序章 異世界に開かれた都市
序章 異世界に開かれた都市
日本の幾つかの都市に、異世界とつながるゲートが出現したのはもう二十年以上も前のことだった。
当初はゲートは各県警の管轄下に置かれて、出入国は厳しく管理されていたが、日本国政府と異世界政府の間で条約が結ばれ規制は緩和されていった。
そしてある日突然日本国政府は、異世界に開かれた国を標榜して、異世界から大量の移民受け入れを決定した。
それがどういう結果をもたらすことなど放りなげて、企業各社の抱える労働力不足の解消と、日本国籍を選択することになれば自分の票になるだろうという、一石二鳥を狙ったとても単純な発想からだった。
こうして、異世界とのゲートが開かれた都市の一つである久万市に異世界から大量の移民がなだれ込んでくることになった。
ただやって来たのは日本政府や受け入れ都市が期待していた移民とは、まったく違う者達だったのである。
高齢化を迎えた日本が欲しかったのは、労働者不足を解消するような働き盛りの若者たちだった。
ところが、異世界からやってきたのは、働き盛りをとっくに過ぎた高齢者ばかりだったのである。
ただそのことに当初は誰も気づかなかった。
見た目は幼い女の子だったからだ。
子供ばかりやってくる、一体どういうことなんだと久万市役所は異世界政府に問い合わせた。
そしてわかったのは、異世界もまた高齢化に悩んでいた。そして面倒を見きれなくなった高齢者をこれ幸いと日本に送り込んでいたのだ。
つまり久万市は日本政府が決めた、異世界に開かれた都市の美名の下、ロリBBA達が溢れかえる都市になってしまった。
移民受け入れを決めた日本政府には、一切なんの有効な対策手段がなかった。
結局、ロリBBA達が引き起こす様々な問題はすべて受け入れ先となった各都市が、独自に解決するより他に手段がなかったのである。
これは、日々発生するロリBBA達が起こすトラブルや苦情を解決するために奮闘する市役所職員の物語である。