表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第七章 ダンジョン交易編
96/189

89話 技術開発部門が凄いので狼車は快適でした

テオへの道のりはものすごく快適だった。


技術開発部門の総力の結晶というだけのことはあり、何不便ないくらい快適な環境だった。ワイトとプラムはそわそわした様子で中をあちらこちら見まわしている。


「ワイト、プラム。いじらない程度なら探検して構わないぞ」


俺がOKサインを出すと二人とも嬉しそうに部屋を探索し始めた。子供だったら当然の行動だよな。


「ゾア、念のため確認するが。まだ変な機能はついていないだろうな?」

「大丈夫や、少なくともワイらに危険のあるものはすべて取り外しました・・・66の機能が56まで減りましたが」


10も危険なものがあったのかよ!今度から開発する前に俺がチェックする必要がありそうだな。


俺は狼車に設置されている【冷蔵庫】からジュースを取り出しソファーでくつろぐ。本当ここが狼車の中だなんて信じられないよな。俺、ゾア、アルラがいるメインルームの他に寝室が二つ、シャワールームにキッチンまで設置されているのだ。


窓もマジックミラーのように外からは中の様子が見られない仕組みになっている。


『コウキ様、前方から人がやってくるのが見えます』


天井から聞こえたのはグンナルの声だった。狼車の上から見張りをしていたグンナルは機能の一つ【トランシーバー】で中にいる俺たちに連絡をしてきたのだ。


ゾアはすぐにテーブルの上に置かれていたリモコンらしきもので操作すると、モニターが出現しオウカの後ろ姿が映し出された。おそらく狼車の先頭部分に映像魔法の刻印が仕掛けられていて、それによって映し出されているのだろう。


確かに道の奥から数人の農民らしき人たちがやってくるのが見える。


『いかがなさいましょう?盗賊という可能性もありますが』

「まずは様子見だ、グンナル。悪いが話を聞いてもらえないか?」

『御意』


グンナルはすぐに狼車から飛び降りて農民と話をする。どうやら盗賊とかじゃなさそうだ。グンナルもしっかり対応して、礼を言っているみたいだ。そしてすぐに戻ると俺たちに連絡を入れる。


「なんだった?」

『この先に盗賊が潜伏しているらしいから気を付けた方がいいと忠告を受けました。おそらくこの狼車を見てコウキ様を貴族か何かと勘違いされたのでしょう』


なるほどな・・・しかし、盗賊か・・・物凄くフラグな気がしてきたな


・・・・・・・・・・・・・・・・


「へいへい、兄ちゃん!いいもんに乗っているじゃないか!その狼車俺たちにくれよ、もちろん荷物も置いてな、ぎゃはは!」


うん、なんというか的中といえば的中なんだが・・・・


まるで世紀末を設定にした漫画に登場しそうな盗賊集団があっという間に狼車を囲んでいた。見るからに無双されるザコキャラ集団だ。


『コウキ様、ここは我々にお任せください』

「はぁ・・・分かった。まあ相手は盗賊なんだし痛い目見てもらおうか」


俺が許可を出すと上にいたグンナルとランカが武器を構えて盗賊集団を蹴散らせていく。さすが俺の護衛を務めるだけのことはありかなり強い。特にグンナルはワイト製の剣を手に入れてからずっと稽古していたらしく、完全に使いこなしていた。


まるで無双ゲームみたいに吹き飛ばされていく盗賊たち、だが次から次へと押し寄せてくる。これってかなり規模でかくないか?


モニターに映る峠を拡大させると新たに50人くらいの盗賊がやってくるのが見える。


「ふふふ、この狼車の戦闘機能をお披露目するのには数が少ないけどちょうどええ!」


そう言いだす、ゾアが『ポチっとな』と言ってリモコンのボタンを押す。すると、狼車の先頭部分に魔法陣が展開されレーザービームが発射された。


男だったら目を輝かせるシーンなのかもしれないが、ちょっとやりすぎじゃないか?威嚇射撃だったみたいでビームはそれるが、後ろにあった山は軽く吹き飛ばされた。


防音、耐震機能があるからこちらは全く影響が出ていないが外にいたグンナルたちは耳をふさいでいた。援軍の盗賊集団はその光景を見て腰を抜かし、中には泡を吹いて気絶している者もいる。狼車の前に立っていたオウカなんか頭が焦げていないか確認していた。


「っちょ!ゾアお前なんちゅうもの搭載したんだ!」

「え?防衛機能として攻撃魔法を展開させただけや。他にも爆裂魔法、水圧魔法、雷撃魔法なんかも出せるで・・・コウキさんも試してみますか?」


そういって、リモコンを手渡すゾア。ぶっそうなもの渡すなよ!


