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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました(旧)  作者: 緑葉
第六章 ダンジョン観光編
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81話 戦いが終わったら宣戦布告されました

いったい何が起きたのかは分からない。


才の魔法陣が発動した瞬間、目の前が真っ赤に染まり、天地が逆転したかのような揺れが発生する。エドの【防音】によって外から音は遮断されている、聞こえてくるのは住民たちの叫び声。


目の前の状況が分からずパニックを起こしているのかというとそうでもなく、なんというかジェットコースターに乗っていきなり急降下した時の叫び声に近い。


目の前に広がるのは灼熱のマグマに覆われたフィールド。水浸しだったフィールドは一瞬で灼熱の大地へと変えてしまった。


結界によって防熱はしっかりているため熱気はここまで伝わらないが解除した瞬間、俺達もただじゃ済まない。現にカーツと才は死亡して広場へ転送されたことが俺のモニターで確認が取れた。


「コウキさん、ご無事ですか?」


俺を心配して真っ先にやってきたのはゾアだった。


「ああ、才のやつ・・・面倒なことしてくれたな」

「あの刻印魔法・・・火属性の中でも最高峰の威力を持つ【噴火魔法】やった。まさか戦いの中であんなものを作るとは思いもせんでした」


噴火魔法・・・それを聞いてあの爆発が納得できた。


水蒸気爆発


あの時、カーツの魔法でスコールが降っていた。そんな水が溜まっている場所に高熱の【噴火】なんか起こしたら大爆発が起きるのは当然。才はおそらく自滅覚悟であの魔法を使ったのだろう。


だが、理解できない。確かにこれならフロアボスステータスのカーツでも倒せたが、結局自分も死ぬことになる。何故わざわざそこまでするのだろうか・・・・


「・・・コウキさん、考え事している所申し訳ないんやけど、そろそろワイらもここを離れたほうが良いかと思います・・・コロシアムが崩れそうですわ」


ゾアがそう言うと、俺はモニターで確認するとまさにゾアのいう通り、コロシアムの耐久値が残り僅かになっていた。


これ作るのに、結構いい素材使ったはずなのに・・・


「分かった・・・住民たちは広場へ転送させる。ゾア達は騒いでいる住民たちを落ち着かせてくれ。俺はここの後始末をしておく」

「了解したで」


他のフロアボス達にもそう指示を出し、コロシアムにいた皆を転送させる。そして残った俺は、未だフィールドに残っている彼女を呼んだ。


「・・・メリアス。生きているか?」

『はい・・・少し火傷を負いましたが、すぐに回復できます』


モニターには涼し気な顔をしているメリアスの姿。顔には彼女のいう通り、火傷が見えたがものすごいスピードで回復しているのが見えた。


カーツですら、耐え切れなかったあの爆発をメリアスは火傷程度で済んでいるとか・・・ダンジョン最強とかそういうレベルじゃないような気がしてきた。


『しかし、驚きました・・・まさか、フロアボスが倒されるとは』

「まあ、そうだな・・・それよりここを『破棄』するからメリアスもここから離れてくれ。話は後でしよう」

『御意・・・あ、先に自分のフロアに戻って着替えてもいいでしょうか?服が少し燃えてしまったので』

「分かったから!急げ!」


そんなことを気にしている場合か!と叫びたいが、今はコロシアムをどうにかすることを優先にする。メリアスが地下44階層へ転送されると、俺はコロシアムの設定を開き、『破棄』と表示されたボタンを押した。


すると、コロシアムはみるみる光の粒子となって消えていく。溶岩もまとめて消せるからこれは結構便利だ。コロシアムが跡形も無く消えるのを確認すると


「・・・さて、カーツ達の様子を見に行くか」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


広場へ向かうと俺が来るのを待っていたのか全員が整列していた。


カーツたちも目を覚ましていているが、まだ力が回復していないせいか座り込んだままだった。俺を見るとカーツは立ち上がろうとするが、座ったままでいいと肩に手をのせる。


「申し訳ございません、コウキ様。あれほど勝利を宣言していたのにこのような結果になってしまい」


まあ、気持ちは分からなくもないが才の戦い方は正直予想外なものばかりだった。それに最後の水蒸気爆発・・・あれじゃ、グラムたちでも耐え切れないと思う・・・一名、火傷程度だったが。


「まあ、それだけ才が手ごわかったってことだな」

「思ったような戦いができなかったのが凄く残念です」


そういえば、カーツの本領は怒り状態になってからだったな。あの状態になっていれば確かにカーツの勝利で収められた可能性はあったかも。


あくまでも可能性だが・・・まあ、その前に才が大魔法を打ち込んだからそうならなかったけど。


「ったり前だ・・・あんたが本気状態で相手していたら俺一人での勝機はほぼ0だったからな」


そして、話を挟んできたのが才。


「カーツの弱点は2つ・・・1、本気状態になるまでに少し時間がかること。2,本気状態になりかけている間は精神状態が不安定ってところだ」


なるほど、才の分析で全員は納得する


「その隙を突かれたというわけか・・・だぁ!引き分けという形なのになんだこの敗北感は!」


悔しそうにいうカーツだが、弱点を知れたことに少し嬉しそうだった。


「しかし、無茶し過ぎだぞ才。いくら勝つためとはいえ自滅なんて」


ヒュウが呆れていうと、今度は才の仲間たちが頷く。確かに、いくら死んでも構わないからってあんな行動を取るのはどうかと思う。


「仕方ないだろ・・・ああでもないと、カーツを倒せなかったんだから。それに、これでここの住民に実証できたからな」


実証?


「フロアボスは倒せる」


『あ・・・』


この戦いで、一番の衝撃それはカーツ・・・いや、フロアボスの死という事実。つまり、フロアボスも完璧というわけではない。もし、これが本当にエイミィを狙った人物との戦いだったらダンジョンの1/8が攻略されたことになる。


「・・・この事実はギルドを通して広めるつもりだ。覚悟しておきな」


勝ち誇ったような笑みを見せる才・・・まんまとやられた気がした。


フロアボスは倒せる・・・その事実が広まれば冒険者達は再び立ち上がるだろう。ダンジョンに挑む者が増えっるということだ。


「やれやれ・・・これから忙しくなりそうだな。そっちこそ覚悟しておけ、少なくとも今回のような戦いはもうしないぞ」



才・・・挑戦者側からの宣戦布告を俺達は快く受け取った。

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