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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第七章 ダンジョン交易編
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88話 英雄に招待されたので王都へ向かいました

トレスアールでの店が繁盛している中、テオにいる才から準備が整ったという正式な連絡が届いた。


俺はさっそくフロアボスたちを集めテオへ出発することを伝える。


「そういうわけで、しばらく俺はテオに行くことになった。一応、あっちで屋敷をもらう手はずになっているからそこをダンジョン化させればすぐにここへ来ることは可能だ」


現在ダンジョンは冒険者たちの対応でかなり忙しい時期だ。そんな時期に俺がテオに行くのもどうかと思うのだが皆は任せてくれと言わんばかりに了承してくれた。


「それでテオに行くメンバーなんだが。あちらの要望でゾアとアルラを連れていきたいんだ」

「ワイですか?」

「ああ、あちらの魔法具と農業を見てもらいたいそうなんだ。っで、もし何かアドバイスがあれば是非・・・らしい」

「なるほど・・・そういうことならお任せください、テオの技術にも興味ありますし。代理はマリーあたりに頼んでおきます」

「私もアルラをテオに向かわせることに異存はありません」


メリアスからの許可も出たことでオリジンからの出発メンバーは決まったな。


「あ、そうだ。ゾア、実はワイトとプラムもテオに向かうそうだから一緒に同行する形になるそうだ」

「ワイトですか?そりゃうれしいですな」


部下との再会・・・これはある意味良い機会かもしれない。ワイトもゾアとは久々に会いたがっていたし。


「光輝、質問したいのだけどいいかしら?」


久々に見る女神モードのエイミィ


「なんだ?」

「今回は賓客としてテオに呼ばれているのですよね?」


賓客って・・・そんなたいそうなことじゃないと思うが。


「まあ、才から『国への客人として来てくれ』って言われたからな」

「なら、こちらもそれなりにしっかりとした衣装で向かうべきではないのかしら?」


エイミィがそう指摘するとフロアボスたちが全員うなずいた。


「まあ、確かにあそこは王国だし・・・それなりの衣装は必要か。だが、あっちが来たときは普通の衣装だったぞ?」

「郷に入っては郷に従え・・・あちらにはあちらのルールがあります。身だしなみはしっかりしましょう」


そう言って、エイミィは俺にしか見えないように、黒い笑みを見せる。


あ・・・これ絶対俺を着せ替え人形にする気だ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


エイミィの着せ替え人形にされてかれこれ3時間。正直俺はうんざりな気分だった。忙しいはずのトレスアールにいるレヴィたちを呼び寄せては俺に合う服を選んだり、生産部門からも試作品を大量に取り寄せては俺に着せる。


女ってなんでこんなに服に関してうるさいのだろうか?俺が適当に好みの服を選ぶと女子全員にダメだしされるし、寸法が少しズレているだけですぐに回収されて直すわ・・・この情熱をもう少し別の方向へ向けてほしいものだ。


そして、結局最終的にはエイミィがデザインした異世界風の紳士服に決定した。素材は最高級品ばかりで作られたもの。着心地は抜群で俺好みの装飾もある・・・初めからこれを出してくれよ。女性陣はなんか楽しんだと言いたげな満足そうな顔をしているし、絶対半分以上面白がってやっていただろ。


俺はこれまでに体験したこともないくらいの疲労を抱え込みながら部屋に戻る。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ゾアから連絡が入り、俺たちが乗る馬車が用意できたと連絡が入り、研究所へ向かった。


「ゾア、俺たちが乗る馬車ができたそうだな」

「はい、ワイら技術開発部門が総力上げて開発した最新式やで!」


なんか妙なテンションになっているゾア。あの様子だと徹夜で作業をしていたに違いない。よく見ると他の部員たちも眠そうな顔をしている。


ゾアに案内されると、そこにはかなり立派な馬車が用意されていた。見た目は普通の馬車、鉄などで補強された頑丈そうな感じ。だがゾアが作ったもの・・・油断はできない。


「ふふふ、コウキさんもこれがただの馬車やないことくらいすぐにお見通しみたいやな。その通り!この馬車には6通りの変形機能が可能で、66もの刻印魔法が施されておるんや!」


ハイテンションに説明するゾア・・・なんてくだらないものに力を注いでやがる!


「その頑丈さは隕石が直撃しても、海底1万メートルの水圧でも、マグマの高熱にでもへっちゃらな耐久性。たとえグラムはんの渾身の一撃でも10発までは耐えられるほど!」


つまり11発目には壊れるわけだな


「しかも【空間魔法】が施されており、見た目よりも中は何倍も広い。マリーのこだわりも入れて中はものすごく快適や」


あ、それはすごくうれしいかも。中を見てみるとどこかの高級ホテルみたいな感じでベッドやソファーなんかも置いてある。個別の部屋も用意してあることから、グンナルたちも中で休むことができそうだな。これは馬車というより高級キャンピングカーだな。


「耐震、防音、防熱機能もあるから外の影響も全く受けない。夜もぐっすり寝れるで」


ふーむ、こうしてみると技術開発部門のすごさがよくわかるな


「なかなかいいじゃないか。すごいじゃないか」

「ちなみに、何かが起きた時のために、『自爆機能』も入っています」


「今すぐそれを外せ!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


『おお!』


ゾアに自爆装置を取り外させた後、グンナルたちにこれから乗る馬車をお披露目した。


「これに我々が乗るのですか?」

「すごいです、ウチの部屋より豪華です」

「ふむ、引っ張りがいのあるものですね」


グンナルたちからも高評価を得ており、オウカなんかはしっぽがちぎれそうなくらい降っている・・・風圧がすごい。


その後ゾアとアルラがやってき、転移陣でトレスアールからワイトとプラムが到着。色々と荷物を用意していたみたいでかなり大きめなリュックを背負っている。


「おお、ワイト久々やな!」

「お久しぶりです、ゾア様」


久々の愛弟子との再会でゾアは嬉しそうにワイトの頭を撫でた。こうしてみると兄弟みたいな感じだな。転移陣でつながっているとは言え、お互い忙しい身であるため会うことはなかった。今回の旅で少しは時間を取り戻せたらいいかな。


「なんや、少し背が伸びたんちゃう?」

「そ、そうですか?ゾア様は相変わらずですね」

「なんやと、ワイかて成長期のまっさなかや!」


ゾアの叫びによって全員が笑い出す。そんな和やかなムードで俺たちはテオへ向けて出発した。


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