがとう。えへへ…』
別れ際に黛麻友が言った言葉を思い出す。
夕陽を背にした彼女の笑顔が頭から離れなかった―――。




