セシリア、もう一つの未来を知る
「ど、どういう意味ですか?」
「言葉通りの意味よ。貴女は『聖女』にもなれるし『邪神』にもなれるぐらいの力を持ってるのよ。」
突然の宣告に正直戸惑っている。
「で、でも魔力とか持ってませんし魔法も使えませんよ。」
「魔力とは違うのよ。その上の力を持っているのよ。・・・・・・まだ信じられない、て言う顔をしてるわね。じゃあ、貴女のもう一つの未来を見せてあげましょう。」
パチンとキディ様が鳴らすと突然風景が変わりました。
それは、あの学園の卒業パーティーの会場でした。
正に私が今断罪されている瞬間だ。
『私は何もやっておりません!』
私は泣き叫んでいる。
「これは貴女が今の選択をしていなかった時の世界よ。因みに私達は認識されていないから。」
私は『私』の顔の前に手を出して上下に動かしてみる。
確かに反応がない。
まぁ、しかし一方的に断罪されるなんて端から見ればカオスだと思う。
それにフェルモンド様達の主張も穴だらけで聞くに絶えない。
『私じゃない私じゃない私じゃない・・・・・・。』
『私』はその場に埋まりながらブツブツ呟いていた。
すると、突然『私』の体から黒い霧が出てきた。
「えっ!? 何これ。」
「貴女の中の『邪神』の力が呼び起こされたのよ。」
周囲はザワザワしている。
『私』から発せられる黒い霧は『私』の体を包み込む。
そして、徐々に霧が晴れていき『私』の姿が見えてきた。
その姿を見た私は固まってしまった。
金色だった髪は灰色に
服は漆黒の露出度高めのドレスに
目付きは鋭くなり、顔には黒い痣みたいな物がある。
『な、なんだっ!? その姿はっ!?』
フェルモンド様が怒鳴ります。
『なんだ・・・・・・。貴方が私をこの様な姿に変えたんですよ。セシリア・ヒューズの心は壊れました。私は〈邪神セシリア〉・・・・・・、お前達を、この国を滅ぼす者。』
そう言うとパーティー会場は一瞬にして阿鼻叫喚の地獄絵図に変貌しました。
人が燃えだしたのです。
それは私を断罪しようとした人達でした。
逃げ出そうとした人達は何故か倒れてきた柱の下敷きになったりしています。
フェルモンド様は顔面蒼白になり、隣ではルーシャ嬢がガタガタと震えています。
『私』はコツコツとフェルモンド様達に近づき、冷たい笑みを浮かべて
『邪神である私に喧嘩を売ったらどうなるか、その体で知っていただきましょう。』
そこで風景が変わり、キディ様の部屋に戻ってきた。
「どう?貴女のもう一つの未来は?」
「最悪ですね・・・・・・。」
うん、無い。
何か引いてしまった。
まぁフェルモンド様が悪いんですけどね。
突然、理不尽な断罪を受けて精神崩壊して邪神になる。
ひょっとしたら歩んでいたかもしれない私。
自分の体の中にそんな『私』がいるのを知ってちょっと怖くなった。
「だから、今の貴女が正解、て言う訳じゃないの。 あれは一番最悪な未来で聖女として目覚めていたらまた違う事になっていたかもしれない。」
「なるほど・・・・・・。」




