セシリア、山に向かう
「じ、女王様・・・・」
イーストン帝国の代表であり、フェルモンド様の母親であり、私の義母になるはずだった『メアリー・イーストン』様
なんで此処にいるの?
もしかして、私の噂が伝わったっ!?
それとも逃亡計画がバレたのっ!?
焦る私を見てメアリー様が言ったのは
「早く乗りなさい」
・・・・はい?
「貴女がいない事がそろそろバレるかもしれないから早く乗りなさい」
「は、はいっ!!」
とりあえず、馬車に乗り込んだ
学園内からは何か人が出てきている
多分、私を探しているのだろう
「関所まで向かいなさい」
メアリー様は運転手に命令して馬車が動き始めた
「あの、メアリー様?」
「ごめんなさいね、セシリア」
・・・・はい?
「フェルモンドの様子がおかしいから密かに調査をしていたのよ。そしたら、ルーシャ男爵令嬢に入れ込んでいるみたいで、貴女に無実の罪を期させて、婚約破棄を公の場で宣言するつもりだったらしいのよ。あの子があそこまで馬鹿だったとは情けないわ・・・・」
メアリー様はご存知だったんですか・・・・
「それで、フェルモンドの愚行を止める為に、学園にやって来たら、貴女の姿を見かけたからそれで全てを察したのよ」
「私が知ったのは今日なんです・・・・」
私は夢の事を話した
「きっと、それは神様からのお告げよ。『悲惨な運命になる前に逃げなさい』という」
「そうですか・・・・」
「貴女の代わりに私が息子やルーシャ男爵令嬢、貴女の取り巻き、ヒューズ家に罰を与えるわ」
「えっ!?両親もですか!?」
「えぇ、婚約者である事を良い事に貴女を蔑ろにして色々好き放題やっていたらしいから・・・・」
「も、申し訳ありません・・・・」
何をやってくれているんだ、うちの家族は
身内が足を引っ張ってどうするんだ
「で、関所までは行けるけどどうするの?」
「私は・・・・神の山にこもります。正直、貴族の生活に疲れました」
「そう・・・・、貴女なら大丈夫かもしれないわね」
と、馬車が止まった
私は馬車を降りた
「セシリア、頑張ってね。これからの人生に幸が多からん事を・・・・」
「ありがとうございます、メアリー様」
馬車は再び、学園に向かって走り出した
さぁ、ここからは一人だ
これからはただのセシリアとして私は生きていく
強い決意をして私は歩き出した