幕間 メイドが見た断罪
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うん、何か安心した。
今回は、幕間、パーティー会場で何が起こったのか・・・・
皆さま、こんにちは。私『ミシェル』と申します。ヒューズ家に雇われて数年、お嬢様、セシリア様にずっと付き添って来ました。
お嬢様は、私の事を歳も同じ、という事で親しくして頂いて感謝しております。
さて、お嬢様が逃げ出した後、何が起こったのか、お話しましょう。ただ、捉え方というのは人それぞれであり、その時の立場で解釈が違う物です。あくまで私の解釈でお話するので、ひょっとしたら事実とは違う箇所もあるかもしれませんのであしからず。
では、お話しましょう。
お嬢様がパーティー会場から抜け出した後、何事もなくパーティーは進んでおりました。
それから数十分経過した頃じゃないでしょうか、お嬢様のお父様である『ディノー・ヒューズ』伯爵に呼ばれました。
「ミシェル、セシリアは何処に行った? 姿が見えないんだが」
「つい先程まではいたんですが、緊張しておトイレにいかれたんでは無いでしょうか?」
「全く、これから大事な話があるのに」
私、知ってますよ。今回の婚約破棄、一部関係者には既に話が通っている事を。
一部というのは、フェルモンド様とその取り巻き、取り巻きの中にはお嬢様の兄上である『ロベカル・ヒューズ』様も入っております。
ロベカル様を通してヒューズ伯爵様にも婚約破棄の話は通っており、お嬢様を勘当して妹である『クラリッサ・ヒューズ』様を王家に嫁がせる約束をフェルモンド様としているみたいです。
伯爵にとって娘や息子は王族と繋がる為の『道具』であって、そこには愛情は無いのです。
婚約者、という事もあり宰相とも手を組んで、王家のお金を横領して贅沢もしていましたのでそこら辺もフェルモンド様につつかれたのでしょう。
『今までの横領は見逃してやるから協力しろ』とでも言われたんでしょう。
えぇ、はっきり言って馬鹿です。お嬢様が気の毒に思えて仕方がありません。
さて、パーティーも終わりに近づいた所でフェルモンド様が壇上に上がりました。
隣にはルーシェ様がいらっしゃいます。この時点で事情をしらない方々はちょっとザワザワしています。
「皆の者!よく聞いてくれ!私、フェルモンド・イーストンはセシリア・ヒューズとの婚約を破棄し、此処にいるルーシェ・ベルモンドとの婚約を宣言する!」
えぇ、どよめきが起こりました。
ただ、お嬢様の悪い噂が拡がっていたので拍手は多かったです。
7割ぐらいの方は悪い噂を信じていたんでは無いでしょうか?
その直後ぐらいに、扉が開きました。全員が振り向くと
「何の騒ぎですか? これは」
「は、母上っ!? なぜ、此処にっ!?」
メアリー女王の登場に会場は騒然しています。私も知りませんでした。
横にはフェルモンド様の弟であるハミル様と恋人であるセレス様がいらっしゃいます
「フェルモンド、貴方の様子がおかしい、とハミルから聞いてこの数ヵ月調べさせてもらいました」
「兄上、セシリア嬢という婚約者がいながら何をやっているんですか? 弟として情けないです」
「な、何を言うんだっ!元はと言えばセシリアがルーシェに取り巻きを使って嫌がらせをしてくるのが悪いんだっ!あんな人を利用して自分の手を汚さずに悪事をする人間は王族としてふさわしくないっ!」
フェルモンド様の主張にヒューズ伯爵も同調しました。
「王子の言う通りです。我が娘ながら全く愚かな事をしでかしてしまい申し訳ない。セシリアは勘当して身を持って償わせます!」
実の娘になんて事を言うんでしょうか。呆れてしまいます。
女王様、眉間に皺がよっております。
「セシリアが悪さをした証拠はあるのですか?」
「セシリアの取り巻きが指示された、と言ってるんだ! それが何よりの証拠だっ!」
「そうですか、セレス」
「はい、女王様」
女王様に指示されてセレス様が誰かを連れて来ました。
例の取り巻き二人です。何故かボロボロになっていますが。
「この二人は、自分達が勝手にやった、と言っております。」
「嘘だっ! 俺が聞いた時はセシリアに指示された、と言っていたでは無いかっ!」
「フェルモンド様、事が大事になると我が身が可愛くなります。この者達は我が身可愛さにセシリア様に罪を着させようとしたのです。それにセシリア様が指示をした、という日はいつですか?」
セレス様の問いにフェルモンド様はお付きの者に聞き
「○月×日だ!」
「その日は、王妃教育、更に結婚式の打ち合わせでセシリア様は女王様や私と一緒にいましたよ。そもそも最近は結婚式の準備で学院にも姿は見せていませんでしたが?」
「えっ・・・・・・」
言葉に詰まるフェルモンド様
「婚約者の行動を把握してないなんて情けない。そんな者に王位を授ける訳にはいきません。フェルモンド、貴方は今日限りでイーストン家から追放します。」
「つ、追放っ!?」
「同盟国である『グラナンス王国』に話をつけてあります。其所でその甘えた根性を叩き直してきなさい。こちらが納得するまで国に入る事も許しません。連れていきなさい!」
兵士に捕まれてフェルモンド様は呆然としながら会場から出ていきました。
「ルーシェ・ベルモンド、貴女にも責任はとってもらいます。」
「は、はい・・・・・・」
「ベルモンド男爵には話はしてあります。厳しい処分が下るでしょう」
「つ、慎んでお受け致します・・・・・・」
「それからヒューズ伯爵、先程の態度はなんですか。実の娘を庇おうともしない、貴族として恥ずかしくないのですか?」
矛先はヒューズ伯爵に向かいました。
「そ、それはその・・・・・・」
明らかに罰の悪そうな顔をしています。
「貴方方が勝手に王族の金を使って贅沢三昧をしていた事は調べはついています。宰相も白状してますよ。」
グッと唸るヒューズ伯爵様、冷や汗が尋常ではありません。ロベカル様、クラリッサ様も同様です。
「ヒューズ家は身分剥奪の上、今まで使って来たお金を全て王家に返還する事。今後、王家とは一切繋がりの無い物とします!」
項垂れるヒューズ元伯爵家の皆様、更に追い討ちをかける事をセレス様が言います。
「今後の返済に関してはミューズ家が窓口になりますのでよろしくお願いしますね♪」
ミューズ家はヒューズ家よりも位が高く王家の信頼が厚いです。更に言えば王家が表沙汰では解決出来ない事をミューズ家に解決してる、と聞きます。
つまり、『覚悟しとけ』という事です。
後は細かい事は省きますが、婚約破棄に関わった方々はそれなりの処分を受けた、と聞きます。
私ですが、何故か女王様のお誘いを受け、王家に雇われる事になりました。その際、女王様より王命を授かりました。
『お嬢様にお会いになった時は、今回の件を報告する。』と
女王様もフェルモンド様の責任をとって近々、退位してハミル様に譲られるそうです。
長かった・・・・。
これが『ざまぁ』なのかはわかりませんが、細かい部分はまた修正をするつもりです。