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<send:01-1>

スマホをお持ちの方は、スマホからお読みいただけると、より楽しめるかもしれません。

<black out>


 一面を黒が覆っている。

 世界の始まりと同一の黒。世界の終わりと同一の黒。

 ここは始まりでも終わりでもない。つまり、何もない空間。

 非存在の存在。そんな陳腐な虚無だけが、そこにはあった。


<noise...>


 それは雨の音かもしれない。

 あるいは、テレビの砂嵐――ノイズの音かもしれない。

 スピーカーから漏れ出す音だとすれば、そこには機械があるのかもしれない。

 非存在の世界に機械があるのだとすれば、それは非存在とは言えない。

 つまりそこには、実在する世界があるのかもしれない。


<noise sound:+1,+2,...+10...>


 やがてノイズはその存在を誇示するかのように、唸り出す。

 高い音が混じり、低い音が入り込み、強弱が生まれてゆく。


<loading data...display connected...>


<0%...32%...84%...100%>


<...load completed>


「……れか……けて」


 音はやがて湾曲し、それが言葉のように変換されてゆく。

 少しずつ、鮮明になってゆく。

 それは徐々にピントが合うかのように。 

 チャンネルを合わせるかのように。


「お願い、この声が聞こえるなら……助けて」


 荒れた映像の向こうに少女の姿が映り込む。

 年齢は中学生程度だろうか。セーラー服をまとった少女だ。

 目に涙を溜め、画面へと覆い被さるようにしきりに訴えている。

 ――助けて、お願い、この声が聞こえるのなら……、わたしを助けて。

 少女は必死にそれだけを訴え続ける。


「ぐすっ、……ここには誰もいないの。わたし一人しかいない。……どうしてここにいるのかも分かんない。気づいたらここに閉じ込められてた……」


 少女は手を伸ばした。それに追従して画面も動く。

 少女の手元からこの映像は送信されているらしい。


「ねぇ。これ、スマホなんでしょ? わたしの声、聞こえるんでしょ? 誰か、そっちから見てるんでしょ?」


 少女は両手でその端末を抱えているようだった。

 必死に問い掛ける姿は、鬼気迫る様子だ。

 こぼれ落ちる涙をセーラー服の袖で拭い、鼻をすすって画面を見つめ続ける。


「お願い、助けて……。返事をして……。もう、……やだよ」


 やがて少女は諦めたのか端末を手放した。映像は天上だけを映し、少女の姿が見えなくなった。

 時折、少女のすすり泣くような声だけが聞こえる。


<question>


『画面の向こう側にいる《あなた》への質問です。彼女の問い掛けに答えますか?』


【はい/いいえ】

新しい書き方に挑戦してみたくて始めてみましたが、どうにも特殊すぎたかもしれません。というか伊藤計劃作品で似たような演出見たことあります。


……とまぁそんなこんなで初めましての方は初めまして。亘里です。

途中で見かける英単語は、まぁ雰囲気みたいなものだと言うことで流し見していただければ大丈夫です。

そして最後の質問は悩むことはないとは思いますが、思い思いの答えを考えて貰えると楽しめるんじゃないかと思います。

それでは、お気に召しましたら次へ進んでみてくださいね。

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