セシリア、獣人の子を拾う
獣人、それは人とは違い獣の力を持つ人種。
この子は多分『犬族』の子だろう。
ボロボロの服を着ていて、体も汚れている。
「あなた、一体どうしたの?」
「うぅ・・・・、虐めないで・・・・、捨てないでください・・・・、なんでもします・・・・」
捨てられたのかしら・・・・?
とりあえず、子供を背負って私は転移した。
セシリアの家
家に戻ってきた私は、子供の服を脱がして濡れたタオルで拭いた。
子供は女の子だった。
拭いた後、ベッドで寝かした。
子供は、落ち着いたみたいで今は眠っている。
「この子、一体どうしたのかしら・・・・?」
捨てられた、て言っていたけど、家族から?それとも・・・・
「うぅ・・・・」
どうやら気がついたみたい。
「ここ・・・・どこ?」
「ここは私の家よ。私はセシリアというの。あなたの名前は?」
「名前・・・・、『ミュウ』、セシリアは・・・・人間?」
「人間だけど安心して。私は敵じゃないから」
ミュウはクンクンと鼻を鳴らして
「良い匂いがする・・・・。セシリアは・・・・良い人・・・・」
獣人族は、匂いで判断するのかしら?
「ミュウ、あなたは倒れていたのよ。何があったの?」
「私・・・・、捨てられたの。ご主人様に『いらない』て言われて・・・・」
ミュウがぽつりぽつりと話し始めた。
ミュウは遠くの獣人族の村に家族で住んでいた。
ある日、突然、人間達がやって来てミュウを含めた子供達を浚っていった。
ミュウはある街の貴族に買われ、奴隷として働く様になった。
人間は奴隷商人で、主に獣人専門だった。
ミュウは必死に働いた。いつか、村に帰れる日を願いながら。
だけど、ある日突然、ミュウは追い出された。
原因は不明だけど、ミュウに原因は無いみたい。
多分、雇い主の気まぐれだろう。
貴族の中には、そういう輩もいるのは知っている。
そして、ミュウはあてもなく、空腹で倒れていたみたい。
でも、それだけじゃなくて体に叩かれた後があり、暴力もあった、と思う。
凄く腹ただしい気分だ。
「話はわかったわ。ミュウ、私と一緒に暮らしましょう」
「セシリアが・・・・、ご主人様?」
「違うわ、私とミュウは今日から『家族』よ」
「家族・・・・?」
「そう、私とミュウは対等な立場よ」
私がニッコリ笑うと、ミュウは涙目になって私に抱きついた。
この日、私には『家族』が出来た。