「ってか、やりすぎだろ!他国の山吹き飛ばすとか、国交問題になりかねんぞ」

「あ、そう言いやそうやった。すんませんすぐに戻してきます」


そう言って狼車から降りて移動用魔法具に乗ったゾアが山の方へ向かう。なんかすごく未来道具みたいに空を飛んで行ったぞ。


とりあえず、盗賊集団たちはこれで何とかなったな・・・あとはあの人数を連れてテオまで向かうかどうか・・・・


そんなことを考えていると、ちょうど立派な鎧を身に着けた兵士たちがやってくるのが見えた。旗の紋章から見てテオの兵士らしいな、これは手間が省けたかな?


そう思いきや、急に槍をグンナルたちに向ける。なんかもの凄く警戒されている。


『コウキ様この者たちはテオの兵士らしいのですが、コウキ様に話があるそうです。どうしましょう?』

「分かった、話をすると伝えてくれ」

『御意』


そう言って俺は年少組たちを置いてグンナルたちがいるところへ向かった。


「お前があの馬車の持ち主か?」

「はい、そうですが」

「あの山をやったのはお前たちか?」


兵士の一人が指をさしたのは、先ほどのレーザー砲によって崩れた山・・・だった場所。まるで巨大なショベルカーで一部掘られたかのように、緑の山に一か所だけしゃいろい土が目立つ。


「それは・・・」


やっぱりそのことについての話だったか。ここは素直に謝るべきだろうか・・・


「待ちなさい、あなたたち」


そこにやってきたのは、見たことがあるローブをまとった女性。確かリズアの店にあったやつだな。


「やはり、コウキ殿でしたか。見たこともない狼が荷車を引いているという情報を聞いたのでもしやと思いました」


よく見たら才の仲間の一人ケイトだった。あのローブは以前来た時に購入したものなのだろう。


「やあケイト、お久しぶり」

「宮廷魔導士団の団長殿、この者を知っているのですか?」

「無礼者!その者たちは英雄サイの大事な客人だ。それなのにお前たちは武器を向けるなんて」


ケイトの感情の籠った言葉に兵士たちがビビりだす。


「し、しかしこの者たちは我々の山を吹き飛ばした・・・」

「あ、その山なら今修復したで」


やってきたのは空飛ぶ魔法具に乗ったゾア。そして彼が指をさした先には吹き飛ばされたはずの山が見事に元通りになっていた。


「いや~・・・予想の範囲内の威力で助かったわ・・・あり?なんや、随分にぎやかになっとるやないか」


マイペースなゾアはキョトンとした様子で兵士たちを見下ろしていた。


「お久しぶりです、ゾアさん」

「おお、ケイトはん。久しぶりやな」


ケイトは落ち着いた様子でゾアに挨拶をした・・・なんだろう、これが経験の差というものなのだろうか?規格外のものを見てきた彼女だけが宙に浮かぶゾアに平然と挨拶をしている。


「ゾア、ちゃんと山は直したんだろうな?」

「当然や、ついでに地脈の流れが少しおかしかったんで修復しておいたで」


地脈?何のことか分からないが元通りなら別に構わない。


「ゾアさん、それは魔法具でしょうか?」

「せやで、ワイの開発した【飛行スクーター】・・・【飛行魔法】を中心に【重力操作】を加えたものや」

「素晴らしいです・・・もしや、あの狼車もゾアさんの?」

「せやで・・・技術開発部門の英知を集結させたもんや・・・まあ、いくつかコウキさんの要望で外されましたが」


アホな機能を付けるくらいならもう少しまともなのを搭載しろよ!


「ううぅ・・・できれば私も中に乗りたいですが今は仕事・・・是非後で中を拝見させてください!」


別に中を見るくらい問題なのだがまじめなケイトにとってそれは許されないのだろう。


「王都までご案内します。私についてきてください。お前たちはその賊たちを連れていけ」


ケイトがそう指示を出し。馬に乗って王都まで案内をしてくれた。途中何度か狼車をチラチラと観察している様子から相当気になっているのだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